2025年2月、サムスンとグーグルが次世代ARグラスおよびXRヘッドセットに関する新たな特許を取得したことが判明した。サムスンは度付きレンズ対応のARグラスを開発し、視界のぼやけやめまいを軽減する技術を導入。一方、グーグルは仮想環境内でのコンテンツ操作を向上させるXR関連特許を取得した。

これらの技術は、アップルのVision ProやメタのProject Ariaなど、既存の競合製品に対抗するものとみられる。また、サムスンはMWC 2025で初のXRヘッドセット「Project Moohan」を披露する予定であり、AR市場における競争がさらに激化すると予想される。

サムスンのARグラス特許が示す次世代技術の進化

サムスンが2025年2月20日に公開した特許は、ARグラスおよびHMD(ヘッドマウントディスプレイ)に関するものである。この特許では、度付きレンズやUV保護レンズの装着が可能なシステムを導入し、ユーザーが視界のぼやけやめまいを感じることなく使用できる技術が採用されている。

既存のARグラスの多くが固定型レンズに依存していたのに対し、サムスンは柔軟な視覚補正機能を提供することで、幅広いユーザー層を取り込む狙いがあるとみられる。特に、レンズの固定方式は従来の磁石式ではなく、新たなメカニズムを採用している点が注目される。

これにより、レンズのズレによる焦点のずれを防ぎ、長時間の使用でも安定した視認性を確保することが可能となる。AppleのVision Proが高精細なディスプレイ技術を強みにする一方で、サムスンは視覚補正の分野で独自の差別化を図る可能性が高い。ARグラス市場において、視覚の快適性を重視した設計は、長時間の使用を想定する消費者にとって大きな利点となるだろう。

グーグルのXR特許が示す仮想コンテンツ操作の新たな方向性

2025年2月13日に世界知的所有権機関(WIPO)が公開したグーグルの特許は、XR(拡張現実)環境での仮想コンテンツの表示および操作方法に関するものである。この特許では、仮想環境内で複数のコンテンツが同時に表示される際、ユーザーの操作意図を認識し、適切なコンテンツへの入力を誘導する技術が含まれている。

特に、前面に表示されるオブジェクトが背後のコンテンツを部分的に遮る場合、ユーザーの視線や操作の流れを分析し、自然なインタラクションを実現する仕組みが導入されるとみられる。現在のXRデバイスでは、複数の仮想オブジェクトが重なった場合、ユーザーが目的のコンテンツを正確に選択するのが難しいという課題がある。

グーグルの特許技術は、この問題を解決することで、より直感的な操作を可能にし、エンタープライズ用途からエンターテインメント分野まで幅広い応用が期待される。特許に記載された技術が実際の製品にどのように実装されるかは不明だが、グーグルがARとAIの融合を進める中で、この特許が今後のインターフェース設計の標準となる可能性もある。

サムスンとグーグルの動きが示すAR/XR市場の競争激化

サムスンとグーグルの新たな特許出願は、AR/XR市場における競争の激化を象徴している。現在、AppleのVision ProやMetaのProject Ariaといったデバイスが市場に登場し、各社は次世代技術の開発にしのぎを削っている。

特にサムスンは、MWC 2025で初のXRヘッドセット「Project Moohan」を披露するとされており、同社のAR/XR戦略の重要な一歩となる可能性がある。AppleのVision Proは高性能ディスプレイを搭載し、MetaはXR空間でのユーザーインタラクションに焦点を当てるなど、各社は異なるアプローチを取っている。

これに対し、サムスンとグーグルは、視覚補正技術や仮想コンテンツの操作性向上を強みにし、新たな市場を開拓しようとしているようだ。今後の市場動向次第では、これらの技術がXRヘッドセットの標準機能となり、新たなユーザー体験の実現につながるかもしれない。

Source:Patently Apple