スペイン・バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC 2025)において、サムスンは折りたたみ式の「フレキシブル・ブリーフケース」ノートPCを発表した。OLEDディスプレイを備えたこのデバイスは、金属製ケースに収まり、展開すると18.1インチのタブレットとして機能する。

加えて、ダイヤモンド型の外部ディスプレイを搭載した「ポリゴン・フォルダブル」スマートフォンや、ステンドグラス風の31.5インチOLEDモニターも公開された。レノボは、AI制御のスマートリングを活用した「ThinkBook 3D」を披露し、2D/3D切り替え可能な高解像度ディスプレイと直感的な操作性をアピール。

また、従来のロール式とは異なる折りたたみ型の「ThinkBook Flip AI PC」も発表され、画面サイズを13インチから18.1インチへと拡張できる設計を採用。モバイルデバイスの進化を象徴するこれらの発表は、市場に新たな変革をもたらす可能性がある。

サムスンの「フレキシブル・ブリーフケース」が示す次世代ノートPCの方向性

サムスンはMWC 2025において、持ち手付きの金属製ケースに折りたたまれる「フレキシブル・ブリーフケース」ノートPCを発表した。OLEDディスプレイを搭載し、展開時には18.1インチのタブレットとして機能する。モバイルワークの需要が高まる中、この設計は持ち運びやすさと画面の広さを両立させる新たなアプローチといえる。

このデバイスの特徴は、フレキシブルディスプレイ技術の進化によって、従来の折りたたみノートPCの課題であった耐久性と視認性を向上させた点にある。特にOLEDパネルの折り曲げ耐性や、折り目の目立たなさが強化されているとみられる。ノートPC市場では、2-in-1デバイスや折りたたみ型モデルが徐々に増えてきたが、サムスンの新技術が今後の市場に与える影響は大きい。

一方で、こうしたフレキシブルディスプレイの耐久性や、長期間の使用における信頼性は未知数の部分も多い。ヒンジの耐久性やスクリーンの折り目が経年劣化によってどのように変化するのか、消費者にとって重要な判断材料となる。今後、サムスンが市場投入を進める際には、これらの技術的課題の克服が求められるだろう。

レノボの3DノートPC「ThinkBook 3D」が示すAIと操作性の革新

レノボはMWC 2025において、2Dと3Dをシームレスに切り替え可能な「ThinkBook 3D」を発表した。このデバイスは、AI技術を活用した「AIリング」によるジェスチャー操作を可能とし、従来のタッチパッドやマウス操作を超えた新たなユーザーインターフェースを提供する。3Dモデリングやデザイン作業において、指の動きだけで直感的な操作が可能になる点が特に注目される。

ディスプレイには「Directional Backlight 3D」技術が採用されており、専用の3Dメガネを必要とせずに立体的な映像を表現できる。これにより、設計・建築・医療など、3Dビジュアライゼーションが重要な分野での利用が期待される。高解像度の3.2Kディスプレイは、クリエイター向けに最適化されており、色彩表現や視認性の面でも強みを持つ。

しかし、3Dディスプレイは視差を利用するため、長時間使用時の目の疲れや、奥行き表現の精度が課題となる可能性がある。また、AIリングによる操作が、従来のマウスやタッチパッドと比較してどれほどの精度を持つのかは、実際の使用環境で検証される必要がある。レノボがこの技術をどのように発展させ、市場に浸透させるかが今後の焦点となる。

折りたたみPCの新潮流 レノボ「ThinkBook Flip AI PC」の意義

レノボはMWC 2025で、新たな折りたたみPC「ThinkBook Flip AI PC」を発表した。従来のロール式ディスプレイとは異なり、外向きに折りたたまれる設計を採用し、通常時は13インチ、展開時には18.1インチのディスプレイサイズを実現する。この仕組みにより、ユーザーは必要に応じて画面を拡張し、より大きな表示領域を確保できる。

折りたたみ式のノートPCは近年増えているが、その多くは折り目の目立ちや耐久性に課題を抱えていた。レノボの新設計は、こうした課題に対する新たな解決策を提示するものといえる。ディスプレイの折りたたみ機構がどの程度の耐久性を持つのか、また、どのような用途で最大限の利便性を発揮するのかが今後の評価ポイントとなる。

市場では、持ち運びやすさと作業スペースの確保という相反する要素の両立が求められている。レノボの「ThinkBook Flip AI PC」は、そのバランスを取る試みとして、今後のノートPC設計に影響を与える可能性がある。折りたたみ技術が成熟し、より幅広い製品へと展開されることで、モバイルコンピューティングの新たなスタンダードが生まれるかもしれない。

Source:Patently Apple