2025年3月3日、ドナルド・トランプ大統領が4月2日からの輸入農産物への25％関税導入を発表したことで、暗号資産市場が急変動した。ビットコインは一時85,101ドルまで下落し、その後93,695ドル近辺まで反発するなど、わずかな時間で大幅な値幅を記録。特にトランプが自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に声明を投稿した直後には、急激な売りが発生した。

さらに同日発表されたISM製造業景況指数が市場予想を下回る50.3％に留まったことも投資家心理を冷やし、米株式市場ではS&P500が1.76％下落。ハイテク株主体のナスダックにも売りが波及し、暗号資産市場全体にリスク回避の動きが広がった。

ビットコインは伝統的な金融市場との連動性を強めており、トランプの関税政策や景況感の悪化といったマクロ経済要因に神経質に反応している。今後も市場は、トランプ政権の通商政策や経済指標の動向に振り回される可能性が高く、ビットコインが金融市場全体のリスク指標として注目される構図が一層強まりつつある。

トランプ大統領の農産物関税発表と金融市場への波及効果

2025年3月3日、ドナルド・トランプ大統領が輸入農産物に対して25％の関税を課す新政策を公表し、これが金融市場全体に瞬時に波及した。対象はメキシコ、カナダ、中国など主要貿易相手国からの輸入品であり、4月2日からの発効が予定されている。既存の関税も拡大するため、サプライチェーンへの影響や報復関税の可能性を巡り、投資家の警戒感が一気に高まった。

特にS&P500は同日1.76％下落し、関税による物価上昇や企業収益への悪影響を警戒した売りが広がった。ハイテク株比率の高いナスダックも同様の動きを示し、リスク資産からの資金流出が鮮明となった。これにより暗号資産市場にも負の連鎖が及び、リスク回避の動きが加速した。

こうした事実からは、貿易政策を軸とした米国の通商戦略が、金融市場全体に対する即時的な影響力を強めていることがうかがえる。特に関税発表をきっかけとした資金移動は、株式市場と暗号資産市場の連動性をより際立たせる結果となっており、今後もトランプ政権の政策動向が投資行動を左右する構図が続くと見られる。

ビットコインの価格急変動とISM製造業景況指数の関連性

2025年3月3日の暗号資産市場は、トランプ大統領の関税発表に加え、米国のISM製造業景況指数の下振れも大きな影響を与えた。同指数は50.3％と市場予想の50.6％を下回り、新規受注の縮小が確認された。これにより景気減速懸念が高まり、株式市場全体が下押し圧力に晒されたことで、ビットコインも売り優勢の展開を強いられた。

暗号資産市場において、ビットコインは株式市場や経済指標への感応度が近年高まっており、特に米国経済の先行きを示唆する指標への反応が強い。今回も景況感の悪化が確認されるや否や、投資家のリスク回避姿勢が強まり、アルゴリズム取引を通じた連鎖的な売りがビットコインの下落を加速させた。

米国経済指標と暗号資産市場の関係は、投資家の市場認識や資金の流れを映し出す鏡とも言える。ビットコインは金融政策や景況感への反応速度が他の資産に比べて極めて早く、特に短期的な取引主体が増えるほど、その敏感さが増幅される傾向が続いている。

トランプ政権の通商政策とビットコインのリスク指標としての役割強化

今回の関税発表を受けたビットコインの急変動は、ドナルド・トランプ大統領の政策動向が暗号資産市場全体のリスク指標として定着しつつある現状を改めて印象付けた。特に2025年に入って以降、トランプ政権の政策発表のたびにビットコインが即座に反応する傾向が顕著になっている。

これは単なる偶然ではなく、世界の投資家がビットコインを伝統資産の代替的な指標資産として位置付けつつある流れの一端とも考えられる。特にグローバルなリスクイベントに対する敏感な反応は、リスク許容度の変化を測る物差しとしてビットコインの存在感を高めている。

ただし、関税政策に対する反応は常に一定ではなく、通商交渉の進展や各国の対抗措置によって流れが逆転する可能性もある。ビットコインがリスク指標としての役割を強める一方で、政策リスクや市場不確実性に対する投資家心理の振れ幅も同時に拡大している。

Source：Bitcoin News