ドナルド・トランプ大統領が就任直前にSolana上でローンチした公式ミームコイン「TRUMP」が、過去24時間で25%の大幅下落を記録した。貿易関税発効を翌日に控え、投資家の警戒感が強まる中、TRUMPは時価総額上位100銘柄の中で最大の下落幅となった。
週末には米国の暗号資産準備金構想をトランプ自身が示し、ビットコインやイーサリアムを含む主要銘柄が一時的に高騰したが、インフレ懸念やカナダ・メキシコへの関税強化が再び市場を冷え込ませた。加えて中国への追加関税も翌日発効予定で、米株式市場でもダウやナスダックが軒並み下落。AI関連株や暗号資産関連銘柄も大幅安となる中、安全資産とされる金が買われる構図が鮮明になった。
ビットコインは1日で約10%下落し、前日までの上昇分を帳消しに。ソラナやXRPも20%超の急落となり、ドージコインやPepe、Bonkといったミームコイン全般が軒並み二桁下落するなど、市場全体にリスク回避の動きが強まっている。
トランプ公式ミームコインTRUMPが25%下落 週末の高騰から一転した背景と市場全体への影響

ドナルド・トランプ大統領が1月の就任式直前にSolana上で発行したミームコイン「TRUMP」が、過去24時間で25%の急落となり、暗号資産市場の混乱を象徴する存在となった。TRUMPは日曜日にトランプ自身が米国の暗号資産準備金構想を投稿した直後に急騰し、13.46ドルから17.46ドルまで値を上げたが、週明け月曜日には再び売り圧力に押され12.60ドルまで値下がりした。CoinGeckoのデータによれば、時価総額上位100銘柄の中でも最も大きな下落率を記録している。
この背景には、米国が2月に猶予していたカナダ・メキシコへの関税引き上げが3月5日火曜日に発効を迎えることが挙げられる。ドナルド・トランプ大統領は月曜日の声明で「カナダ・メキシコとの交渉の余地は完全に消えた」と言及し、両国からの輸入品に一律25%の関税を課す方針を改めて表明した。さらに中国からの輸入品にも10%から20%への関税引き上げを明言し、国際貿易への不透明感が暗号資産市場にも波及している。
暗号資産全体も過去24時間で11%下落し、ビットコインは10%下落の85,337ドル、ソラナやXRPは20%以上の下落を記録した。PepeやBonkといったミームコインも19%前後の下落となり、TRUMPのみならず、ミームコイン市場全体が大きく売られる展開となっている。
トランプの暗号資産準備金構想と市場の過剰反応 関税政策との複合要因による投資心理の揺らぎ
日曜日にドナルド・トランプ大統領が発信した「米国の暗号資産準備金構想」は、市場に瞬間的な買いを呼び込み、ビットコインやイーサリアム、ソラナなど主要銘柄が急騰する事態を引き起こした。米国政府がビットコインやXRP、カルダノなど複数の暗号資産を保有する可能性が示唆されたことで、デジタル資産の価値そのものが国家戦略に組み込まれるとの期待感が高まった。
しかし、トランプの発信からわずか数時間で、その過剰な期待は一転して売りに変わった。背景には、火曜日から発効する関税引き上げによる世界経済の減速懸念が、リスク資産全般への圧力として顕在化したことがある。特にカナダ・メキシコからの輸入品に対する25%関税は、北米経済のサプライチェーンを直撃し、貿易摩擦の激化が米国経済全体にも波及する可能性があるため、投資家心理を急激に冷え込ませた。
また、主要テック株が下落したことで「AIブームによる強気相場」も一服し、暗号資産への投資余力が減退している点も見逃せない。トランプの暗号資産政策への期待が生じたことで短期的に価格が押し上げられたものの、貿易関税やインフレ懸念といった複合的な要因が重なり、市場全体が揺さぶられる構図が鮮明となっている。
暗号資産と実物資産の資金シフト トランプ政権下の市場不安定化がもたらす資金流動の行方
暗号資産市場が全面安となる中、安全資産としての金が買われる動きが顕著となっている。月曜日の金価格は2%上昇し、1トロイオンス2,904ドルを記録した。これはトランプ政権が打ち出す関税強化やインフレ圧力への懸念が高まり、市場参加者がリスク資産から資金を退避させる動きに転じたことを物語る。
暗号資産の代表格であるビットコインも「デジタルゴールド」として一定の価値保存機能が期待されるが、短期的には従来のリスク資産同様のボラティリティを示し、安全資産としての信頼性を維持できるかは不透明な状況にある。特に今回のように、トランプ自身の発信によって高騰したミームコインTRUMPが、わずか1日で25%もの急落を見せたことは、暗号資産市場全体のセンチメント悪化を象徴する事例といえる。
この先、米国の貿易政策が市場全体に与える影響は一段と大きくなる可能性がある。カナダ・メキシコ・中国といった主要貿易相手国への関税強化は、米国経済への負担増だけでなく、暗号資産を含む全資産クラスのリスク評価を見直す契機ともなり得る。暗号資産が金に代わる安全資産となるには、依然として政策リスクに対する耐性と価格安定性の確立が不可欠といえる。
Source:Decrypt