ビットコインのオープンインタレストが6か月ぶりに最低水準へと低下した。前回この水準に達した際には5万~6万ドルで取引され、その後10万ドルを突破する上昇局面を迎えた経緯がある。さらに現在、資金調達率もマイナスに転じており、これは過去の上昇前に見られた状況と一致する。
一部の著名アナリストはこれらの動きを強気材料と捉え、底値圏に到達した可能性を示唆する。特にRSIが24まで低下していることや、aSORP指標が強気相場の継続を示している点に注目が集まる。一方、価格上昇には9万3,000ドルや9万4,000ドルといった重要レジスタンス突破が不可欠との見方も強い。
中国の対米報復関税によるS&P500先物の下落がビットコインにも波及し、一時8万9,250ドルまで急落する場面もあった。さらにトランプ大統領によるデジタル通貨政策の発言が注目を集める中、政策や規制への懸念もくすぶり、市場の先行きには依然として不透明感が漂う。
ビットコインのオープンインタレストが6か月ぶり低水準 価格形成への影響と過去の類似事例

ビットコインのオープンインタレストは、直近で6か月ぶりの低水準にまで低下した。このオープンインタレストとは、未決済の先物ポジション残高を指し、市場参加者の取引意欲や資金流入の動向を示す重要指標である。過去に同様の低水準を記録した際には、ビットコイン価格が5万〜6万ドルのレンジに位置していたが、その後10万ドル超へと急騰した実績がある。
特に今回、オープンインタレスト低下に加え、資金調達率がマイナスに転じている点も注目に値する。この資金調達率とは、先物市場におけるロング(買い)とショート(売り)の需給バランスを示すもので、マイナス転換はショート勢が優勢であることを意味する。過去には同様の局面から価格反発につながった事例も確認されている。
ただし、過去と現在では市場環境が大きく異なり、単純な反発シナリオに結びつくかは不透明である。規制強化の動きや、地政学的リスクによる外部環境の変化が加わることで、オープンインタレストの低下が意味するものも変容しつつある。単なる投機筋の撤退だけでなく、リスク回避姿勢が背景にある可能性も念頭に置く必要がある。
アナリストが示唆する底値圏と重要レジスタンス突破の条件
暗号資産アナリストのCrediBULL Crypto氏やAli Martinez氏は、現在のビットコインのテクニカル指標を踏まえ、価格が底値圏にある可能性を示している。Martinez氏は特にRSI(相対力指数)に注目し、現在の24という数値が過去の反発局面と類似している点を指摘する。一般にRSIが30を下回ると売られ過ぎと見なされ、反発の契機となることが多い。
さらにMartinez氏は、aSORP指標も強気相場の継続を示していると分析する。この指標は、保有資産が利益確定される際の価格動向を示すものであり、強気相場では利益確定売りが一定程度抑制される傾向にある。aSORPが強気を示す中でRSIが24に低下した状況は、歴史的に見ても底打ちの兆候と捉えられるケースが多い。
一方、楽観論のみで相場を語るにはリスクも多い。CrediBULL Crypto氏やTitan of Crypto氏は、9万3,000ドルおよび9万4,000ドルの重要レジスタンス突破が不可欠と強調している。特に雲(Kumo)クラウドを明確に上抜けできなければ、短期的な戻り売り圧力に晒される可能性もある。テクニカル指標が示すポジティブ要素と、実際の価格推移の乖離を常に注視する必要がある。
世界経済の不確実性と政策リスクがビットコイン相場に与える影響
3月3日にビットコインは、1時間足らずで9万3,700ドルから8万9,250ドルへ急落した。この急激な価格変動は、同時期にS&P500先物が1%下落した動きと重なり、中国が米国製品に対し新たに10%の報復関税を発表したことが背景にある。株式市場の動揺がビットコインにも波及する構図は、昨年から繰り返し見られてきた傾向である。
さらに、トランプ大統領が戦略的デジタル通貨準備にビットコインやイーサリアムを組み込むべきだと発言した点も、市場の神経を尖らせている。デジタル資産を政策の一環とする構想自体は市場にポジティブな印象を与え得るが、その具体的な実現方法や規制方針の不透明感は依然として払拭されていない。
政策リスクと市場環境の不安定さが交錯する中、ビットコインは短期的には9万ドル前後での攻防を続ける可能性がある。外部環境に対する耐性を高めるには、機関投資家や大口投資家による安定的な資金流入が不可欠であり、政策の方向性がその行方を左右することになる。価格動向のみならず、政策リスクとグローバルな資金フローの変化を並行して読み解く視点が求められる。
Source:Cryptopolitan