AMDの次世代グラフィックスカード「RX 9060 XT」に関する新たな情報が明らかとなった。Acerがユーラシア経済委員会(EEC)に提出した申請書類によると、RX 9060 XTには8GB版と16GB版の2つのVRAM構成が存在する可能性が浮上している。NVIDIAがRTX 5060 Tiで採用するとされる同様のデュアル構成と足並みを揃える形だが、今回の情報はEECへの仮登録に基づくものであり、最終仕様を確定するものではない。

申請内容をX(旧Twitter)上で指摘したのは、リーク情報で知られる「Harukaze5719」であり、AcerのPredator BiFrostシリーズとして登録された点も注目される。AMDは2025年第2四半期にRX 9060シリーズを正式発表する見通しで、すでに上位モデルのRX 9070シリーズがローンチ済みであることから、今後も下位モデルに関する情報流出が加速する可能性は高い。

RX 9070の価格設定が想定よりも抑えられていたことを受け、RX 9060シリーズにもコストパフォーマンスへの期待が集まる。新たなリーク情報が相次ぐ中、RDNA 4世代の市場戦略が徐々に明らかになりつつある。


AMD RX 9060 XTのEEC申請が示す8GB版と16GB版の存在とその背景

Acerがユーラシア経済委員会(EEC)に提出した申請から、AMDの次世代GPU「RX 9060 XT」が8GB版と16GB版の2つのVRAM構成で登録されていることが確認された。EEC申請は新製品の登場を示唆する重要な手がかりとなるが、その内容が最終仕様に直結するとは限らない。特にグラフィックスカード分野では、仮登録による未確定情報が多く含まれており、慎重な解釈が求められる。

今回のEEC申請では、Acerのゲーミングブランド「Predator BiFrost」シリーズとしてRX 9060 XTが登録されている点が特筆される。ハイエンド製品で知られるBiFrostシリーズに名を連ねたことからも、一定の性能水準を持つモデルとして位置づけられる可能性が考えられる。

なお、今回の登録は「RX 9060 XT」に限定されており、無印のRX 9060に関する記載は存在していない。しかし、この不在が無印モデルの存在を否定するものではなく、単にAcerが現時点でBiFrostシリーズに投入するモデルをXTに限定している可能性もある。RX 9060シリーズ全体の展開は今後の追加情報を待つ必要がある。

RDNA 4世代の位置づけとRX 9060 XTに求められる役割

RX 9060 XTが属するRDNA 4世代は、AMDの次期GPUアーキテクチャとして2025年第2四半期に本格的な展開が予定されている。既に上位モデルであるRX 9070シリーズが発表され、期待を超える価格設定で市場の注目を集めたことが記憶に新しい。RX 9060 XTは、その1ランク下に位置するミドルレンジモデルとして、性能と価格のバランスが極めて重要となる。

RDNA 4世代は、NVIDIAのRTX 5000シリーズと正面から競合する世代であり、特にミドルクラスは市場規模が大きく、消費者層も幅広い。このため、RX 9060 XTが8GB版と16GB版を用意する背景には、用途や価格帯に応じた柔軟な選択肢を用意し、市場全体を広くカバーする意図が読み取れる。

さらに、RTX 5060 Tiも同様に8GB版と16GB版のデュアル構成が噂されており、RX 9060 XTのVRAM構成は競合製品に合わせた戦略と捉えることもできる。ただし、VRAM容量のみで競争力が決まるわけではなく、RDNA 4世代としてのパフォーマンス効率や消費電力、レイトレーシング性能の進化が鍵を握る展開となることは間違いない。

AMDとNVIDIAのミドルレンジ競争と価格戦略への影響

RX 9060 XTに対する市場の期待が高まる背景には、RX 9070シリーズの価格設定が想定以上に抑えられた点が大きく影響している。上位モデルが価格面で一定の評価を得たことで、下位モデルのRX 9060 XTにも同様の価格競争力が求められる状況となった。特に円安や半導体コスト高の影響が残る中、価格対性能比の高さは購買層にとって最重要視される要素となる。

NVIDIAもRTX 4060 Tiで8GB版と16GB版を展開し、RTX 5060 Tiでも同様の構成が検討されていることから、AMDがRX 9060 XTでも同様のラインナップを構えるのは合理的な選択といえる。ユーザーにとっては、予算や用途に応じた選択肢が広がる一方、AMDとNVIDIAの価格競争はさらに激化する可能性がある。

RX 9060 XTが16GB版を用意する背景には、高解像度ゲームや生成AI用途など、VRAMを多く必要とするシーンへの対応も視野に入れていると考えられる。ただし、VRAM容量を差別化要素とする手法はNVIDIAが先行してきた経緯があり、AMDがどの程度価格と性能のバランスを取りながら優位性を示せるかが、RDNA 4世代の成否を左右する重要なポイントとなる。


Source:TweakTown