Nvidiaの新型グラフィックカード「RTX 5070」が米国のB&H Photoをはじめとする小売店で、発売直前に複数モデルがメーカー希望小売価格(MSRP)で掲載されていることが確認された。PNYやGigabyte、Asusといった主要メーカーのオーバークロック版も含め、一律550ドルという価格設定が目立つ状況となっている。

一方で、過去の事例や市場動向を踏まえると、こうした価格は事前の仮設定である可能性が高く、実際の販売時には価格上昇が避けられないとの見方が根強い。特にカスタムモデルやオーバークロックモデルがMSRPを維持するのは異例であり、最終的な実売価格への懸念は強い。

さらに、Blackwell世代のGPUは深刻な在庫不足に直面しており、RTX 5070も例外ではないとする観測もある。実際、発売直後から品薄や転売価格の高騰が予測されており、希望小売価格での安定供給は期待薄との声も多い。



RTX 5070のMSRP掲載に見える米国小売市場の現状と価格設定の不整合

Nvidiaの新型GPU「GeForce RTX 5070」が、3月5日の発売直前に米国B&H Photoなど複数の小売店でメーカー希望小売価格(MSRP)550ドルで掲載されている。PNY、Gigabyte、Asusといった主要ブランドのエントリーモデルからオーバークロック版まで横並びで同一価格となっており、価格設定の不整合が浮き彫りになっている。

特に、Gigabyte WindForce OCやPNY OCモデルといったオーバークロック仕様の製品が、非OC版と同一価格に設定されている点は、過去モデルの傾向から見ても異例である。RTX 5080でもオーバークロックモデルは標準版より25%以上高く設定されるのが通例であり、RTX 5070でも同様の価格差が生じると見るのが自然である。

こうした不整合は、現時点の掲載価格が最終的な販売価格ではなく、小売店が事前に仮価格として設定している可能性を強く示唆する。特にBlackwell世代のGPUでは発売直前に価格調整が行われるケースが目立ち、RTX 5070も価格変動を前提にした掲載である可能性が否定できない。

Blackwell世代の在庫逼迫と転売価格高騰のリスク RTX 5070にも影響か

RTX 5070を含むBlackwell世代のNvidia製GPUは、発売直後から深刻な在庫不足に陥ってきた。特にハイエンドモデルであるRTX 5090は、初回出荷分が即完売し、以降の補充も極めて限定的であった。RTX 5070においても同様の在庫難が予想される背景には、製造プロセスの歩留まりや半導体需給の偏りがあると考えられる。

在庫不足が常態化すれば、転売業者による価格つり上げは避けられず、小売店自身が需要の高まりを理由にMSRPを大幅に超える価格設定を行う事態も想定される。MSIのRTX 5070 Ti Ventus 3X OCが900ドルで掲載された事例は、Blackwell世代全体の価格高騰リスクを象徴している。

ただし、エントリークラスのモデルについては、一定数の安定供給が行われる可能性も指摘されている。Best BuyでAsus Prime RTX 5070が発売時点で550ドルのMSRPを維持している事実は、特定グレードにおいては価格維持の可能性を示唆するが、市場全体としては不透明な状況が続く。

AMD RDNA 4発表がNvidia RTX 5070の市場環境に与える影響

Nvidia RTX 5070の市場環境にとって、見逃せない外部要因となるのがAMDのRDNA 4世代GPUの動向である。AMDは3月6日に新型GPUを正式発表する予定であり、Blackwell世代と競合するミドルレンジモデルも含まれると見られる。

特にRDNA 4世代では、初動から比較的潤沢な供給体制が整う可能性が指摘されており、Nvidia製品の供給難と対照的な構図が浮かび上がる。十分な在庫を確保したRDNA 4製品が適正価格で市場投入されれば、RTX 5070の需給や実売価格にも直接的な影響を与える可能性がある。

また、価格競争が激化すれば、Nvidia側が一部モデルに対し価格改定や販売戦略の見直しを迫られる可能性も排除できない。こうした外部環境の変化は、RTX 5070の価格形成や在庫動向を左右する重要な要素となり、今後も注視が必要である。


Source: TechRadar