Apple(AAPL)の株価は2025年初頭に4.7%下落し、昨年の好調な推移とは一転して厳しい局面を迎えている。市場アナリストらは、iPhone 16eの販売不振と米中貿易摩擦の影響が、今後の株価動向を左右する要因になると警鐘を鳴らす。
特に中国市場での成長鈍化がiPhone 16eの販売低迷につながっていると指摘され、技術革新の要とされるAI分野でも期待ほどの影響を及ぼしていない。加えて、トランプ前大統領の関税政策が再び市場に不透明感をもたらし、Appleの事業環境にも逆風となる可能性がある。
こうした背景から、証券会社JefferiesはAppleの2025年の株価見通しを「アンダーパフォーム(市場平均を下回る)」と評価し、目標株価を現行よりも低い水準に設定。市場全体の停滞が続けば、AAPLは年内に200ドルを割るリスクも否定できず、今後の動向が注視されている。
iPhone 16eの販売低迷 中国市場での成長鈍化が影響

Appleが投入したiPhone 16eは、発売当初から販売が振るわず、厳しい評価を受けている。証券会社Jefferiesのエジソン・リー氏は、Appleの成長鈍化の一因として中国市場の減速を指摘。特に、iPhone 16eは従来モデルと比較して機能面での革新性が乏しく、消費者の買い控えが生じている可能性がある。
販売データはまだ公表されていないが、市場関係者の間では、予想を下回る結果になるとの見方が強まっている。中国市場の減速はAppleにとって大きな懸念材料だ。同国は同社のスマートフォン販売において重要な市場であり、特にハイエンドモデルの売上に大きく貢献してきた。
しかし、近年はHuaweiを筆頭に国内メーカーの台頭が著しく、Appleのシェアは徐々に低下。加えて、政府の政策も外資系スマートフォンメーカーにとって逆風となり得る。Appleは「Apple Intelligence」と呼ばれるAI技術の導入によって競争力を高める戦略を進めているが、現時点では市場に大きなインパクトを与えていない。
技術革新のペースが鈍化する中、消費者の買い替えサイクルも長期化。今後の展開次第では、Appleの成長モデルそのものが再考を迫られる可能性がある。
関税政策の不透明感が市場に与える影響
Appleの株価に影響を与える要因の一つとして、トランプ前大統領の関税政策がある。すでにカナダやメキシコに対する新たな関税措置が進行中であり、米中間の貿易摩擦が再燃すれば、Appleの調達コスト増加や販売戦略の見直しを余儀なくされる可能性がある。特に、同社は中国に多くの生産拠点を持ち、関税の影響を直接受ける企業の一つだ。
Appleはこれまで、関税問題に対して生産の一部をインドやベトナムに移転するなどの対策を講じてきた。しかし、サプライチェーンの変更には時間を要し、短期的には業績への悪影響が避けられないと考えられる。特に、米国市場における価格上昇は消費者の購買意欲を削ぐ要因となり得る。
さらに、トランプ前大統領の発言が市場全体の不安定要因となっている点も注目される。CNBCのジム・クレイマー氏は「今後の市場環境は予測困難」と述べており、Appleを含む米国企業にとって関税リスクが収益予測に影響を及ぼすことは避けられないと指摘。仮に関税措置が強化されれば、Appleのサプライチェーン戦略はさらなる調整を迫られることになる。
2025年のApple株価見通し 市場は成長鈍化を織り込みつつある
証券会社Jefferiesは、Appleの株価見通しについて「アンダーパフォーム(市場平均を下回る)」との評価を維持し、2025年の目標株価を202.33ドルと設定した。これは現在の株価239.06ドルを下回る水準であり、成長期待の後退を反映している。仮にこの予測が的中すれば、2024年夏以来初めて200ドルを割り込む可能性がある。
Appleの株価を取り巻く環境は厳しく、市場の停滞が続けば、今後数カ月は横ばいの展開が続くとの見方もある。オンチェーン分析機関Traders Unionの予測では、2025年3月のAppleの平均取引価格は240ドル前後と見られており、直近の株価とほぼ同水準。しかし、実際の市場動向次第ではこの価格帯を維持できない可能性もある。
Appleの将来を左右する要因は複数あるが、特にスマートフォン市場における競争の激化と地政学リスクが懸念される。Jefferiesが指摘するように、iPhone 16eの販売が低迷すれば、次期モデルの成功がより重要になる。一方で、関税問題や米中対立の影響が長期化すれば、Appleのビジネスモデルそのものが変革を求められる局面に入るかもしれない。
Source:Watcher Guru