2025年3月4日、トランプ政権がメキシコ・カナダからの輸入品に対する新関税を発動し、中国への関税率も10%から20%へ引き上げた。この措置は成長株全般にとって逆風となる可能性が高いが、その中でも人工知能(AI)分野で圧倒的な存在感を示すNvidiaには、引き続き高い期待が寄せられている。
Wedbush証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、Nvidia株に対する「アウトパフォーム」評価を再確認し、目標株価を175ドルに設定。現在の株価から約60%の上昇余地があるとした。アイブス氏は、AIが産業革命以来の最重要技術変革であり、今後3年間で企業のAI投資総額が2兆ドルに達すると見込む。
貿易規制強化やAI市場鈍化リスクが指摘される中でも、Nvidiaは直近決算で市場予想を大幅に上回る売上高を記録し、2025年度第1四半期の業績ガイダンスも強気を維持。AI関連チップの需要拡大が引き続き同社業績を牽引すると予測される。
トランプ政権の関税引き上げと成長株への影響 具体的な事実とNvidiaに対する特異な評価

2025年3月4日、トランプ前大統領が再び発動した貿易政策が、成長株全般にとって新たな圧力となっている。メキシコとカナダからの輸入品に対し新たな関税措置を実施し、中国への輸入品には既存の10%から20%への関税率引き上げが発表された。特に中国向けの先端半導体や電子部品が対象となることで、ハイテク関連の成長企業への影響が懸念されている。
成長株を取り巻く環境が厳しさを増す中、Wedbush証券のダン・アイブス氏はNvidiaに対する評価を「アウトパフォーム」で維持し、目標株価を175ドルとした。現在の株価水準から約60%の上昇余地があるとし、他の成長株とは一線を画した評価を与えている。
成長株全般に対する関税リスクが重くのしかかる一方で、NvidiaにはAI分野の世界的な需要拡大を背景とする強固な成長基盤がある。関税の逆風下でもNvidiaが強気評価を維持される背景には、単なる半導体メーカーを超えたAIインフラ構築の中核企業としての地位が存在している。
AI関連投資2兆ドル規模の潜在市場 Wedbushが示す中長期成長の道筋
Wedbush証券のダン・アイブス氏は、NvidiaがAI関連市場で果たす役割を「産業革命以来の最大の技術変革」と表現し、今後3年間でAI関連への企業投資総額が2兆ドル規模に達する可能性を指摘している。これにより、Nvidiaは単なる半導体メーカーにとどまらず、AIプラットフォームを支える中核企業としての位置付けがより明確になっている。
企業によるAIインフラ構築や生成AIの実用化に対する期待感は高まり続けており、その技術的基盤を提供するNvidiaへの需要は構造的な成長要因とみなされている。トランプ政権の関税強化が企業コスト増やサプライチェーンの見直しを迫る中でも、AI分野への投資熱は冷める兆しがなく、むしろ競争優位性を確立するための戦略投資として加速する可能性もある。
一方で、AI市場の拡大がもたらす恩恵はNvidiaだけに留まるものではなく、競合他社や新興企業も含めた業界全体の技術革新を促すと考えられる。Wedbushの見立ては、あくまでNvidiaの技術力と市場支配力に着目した評価であり、競争環境の変化による成長鈍化リスクも引き続き注視が必要である。
貿易規制強化や中国リスクが懸念される中でもNvidiaが市場予想を上回る背景
Nvidiaに対する強気姿勢が続く理由の一つとして、同社の直近決算が市場予想を10億ドル上回る売上高を記録し、2025年度第1四半期に対しても強気な業績ガイダンスを示した事実がある。売上高見通しは430億ドルと、アナリスト予想の417億8000万ドルを大幅に上回る水準であり、AI向けチップの旺盛な需要を反映したものとなっている。
貿易規制強化や中国への先端チップ輸出制限がNvidiaの事業リスクとして認識される一方で、同社は米国や欧州のAI関連投資を取り込むことで売上拡大を継続している。特に生成AIやデータセンター向けGPU需要が堅調であり、規制リスクを上回る成長ドライバーが存在していることが明らかである。
加えて、NvidiaはAIインフラ市場において独自のエコシステムを形成しており、ソフトウェアプラットフォームとハードウェアの一体提供により他社との差別化を図っている。外部環境の不確実性が高まる中でも、事業構造の強靭さと技術優位性が強気評価を下支えしていると考えられる。
Source: Barchart.com