GoogleはPixel 9シリーズに新機能を追加し、複数のカメラを接続してライブ配信の映像をリアルタイムで切り替えられるようにする。この「マルチカメラ配信機能」は2025年3月の「Pixel Drop」アップデートの一環として提供される予定で、Wi-FiやBluetooth経由で他のPixel端末やGoProカメラと接続可能だ。
ユーザーはYouTubeやInstagram、TikTokなどの主要ライブ配信アプリでこの機能を活用し、スマートフォンだけでプロ仕様の演出を実現できる。また、追加のカメラとしてPixel 6以降のモデルが使用できるため、従来の端末を活用しながら撮影の幅を広げることが可能だ。
本アップデートには、詐欺防止のAI機能や「デバイスを探す」の共有機能なども含まれる見込み。Pixel 9シリーズの新たな進化が、コンテンツ配信の在り方を変える可能性がある。
Pixel 9のマルチカメラ配信機能とは 仕組みと対応デバイス

Pixel 9シリーズに追加される「マルチカメラ配信機能」は、Wi-FiおよびBluetoothを活用し、他のPixel端末やGoProカメラと接続することで、複数のカメラアングルをリアルタイムで切り替えられる技術である。映像はPixel 9本体のライブ配信ダッシュボードに集約され、ユーザーはワンタップで視点を変更可能となる。
この機能は2025年3月の「Pixel Drop」アップデートに含まれ、Pixel 9シリーズのユーザーに提供される予定だ。対応するカメラとして、Pixel 6以降のスマートフォンがセカンダリカメラとして利用可能であり、さらにGoProのHERO 10 Black以降のモデルとも連携できる点が特徴的だ。
接続されたカメラの映像はYouTube、Instagram、TikTok、Facebook、Snapchatといったライブ配信アプリで直接活用できる。専用アプリを介さず、標準のライブ配信機能内で操作できる点も、利便性を高める要因となるだろう。
この機能は、スマートフォン単体でプロフェッショナルな映像演出を実現する試みとして注目される。従来、複数のカメラを用いたライブ配信には高価な機材や配信ソフトウェアが必要だったが、Pixel 9シリーズではスマートフォンのみで手軽に実現できる。
特に動画コンテンツの需要が高まる中、手軽に多視点の映像を配信できる仕組みは、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となり得る。
Pixel 9のアップデートで強化されるその他の機能
Pixel 9シリーズの「Pixel Drop」アップデートには、マルチカメラ配信機能のほかにも、ユーザー体験を向上させる複数の新機能が含まれる。そのひとつが「AIを活用した詐欺防止機能」であり、不審な通話やメッセージを検出し、ユーザーに警告を発する仕組みが搭載される可能性がある。
また、「デバイスを探す」アプリでは、他のユーザーと位置情報を共有できる新機能が追加され、紛失時の利便性が向上すると見られる。加えて、米国市場向けには「衛星SOSサポート」の拡張も行われる。
これは、通信圏外の状況でも緊急時に救助要請が可能となる機能であり、すでに一部のPixel端末に搭載されているが、今回のアップデートでより多くのユーザーが利用できるようになる見込みだ。これにより、登山やアウトドア活動をするユーザーにとって、Pixel 9シリーズの価値はさらに高まるだろう。
また、「Pixel Studio」およびスクリーンショット編集アプリの改善も予定されており、クリエイティブな用途にも対応が強化されると考えられる。Googleは近年、Pixelシリーズに独自のAI技術を積極的に導入しており、写真や動画編集の分野で他のスマートフォンとの差別化を図っている。
今回のアップデートにより、Pixel 9シリーズはさらに多機能なデバイスへと進化することになりそうだ。
Pixel 9のマルチカメラ機能がもたらすライブ配信の変化
Pixel 9のマルチカメラ機能は、ライブ配信の在り方を大きく変える可能性がある。これまで、複数のカメラを使用した配信はプロ向けの機材やソフトウェアが必要であり、一般ユーザーが手軽に実施することは難しかった。しかし、Pixel 9ではスマートフォン単体でカメラの視点を切り替えられるため、動画クリエイターや配信者にとって画期的な機能となるだろう。
特に、スポーツ実況やイベント配信、教育コンテンツの分野での活用が期待される。例えば、フィットネスインストラクターが異なるアングルから動きを見せることで、視聴者にとってより分かりやすい配信が可能になる。また、インタビューやディスカッション形式の配信では、話者ごとにカメラを切り替えることで、より洗練された演出が実現できる。
この機能の導入は、ライブ配信市場における競争にも影響を与える可能性がある。現在、ライブ配信の多視点化を実現するためには、専用のスイッチャーや配信ソフトが必要とされている。しかし、Googleがこの技術を標準機能として提供することで、他のスマートフォンメーカーも同様の機能を開発する動きが出てくるかもしれない。
今後、スマートフォンを活用したライブ配信のスタイルが、より高度かつ多様化していくことが予想される。
Source:Android Authority