人工知能(AI)分野をけん引するNvidiaとBroadcomが、データセンター向けハードウェア市場で覇権を争っている。Nvidiaは圧倒的シェアを持つGPU市場を背景に、2025年度のデータセンター関連収入が1,150億ドルに到達。前年比114%増と驚異的な成長を遂げた。一方、BroadcomはVMware買収効果もあり売上は前年比44%増を記録したが、オーガニック成長率は9%にとどまり、AI関連事業比率も全体の24%に過ぎない。
今後の焦点は、主要テック企業が自社設計のカスタムアクセラレータへ移行するか、NvidiaのGPUを引き続き採用するかにある。BroadcomのカスタムAIアクセラレータ市場が2027年までに最大900億ドルへ成長する可能性も示唆されるが、現在の収益規模ではNvidiaとの差は歴然。予想PER27倍の割安感と高成長率を併せ持つNvidiaの優位性は揺るがないと言えるかもしれない。
NvidiaとBroadcom データセンター向けAIハードウェア競争の最前線

NvidiaとBroadcomは、AI時代のインフラを支えるデータセンター向けハードウェア市場において、異なる戦略で存在感を示している。Nvidiaはグラフィックス処理ユニット(GPU)を中核に据え、AI向けの計算処理で高いシェアを獲得。2025年度にはデータセンター関連収入が前年比114%増の1,150億ドルに到達した。ゲームやエンジニアリング分野を超え、AI需要が圧倒的な成長を牽引している。
一方、Broadcomは、カスタムAIアクセラレータとデータセンター向け接続スイッチを主力とし、Alphabetなど主要顧客向けに専用設計を展開。2024年度のAI関連収入は122億ドルと全体売上の約24%にとどまるものの、2027年には同市場が600億から900億ドルに拡大する見通しが示されている。事業ポートフォリオの多様化により、AI領域への依存度が低い点もNvidiaとの差として浮き彫りとなる。
両社の競争構造は、AI向け計算能力を担う標準化されたGPUと、用途特化型のカスタムアクセラレータという技術選択の違いにも現れている。特定のワークロードにはカスタム設計が有効とされる一方で、汎用性とスケーラビリティを備えるNvidiaのGPUは広範なAIワークロードに対応可能であり、今後もデータセンターの中心技術としての地位を維持する可能性がある。
バリュエーションと成長性が示すNvidiaの優位性とBroadcomの課題
NvidiaとBroadcomの企業価値を測る上で、AI関連事業の成長率と利益率に加え、株価評価の妥当性が重要な指標となる。Nvidiaは2025年度売上が1,305億ドルに達し、前年同期比で114%増という驚異的な成長を実現。AI関連製品群の圧倒的な需要が全社の成長エンジンとなっている。一方のBroadcomは、2024年度に売上全体が前年比44%増と大幅に伸長したが、その多くはVMware買収によるもので、AI事業単独のオーガニック成長率は9%にとどまる。
株価の割安感という点でも、Nvidiaの優位は明らかである。YChartsのデータによれば、Nvidiaの予想PERは27倍と、成長率を考慮すれば投資妙味が際立つ水準にある。一方のBroadcomは、過去利益ベースの指標がVMware買収の影響を受けるため、単純比較は困難だが、成長率の鈍化がバリュエーションの伸びを抑える要因となっている。
成長率・収益規模・AI分野での存在感・割安感といった複合的な視点から見れば、Nvidiaは依然として投資対象として極めて魅力的な立場にある。BroadcomはAI関連市場でシェア拡大の可能性を秘めつつも、他事業の比重が高い点や、成長率の低さが市場からの評価を限定的なものにしていると言える。
Source: The Motley Fool