マイクロソフトのCopilotが、Windows 11に完全統合されたネイティブアプリとして生まれ変わった。従来のPWA版ではWebView2を介して動作していたが、新バージョンではXAMLやWinUIといった最新のWindows技術を活用。これにより、メモリ使用量を50MB~100MBに抑えつつ、動作の軽快さと応答速度を大幅に向上させた。
加えて、新CopilotはWindows 11のシステム設定との連携を強化。サイドパネルやピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)モードの搭載により、操作性が向上した。今後のアップデートでは、さらに深いOS制御機能が実装される可能性もある。Windows Insider向けに提供が開始されたこのアップグレードは、Windows 11のAI活用を新たな次元へと押し上げるものとなるだろう。
Copilotの完全ネイティブ化がもたらす3つの変化

マイクロソフトは、従来Webベースで動作していたCopilotを完全ネイティブ化し、Windows 11との統合を深めた。まず、UIはXAMLやWinUIを採用し、システムの一部としてスムーズに動作する設計へと刷新。これにより、WebView2を利用していたPWA版と比較し、より直感的な操作が可能となった。
また、ネイティブアプリ化によりメモリ消費量が大幅に削減された。従来のPWA版では約1GBのRAMを使用していたが、新Copilotではわずか50MB~100MBに抑えられた。これは、Edgeコンポーネントへの依存を排除し、Windowsネイティブの軽量なアーキテクチャへ移行したことが要因である。
さらに、パフォーマンスの向上も顕著だ。WebベースのCopilotは動作の遅延が問題視されていたが、ネイティブ版では高速な処理が可能となり、応答性が向上。特に、Windows 11の各種設定との連携がスムーズになったことで、ユーザーはストレスなくAIアシスタントを活用できる環境が整った。
ChatGPTアプリと比較するCopilotの優位性
今回のCopilotのアップグレードにより、Windows 11におけるAIアシスタントの立ち位置が大きく変わることになる。従来のCopilotはWeb技術を基盤としていたため、ChatGPTアプリと比較しても動作の面で優位性は少なかった。しかし、新たなネイティブ版では、この構造的な弱点が解消される。
ChatGPTアプリは、Electronベースで動作しているため、Web技術を使用しながらもデスクトップアプリの形態をとる。しかし、Electronはブラウザエンジンを内包することからメモリ消費が大きくなりがちである。その点、Windows 11向けに最適化されたネイティブCopilotは、最小限のリソースで高速に動作し、OSとの親和性も高い。
また、機能面でも差が広がる可能性がある。新Copilotは、Windows 11の設定変更やシステムの制御に向けた統合が進んでいる。例えば、デスクトップのカスタマイズやシステム設定の変更を直接指示できる機能が追加される可能性がある。これにより、Copilotは単なるチャットAIにとどまらず、PC操作を補助するアシスタントへと進化することが期待される。
Copilotの今後の展望とWindows 11への影響
今回のネイティブ化は、Copilotの進化の第一歩に過ぎない。現時点では基本機能の強化に留まっているが、今後のアップデート次第でAIアシスタントの役割が拡張される可能性が高い。特に、Windows 11のシステム設定を直接制御する機能の追加は、マイクロソフトが狙う次のステージとなるだろう。
例えば、ユーザーが音量調整やディスプレイ設定を変更したい場合、従来は手動で設定画面を開く必要があった。しかし、Copilotがシステムコマンドを実行できるようになれば、「明るさを50%に設定」「Wi-Fiをオフにする」といった音声やテキスト指示で即座に操作が可能となる。これにより、Windows 11の操作性は大幅に向上する。
さらに、CopilotがPCのパフォーマンス管理を担う可能性もある。バックグラウンドアプリの制御や不要なプロセスの停止をAIが判断し、リソースの最適化を自動で行うことができれば、Windows 11はより効率的なOSへと進化する。マイクロソフトの今後の開発方針によっては、CopilotがOSのコア機能の一部となる日も遠くないかもしれない。
Source:Windows Latest