AMDのボードパートナーであるColorfulは、新たなBIOS機能「X3D Gaming Mode」を発表した。この機能により、Ryzen X3DプロセッサーのSMT(Simultaneous Multi-Threading)が無効化され、2CCD構成の場合は片方のCCDを無効化することでゲーム負荷を最適化できる。

対応するのはColorfulのAM5マザーボードに搭載されたRyzen 7000および9000シリーズであり、特にL3キャッシュを大容量に備えたX3Dプロセッサーでの効果が期待される。Colorfulの発表によると、「PUBG」でのパフォーマンスは最大17%向上し、競合技術であるGigabyteの「X3D Turbo Mode」との違いも注目される。

この新機能は、ハードウェアチューニングを必要とせず、BIOS設定から簡単に有効化が可能である。Colorfulの取り組みは、ゲーム向けプロセッサーの最適化手法に新たな選択肢をもたらすものとなるだろう。

Colorfulが発表したX3D Gaming Modeの詳細と技術的特徴

Colorfulは、AMD Ryzen X3Dプロセッサー向けの新たなBIOS機能「X3D Gaming Mode」を発表した。この機能の最大の特徴は、SMT(Simultaneous Multi-Threading)の無効化とCCD(Core Complex Die)の最適化である。

通常、RyzenのX3Dモデルは追加のL3キャッシュを搭載し、ゲーミング性能の向上を目的として設計されているが、SMTを無効化することでシングルスレッド性能を強化し、ゲームプレイにおける遅延を低減する効果が期待される。

この技術はColorfulのAM5マザーボードに実装され、Ryzen 7000および9000シリーズで使用可能である。特に、Ryzen 9 9900X3DやRyzen 9 9950X3Dのような2CCD構成のプロセッサーでは、片方のCCDを無効化することで、キャッシュの恩恵を最大限に引き出し、ゲームの負荷を1つのCCDに集中させる仕組みとなっている。

この最適化により、ゲーム中のフレームレートの安定化やパフォーマンスの向上が期待される。また、ColorfulのWeibo公式アカウントによる動画では、「PUBG」においてX3D Gaming Modeを有効にすることで、パフォーマンスが最大17%向上することが確認されている。

この数値は、競技性の高いFPSタイトルにおいて重要な要素となる。加えて、ColorfulはX3D以外のプロセッサーでもこの機能が利用できると発表しており、ゲーミングPC市場における最適化の新たな選択肢となる可能性がある。

X3D Gaming Modeがもたらすゲーミング体験の変化

従来、AMD Ryzen X3Dプロセッサーは、L3キャッシュの増強によってゲーミング用途に適した仕様となっていたが、SMTの有効化によってスレッドが分散し、一部のタイトルでは最適なパフォーマンスを引き出せないケースもあった。

X3D Gaming Modeを利用することで、SMTを無効化し、1CCD構成に統一することで、CPUリソースの集中が可能となり、特にシングルスレッド性能が求められるゲームでのフレームレート向上が期待される。一方で、この最適化が全てのゲームにとって有効であるとは限らない。

例えば、マルチスレッドを活用するゲームでは、SMTを無効化することでパフォーマンスが低下する可能性もある。また、CCDの無効化による影響は、使用するタイトルやアプリケーションの特性によって異なるため、ユーザーはゲームごとに設定を調整する必要があるだろう。

さらに、この機能はGigabyteの「X3D Turbo Mode」と比較されることが多い。Gigabyteの技術はCPUの動作パラメータを調整するものであり、SMTやCCDの制御は行わない点が異なる。どちらの技術がより効果的かは、タイトルごとの最適化の方向性やハードウェア構成に依存するため、ユーザーの選択肢は広がることになる。

AMD Ryzen X3Dプロセッサーの進化とゲーミングPC市場への影響

X3D Gaming Modeの登場は、AMD Ryzen X3Dプロセッサーの可能性をさらに引き出すものであり、特にゲーミング用途において新たな最適化手法として注目される。この機能はBIOSレベルでの設定変更により有効化できるため、オーバークロックや電圧調整といった複雑なチューニングを必要とせず、手軽にパフォーマンスを向上させる手段となる。

また、今後登場が予想されるRyzen 9000X3Dシリーズにおいても、この技術の有用性はさらに高まる可能性がある。特に、最新のゲーミングPCではハードウェアの最適化が進んでおり、BIOS機能を活用した調整は、GPUとのバランスを考慮した性能向上に貢献する。

一方で、X3D Gaming Modeの効果がどの程度の範囲で発揮されるかについては、今後の実機レビューやユーザーの検証が鍵を握るだろう。PUBGにおける17%の性能向上は魅力的ではあるが、他のタイトルにおいても同様の結果が得られるとは限らない。最適なCPU設定はゲームタイトルごとに異なるため、ユーザー自身が試行錯誤しながら最適な設定を見つけることが求められるだろう。

Source:Wccftech