英国の大手PCパーツ販売店Overclockers UKが、2025年3月6日に発売されるAMDの次世代GPU「Radeon RX 9070シリーズ」の価格を正式に発表した。対象モデルはRX 9070とRX 9070 XTで、Sapphire、PowerColor、ASRock、Gigabyte、ASUSといった主要メーカー製品が幅広く取り揃えられている。

価格はRX 9070モデルが529.99ポンドから649.99ポンド、上位モデルのRX 9070 XTは最廉価モデルで569.99ポンド、最上位は799.99ポンドに設定された。

特筆すべきは、発売初日から「1000個以上」の在庫を確保済みで、追加入荷も予定されている点である。これにより、近年のグラフィックスカード市場を悩ませてきた転売問題の抑制が期待される。また、AMDによる金銭的補助の仕組みを活用し、一部のRX 9070 XTモデルはMSRPに近い価格で販売される見通しだが、この補助適用分が完売した後には価格上昇の可能性も指摘されている。初動在庫の豊富さが市場の安定につながるのか、今後の販売動向が注視される。


AMD Radeon RX 9070シリーズの英国価格と在庫状況 過去シリーズと異なる販売体制

Overclockers UKは、Radeon RX 9070およびRX 9070 XTの価格と初期在庫に関する詳細情報を公表した。SapphireやPowerColor、ASRock、Gigabyte、ASUSといった主要メーカー製モデルが並び、RX 9070の価格帯は529.99ポンドから649.99ポンド、RX 9070 XTは569.99ポンドから799.99ポンドに設定されている。

この価格設定は、過去の同クラス製品に比べ比較的広いレンジを持つ点が特徴であり、エントリー志向のPulseから、ASUSのPrime OCやTUF Gamingといったプレミアム志向モデルまで多層的なラインアップが展開されている。また、Overclockers UKは発売初日に1000個以上の在庫を確保し、追加入荷の計画も明らかにしており、近年の供給不足に対する対策を前面に打ち出している。

2025年におけるRadeon RX 9070シリーズの販売体制は、これまでの発売直後に品薄化する状況とは異なり、初期段階で安定供給を前提としたものとなる可能性がある。この在庫戦略は、転売目的の買い占めを抑止しつつ、PCゲーマーを中心とする実需要層へスムーズに製品を届ける狙いがうかがえる。

AMDによる価格維持策と今後の価格変動要因 補助金依存からの脱却は困難か

RX 9070 XTモデルについては、AMDがメーカー希望小売価格(MSRP)維持のため小売業者に金銭的補助を行う仕組みが採用されている。Overclockers UKにおいてもこの補助を受けることで、発売当初の価格をMSRP水準に近づける形となっているが、補助対象となる在庫数には上限が設けられている。

このため、補助対象分が完売した後は、RX 9070 XTをはじめとするRadeon RX 9000シリーズ全体で価格上昇が生じる可能性が指摘されている。特に、供給状況や市場全体の需要動向によっては、発売直後の価格と一定期間経過後の価格差が顕著になる展開も想定される。

こうした補助金制度は短期的な価格安定には寄与するが、AMD自身が採算確保の観点から長期的に継続する保証はなく、最終的には販売店ごとの仕入れ価格や市場環境に依存する形となる。発売当初の価格安定と、その後の価格推移の乖離がどの程度生じるのか、引き続き慎重な見極めが求められる。

豊富な初期在庫が示すAMDの戦略 転売対策と市場支配力強化の狙い

Overclockers UKが確保した「1000個以上」の初期在庫は、近年のグラフィックスカード市場において特異な規模である。これまでの新製品発売時には、供給不足から瞬時に完売し、転売市場で高騰する事例が続いてきたが、今回のRadeon RX 9070シリーズでは状況が大きく異なる可能性がある。

豊富な初期在庫は、転売目的の買い占めを防ぎ、実際に必要とするユーザーへ行き渡る環境を整えるとともに、販売価格が過度に高騰しないための重要な要素となる。特に2025年は、他社競合製品とのシェア争いが一層激化する可能性が高く、AMDとしても安定供給を武器に市場優位性を確保したい思惑があると考えられる。

ただし、初期在庫が潤沢であることと、一定期間後の安定供給が維持されることは必ずしも一致しない。供給状況が後にタイト化すれば、価格上昇リスクや入手困難化も再燃しかねない。AMDが掲げる新世代GPUの市場戦略が短期施策に留まらず、中長期的なシェア拡大につながるかどうかは、今後の在庫推移と価格動向が大きく左右することになろう。

Source: Overclock3D