2025年初頭に投入されたNvidiaの次世代GPU「RTX 50シリーズ」が、早くも厳しい評価に晒されている。特に注目されたGeForce RTX 5070は、前世代4070 Superとの性能差が4%前後に留まり、テストによっては逆転される場面さえ報告された。

この状況に対し、Nvidiaは新機能「DLSS 4マルチフレーム生成」に強い期待を寄せるが、対応タイトル以外では効果が限定的であり、視覚的な破綻や操作遅延の問題も浮上している。

加えて、Nvidiaは価格戦略の見直しを進め、RTX 5070を549ドルに設定し、4080も前世代から値下げした。しかし、大幅値上げが続いた40シリーズからの反動としては限定的であり、消費者の信頼回復には至っていない。DLSS 4と価格引き下げはNvidiaの苦肉の策とも見えるが、果たして次世代GPUの評価を覆す材料となるのかは依然不透明である。



RTX 5070レビューに見る次世代GPUの現実 前世代比わずか4%の性能向上が突きつける課題

2025年初頭に登場したNvidiaのRTX 50シリーズは、次世代を担うGPUとして高い期待を集めたが、RTX 5070に関するレビューは一様に厳しい。IGNのジャクリーン・トーマス氏は「世代間の飛躍を提供できなかったシリーズの最悪の象徴」と痛烈に批判。PCWorldも5点満点中2.5点という低評価を下した。

最大の問題は、前世代RTX 4070 Superとの性能差が4%から6%程度に留まる点である。TechRadarに至っては、その差を「ほぼ存在しない」と切り捨てる評価を行った。特に「Call of Duty: Black Ops 6」の1440pテストでは、RTX 4070 SuperがRTX 5070を上回る結果も確認され、世代交代の意義自体が疑問視されている。

本来、新世代GPUには飛躍的な性能向上が求められるが、RTX 5070にはそれが見られない。これはプロセス技術やアーキテクチャそのものの刷新不足に起因する可能性もあるが、次世代への移行を慎重に進めるNvidiaの戦略的事情が背景にあるとも考えられる。性能競争から価格や機能強化へと軸足を移す流れが続く中、RTX 5070は時代の転換点に置かれた象徴的な存在と言える。

DLSS 4マルチフレーム生成の可能性と課題 技術革新の恩恵はどこまで届くのか

NvidiaがRTX 50シリーズにおいて最も強調する新技術が「DLSS 4マルチフレーム生成」である。1フレームのレンダリングにつき最大3フレームを補完生成する仕組みは、従来のDLSS技術を大幅に超えるものとして、CES 2025でも大きく取り上げられた。実際にPCWorldは、「スター・ウォーズ:アウトローの動作感がDOOM(2016)並みに快適化された」と絶賛している。

一方で、DLSS 4の効果には限界も見える。Arstechnicaが指摘するように、Cyberpunk 2077ではベースフレームレートの低さに起因し、ユーザー操作のもたつきや視覚的破綻が目立つと報告されている。DLSS 4自体の技術的優位性は認められつつも、タイトルごとの適性やベース性能の確保が依然として重要であることを示している。

NvidiaはRTX 5070を「4090クラスの体感性能を実現する」とアピールしてきたが、これはDLSS 4の恩恵を最大化できる一部タイトルに限られる可能性が高い。高負荷タイトルではベース性能不足が補えず、DLSS 4による補正も限界がある。この技術が「次世代の象徴」になり得るのか、今後の対応タイトル数や最適化状況に左右される状況である。

価格戦略とシリーズ全体の立ち位置 RTX 50シリーズの市場評価はどう変わるか

NvidiaはRTX 50シリーズにおいて、価格面でのアプローチを大きく転換している。RTX 5070の発売価格は549ドルに設定され、前世代のRTX 4070(599ドル)を下回る。さらに、RTX 5080も999ドルとし、RTX 4080の1199ドルから200ドルの大幅値下げに踏み切った。価格面では前シリーズの急激な高騰への反省がうかがえる。

しかし、この価格戦略が消費者に与えるインパクトは限定的と見るべきである。RTX 30シリーズ以前の価格帯と比較すると、依然として高価格帯に位置することに変わりはない。特にRTX 3080が699ドルで登場した過去を知る層にとって、50シリーズの価格は「値下げ」というよりも「高止まり」と映る可能性も否めない。

さらに、米国では関税政策の再強化が取り沙汰されており、この価格水準が維持できる保証もない。NvidiaがDLSS 4という技術革新と価格引き下げを同時に打ち出した背景には、世代交代としての明確な訴求点が薄い現状への危機感があるとも考えられる。RTX 50シリーズが市場でどのような評価を確立するかは、単なる価格の調整に留まらず、DLSS 4の普及度や実効性能の裏付けにかかっている。


Source: Laptop Mag