Appleは、デスクトップ型Macシリーズの中核を担う「Mac Studio」に2つの新モデルを投入した。「Mac Studio with M4 Max」は16コアCPUと最大40コアGPUを搭載し、映像編集や3Dモデリングといった高度なクリエイティブ作業を支える設計。AI処理能力も強化され、大規模言語モデル(LLM)の実行にも対応する。加えて、Thunderbolt 5を採用し、外部ストレージのデータ転送速度は最大120Gb/sと飛躍的に向上した。

一方「Mac Studio with M3 Ultra」は、32コアCPUと80コアGPUを備え、Apple史上最強の処理性能を誇る。トランジスタ数は1,840億個に及び、最大512GBのユニファイドメモリに対応。3ナノメーターダイ2基をUltraFusionで統合する構造により、圧倒的なパフォーマンスを実現した。

VFX制作やゲーム開発現場では既にその実力が披露され、「Autodesk Frame」や「Cinema 4D」のデモではリアルタイム合成や超高速レンダリングが確認された。次世代クリエイターの創造力を支えるデバイスとして、両モデルが持つ潜在力には大きな注目が集まる。



M4 MaxとM3 UltraがもたらすAppleシリコンの最新進化 具体的スペックと技術的特長を徹底解剖

Appleが2025年3月12日に発売する「Mac Studio with M4 Max」と「Mac Studio with M3 Ultra」は、それぞれ異なるターゲットに向けて設計されたモデルである。M4 Maxは16コアCPUと最大40コアGPUを搭載し、Neural Engineの性能はM1 Max比で3倍以上に向上。

ユニファイドメモリは36GBから最大128GBまで拡張でき、映像編集や3Dグラフィックス制作といった負荷の高い作業に対応する。また、Thunderbolt 5の採用により、データ転送速度は最大120Gb/sを実現し、外部ストレージの運用効率を飛躍的に引き上げる。

一方、M3 UltraはM4 Maxを上回る性能を備え、32コアCPUと80コアGPUを統合。3ナノメーターダイを2基結合したUltraFusionパッケージにより、1,840億個のトランジスタを搭載する構造となっている。メモリ帯域幅は800GB/sに達し、最大512GBのユニファイドメモリに対応。特にAIワークロードでは、大規模言語モデル(LLM)のリアルタイム推論を可能にする基盤を整えている。ストレージは最大16TBまで選択可能であり、映像データや3Dアセットを大量に取り扱うプロフェッショナルにとっては極めて魅力的な仕様と言える。

AppleはM4 Maxをクリエイティブ用途に、M3 Ultraをハイエンドな計算処理やAI処理を求めるユーザーに訴求しているが、両モデルともAppleシリコンの進化を象徴する存在として、市場の注目を集めることは間違いない。

クリエイティブ作業とAIワークロードを支える最新モデル 実演デモが示す具体的な活用事例

新型「Mac Studio with M4 Max」と「Mac Studio with M3 Ultra」は、実際のワークフローにおいてどのような力を発揮するのか。Tom’s Guideが体験したデモでは、VFXソフトウェア「Autodesk Frame」を用いた映像合成作業でM4 Maxの性能が披露された。5K解像度のビル群を夜空に配置するシーンでは、建物の合成のみならず、煙の効果をリアルタイムで追加する操作もスムーズに行われた。映像要素の管理やエフェクトの適用が即時に完了する様子は、クリエイターにとって極めて重要な要素である。

M3 Ultraのデモでは、3Dモデリングソフト「Cinema 4D」を使ったゲームグラフィック制作が紹介された。Pythonスクリプトで配置した植物を高解像度でレンダリングする作業が数秒で完了。これまで数時間を要した工程が一瞬で処理される様子は、M3 Ultraの圧倒的なパフォーマンスを証明するものとなった。また、「Cyberpunk 2077」を最高設定で60fps固定にしてプレイするデモも行われ、M4 Maxによる光と影のリアルな描写やスムーズな動作は、クリエイティブ用途以外にも高い潜在力を持つことを示唆している。

両モデルとも、単なる高性能PCではなく、リアルタイム処理や複雑なデータ処理を伴う次世代の制作環境に対応する基盤として、今後のクリエイティブやAI分野における標準機となる可能性を感じさせる。

進化するAppleシリコンが映すAppleの戦略 Mac Studio新モデルが示すハードウェアの方向性

今回の「Mac Studio with M4 Max」と「Mac Studio with M3 Ultra」の発表は、単なるスペック競争ではなく、Appleシリコンが目指すプラットフォーム全体の方向性を示すものと言える。特にM4 MaxにおけるAI処理性能の強化は、単なるアクセラレータの進化ではなく、AppleがNeural Engineを中核技術として、AI時代のデスクトップ体験を定義し直そうとする意思の表れである。6000億パラメータ規模の大規模言語モデルが動作可能という事実は、AIモデル開発や推論の現場においてMac Studioが持つ価値を飛躍的に高める要素となる。

M3 Ultraに関しては、AppleがこれまでMac Proに求められてきた究極性能を、コンパクトな筐体に収めることで、デスクトップ環境全体の在り方を再構築しようとしている姿勢が透けて見える。UltraFusionパッケージ技術によりダイをシームレスに結合し、3Dレンダリングやシミュレーションといった負荷の高いプロセスをリアルタイム処理可能にする設計は、ワークステーション市場に対するAppleの新たな挑戦を象徴するものでもある。

これらの進化からは、単なるスペックの積み上げではなく、AIとクリエイティブ、そしてワークステーションとしての機能強化を三位一体で実現するという、Appleの長期的なハードウェア戦略が読み取れる。Mac Studioは今後、単なるミドルレンジ機ではなく、最先端技術を集約したデスクトッププラットフォームとしての存在感を一層強めることになるだろう。


Source: Tom’s Guide