Asusは本日、Nvidiaの新型GPUであるGeForce RTX 5070の発売に際し、3種類の独自モデルの詳細と価格を発表した。米国市場向けにはエントリーモデルの「Prime」が550ドルと公式希望価格に据え置かれたものの、オーバークロック版の「Prime OC」は700ドル、上位モデル「TUF Gaming」は740ドルと発表され、上位モデルに迫る強気の設定が明らかになった。

Asusは今回、発売モデルを3種類に限定する方針を示したが、これは供給量が著しく限定される可能性を示唆する。加えて、初日には最上位シリーズの「ROG Strix」が登場せず、発売時期も未定とするなど、品薄感をさらに強調する展開となっている。

価格面でもミドルレンジ本来の立ち位置から外れつつあり、特に「Prime」と「Prime OC」の価格差は約27%に達し、単なるオーバークロック仕様にとどまらない付加価値戦略が透ける。販売初日から転売リスクも高まる中、Asusの強気な価格設定と供給制約が市場全体の動向にどう影響するか、今後の展開が注視される。


Asusが示したRTX 5070の価格差と販売戦略が浮き彫りにする市場構造

Asusは2025年3月6日、Nvidiaの最新ミドルレンジGPU「GeForce RTX 5070」の独自モデルとして、Prime、Prime OC、TUF Gamingの3種類を発表した。米国市場におけるメーカー希望小売価格(MSRP)である550ドルに据え置かれたのはPrimeのみで、Prime OCは700ドル、TUF Gamingは740ドルという強気な価格設定が明らかとなった。

この価格差は、エントリーモデルとオーバークロックモデル間で27%にも及び、カスタムモデルによる性能差以上に、希少性やプレミア感を付加価値とする戦略が透けて見える。

さらに、Asusが初期販売モデルを3種類に限定したことも注目すべき点である。上位モデルであるROG Strixシリーズの発売時期は未定とされ、初日からラインナップには含まれていない。これは単なる製品ラインナップの調整にとどまらず、RTX 5070自体の供給量が極めて限定的である可能性を強く示唆する動きとも捉えられる。

加えて、Asusが自社の米国オンラインストアや主要販売店で、今回発表された価格設定を前提に販売を開始する点にも留意すべきである。特にTUF Gamingの価格は、上位モデルであるRTX 5070 TiのMSRPである750ドルに迫る水準であり、価格帯としてはミドルレンジから上位ミドルレンジへの移行が進んでいる可能性がある。事実として確認される価格設定と供給量の少なさは、2025年のGPU市場において依然として需給バランスが大きく崩れている現状を映し出している。

Asusが見せた強気な価格設定と供給戦略に潜むリスクと背景

Asusが発表したRTX 5070シリーズの価格設定は、単なるカスタムモデルの価格差ではなく、市場全体に与える影響という点で極めて重要な示唆を持つ。特に、Prime OCが550ドルのPrimeに対して27%も高い700ドルに設定されている点は、単なるオーバークロック仕様にとどまらない戦略意図が見え隠れする。

オーバークロック耐性や基板設計の高度化といった要素以上に、「限られた初期出荷分の希少価値」を価格に転嫁している可能性も排除できない。

また、最上位シリーズであるROG Strixの初日販売見送りという事実も、Asusが供給量そのものを慎重にコントロールする姿勢を示すものと言える。これまでの噂や過去の販売動向から推測すれば、供給量が限定されることで、初期需要が一気に高まり、短期間での売り切れが続出する状況が予想される。この構図は転売屋やボットの介入を招く要因ともなり、実際の需要層に製品が行き渡らない事態を引き起こす可能性もある。

さらに、TUF Gamingの740ドルという価格設定は、上位モデルであるRTX 5070 TiのMSRPである750ドルとほぼ同水準である。この事実は、ミドルレンジGPUが従来の価格帯を逸脱し、事実上、上位モデルと価格的に競合する状況を生み出している。この価格設定が単なる高付加価値モデルへのシフトなのか、あるいはRTX 5070自体の供給不足を前提とした戦略なのか、今後の販売動向を通じて慎重に見極める必要がある。

Source: TechRadar