2024年第4四半期における世界のGPU出荷台数は7,690万台となり、前期比4.4%増とプラス成長を記録した。デスクトップ向けは低迷が続いたものの、データセンター向けGPUの需要が拡大し、市場全体を下支えした。データセンターGPUは前期比13.8%増と目覚ましい伸びを見せたが、消費者向け市場は米国の関税措置や地政学リスクを背景に不安定な動きを続けている。
NVIDIAはクライアント向け市場でのシェアが3.3%減少し15%に後退、IntelとAMDはシェアを小幅に伸ばしたが、NVIDIAは依然として市場全体での最大勢力を維持している。しかし需要対応力の低下が市場成長を抑制しているとの指摘もあり、2025年は関税措置の影響を長期にわたり受ける可能性が高い。
今後2028年までの年平均成長率は1.4%にとどまる見通しであり、AI PCの普及など新たな需要創出が求められる状況である。
2024年第4四半期のGPU出荷動向 データセンター需要と消費者市場の対照的な姿

2024年第4四半期における世界のGPU出荷台数は7,690万台に達し、前期比4.4%増とプラス成長を遂げた。だが、その成長を支えたのはデータセンター向けGPU市場であり、前年比13.8%増と目覚ましい拡大を示した。一方で、デスクトップ向けGPUは前年同期比5.4%減少し、消費者市場における停滞が鮮明となった。
データセンター需要の高まりは、生成AIや高度なデータ分析を担うハイエンドGPUへの継続的な投資が背景にあると見られる。特にクラウドサービスプロバイダーやAI開発企業の設備投資が下支えし、2024年を通じて堅調に推移したことがデータからも読み取れる。一方、コンシューマー市場では地政学リスクや関税措置の影響が直撃し、価格上昇への警戒感が消費意欲を冷え込ませる要因となった。
消費者向け市場では、NVIDIAを筆頭とする主要メーカーのシェア変動も注目される。NVIDIAのシェアは15%に縮小し、前期比3.3ポイントの減少を記録した。これに対し、IntelとAMDはそれぞれ1.9ポイント、1.3ポイントのシェア拡大を果たしたが、消費者全体の買い控えが続く中、その効果は限定的であった。
NVIDIAの市場シェア後退と供給制約がもたらす影響
2024年第4四半期のGPU市場で最も注目を集めたのがNVIDIAのシェア低下である。クライアント向けグラフィックスの総出荷台数に占めるNVIDIAのシェアは15%となり、前期から3.3ポイント低下した。競合他社であるIntelとAMDはそれぞれ1.9ポイント、1.3ポイントと微増し、シェアの奪還を図ったが、いずれも限定的な伸びにとどまった。
NVIDIAは依然として市場全体では最大のシェアを保持しているものの、供給面での課題が浮き彫りとなっている。JPRの分析によれば、NVIDIAは強い需要に十分応えられておらず、その結果として潜在的な市場成長を自ら押し下げる構図となっている。この需給のミスマッチが2025年以降の見通しにも影響を及ぼす可能性が高い。
加えて、米国を中心とする関税措置や地政学的リスクが、NVIDIAをはじめとする主要ベンダーのサプライチェーンに長期的な不透明感を与えている。AI PCの普及や新技術への期待が存在するものの、需要喚起には至っておらず、持続的な成長シナリオの構築には慎重な見極めが必要な局面となっている。
GPU市場の中長期展望 年平均成長率1.4%の低成長時代へ
2024年から2028年にかけて、世界のGPU市場は年平均成長率(CAGR)1.4%と穏やかな成長にとどまる見通しである。2028年末時点の累計設置台数は30億800万台と予測されているが、消費者向け市場の停滞が引き続き成長の足かせとなる可能性がある。
特にデスクトップ向けGPUの需要減退は、PCゲーム市場の成熟や価格高騰による買い控えが影響していると見られる。加えて、AI PCをはじめとする新たなカテゴリーの成長が期待されるものの、既存GPU市場に与える影響は現時点では限定的である。
一方、データセンター向けGPUは中長期的にも成長基調を維持する可能性がある。生成AIやビッグデータ解析など、データセンター内での高度な処理需要が今後も増加する見込みであり、主要ベンダーはこの分野への投資強化を続ける構えである。消費者市場とデータセンター市場の二極化が加速する中、各ベンダーの戦略転換が市場全体の行方を左右する局面に突入している。
Source:Wccftech