ASUSはCES 2025において、ゲーミングタブレットの概念を覆す「ROG Flow Z13 (2025)」を発表した。本機はSurface Proに似た2-in-1デザインを採用しながらも、Ryzen AI MAXプラットフォームを搭載し、ノートPC並みの処理性能を実現。16コアCPUとRadeon 8060Sを備え、RTX 4070に匹敵するグラフィック性能を発揮する。

さらに、最大128GBの超高速メモリを搭載可能で、AIワークロードにも対応。バッテリー持ちはゲーミングデバイスとしては健闘しているものの、一日中の使用は難しい。価格は2,099.99ドルからで、予約はほぼ完売。性能、デザインともに唯一無二の存在だが、その高価さと実用性に議論の余地が残る。

ゲーミングタブレットの新時代 ROG Flow Z13 2025の革新性

ASUSのROG Flow Z13 (2025)は、従来のゲーミングPCや2-in-1タブレットとは一線を画す性能を誇る。最大の特徴はAMDの最新プラットフォーム「Ryzen AI MAX」を搭載し、従来のNVIDIA製GPUを排除した点にある。16コアのCPUと「Radeon 8060S」を組み合わせ、これまで外付けGPUが不可欠だった高負荷ゲーム環境をタブレット単体で実現した。

さらに、最大128GBの超高速メモリが動的にCPUとGPUに割り当てられる設計も特徴的である。デザイン面では、Surface Proに似た2-in-1スタイルながら、ゲーミング用途に最適化された冷却機構を備える。厚みのある本体には大型通気孔を設置し、熱を効率的に逃がす設計となっている。

また、キックスタンドの自由度が高く、ゲームプレイのみならずクリエイティブ用途にも適している。専用のキーボードカバーも付属し、RGBバックライトによるカスタマイズ性も高い。価格は2,099.99ドルからと高額であるが、予約段階でほぼ完売しており、その人気の高さがうかがえる。

しかし、実用性の面で一般的なゲーミングノートPCと比較すると、バッテリーの持続時間や拡張性に課題が残る可能性がある。ASUSはゲーミングタブレットという新たなカテゴリーを開拓しようとしているが、それが市場でどのように評価されるかは今後の動向次第である。

モバイルゲーミングの限界を打破するか ROG Flow Z13のパフォーマンス

ROG Flow Z13 (2025)のパフォーマンスは、従来のゲーミングノートPCと比較しても遜色ないレベルにある。搭載される「Ryzen AI MAX+ 395」は、16コアのCPUに加え、AI処理専用の「XDNA NPU」を統合し、最大50TOPSの演算能力を発揮する。

特筆すべきは、従来のモバイル向けAPUと比較してグラフィック性能が飛躍的に向上している点であり、Radeon 8060SはRTX 4070搭載ノートPCと肩を並べる性能を示すとされる。また、ストレージには1TBのPCIe Gen 4.0 SSDを標準搭載し、高速なデータ転送を実現する。

メモリは最大128GBの8000MHz仕様で、GPUへの動的割り当ても可能。これにより、ゲームのみならず、AIワークロードやクリエイティブ用途にも適応できる柔軟性を備えている。ただし、ゲーミングデバイスにとって重要なバッテリー持続時間については未知数な部分がある。

70Whrのバッテリーと省電力設計により、クラウドゲーミングでは数時間の使用が可能とされるが、AAAタイトルを最大設定で長時間プレイする場合は、電源接続が必須となる可能性が高い。この点において、ゲーミングノートPCの代替として成立するかどうかは、ユーザーの利用スタイルに左右されるだろう。

高価なゲーミングタブレットは本当に必要か

ROG Flow Z13 (2025)は、従来のタブレットやゲーミングPCの枠を超えたハードウェアであることは間違いない。しかし、2,099.99ドルという価格が示すように、万人向けの製品ではない。従来のゲーミングノートPCと比較すると、デスクトップ級のパフォーマンスを得られる一方で、バッテリー持続時間や拡張性において制限がある。

また、キーボードが付属するとはいえ、持ち運び時には別途ケースが必要となる点も考慮すべきである。競合製品と比較すると、例えばASUS自身のROG Zephyrus G14 (2024)は、同価格帯でより高い拡張性と冷却性能を提供する。

持ち運びやすさを優先する場合、クラウドゲーミング端末としての選択肢も広がっており、ROG Flow Z13 (2025)がどこまで市場で支持されるかは未知数だ。とはいえ、PCゲームを極限までコンパクトにしたいユーザーにとっては、唯一無二の選択肢となる。

タブレットサイズでRTX 4070相当のパフォーマンスを求めるゲーマーや、クリエイティブ用途と兼用するユーザーにとって、ROG Flow Z13 (2025)の存在は魅力的である。ASUSの挑戦が市場に受け入れられるかどうか、今後の評価に注目したい。

Source:Windows Central