Microsoftは、AIアシスタント「Copilot」をWindowsのネイティブアプリとして統合した。しかし、期待された機能の一つであるアプリの自動起動は依然として未対応のままである。ユーザーの指示に基づきアプリを開く機能が実装されれば、Copilotはより実用的なツールとなるはずだ。

だが、現状では「手順の案内」にとどまり、AIアシスタントとしての利便性は十分に発揮されていない。MicrosoftはAIを各サービスに組み込む方針を進めているが、その利便性が十分に確保されていない点は課題といえる。価格の引き上げとAI強化を進める中で、実際にユーザーの利便性を向上させる機能を備えることが求められるだろう。

Copilotのネイティブ化とその限界 アプリの自動操作は未実装

Microsoftは、AIアシスタント「Copilot」をWindowsのネイティブアプリとして統合した。これにより、クラウド依存を減らし、ローカルのNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を活用することで、応答速度の向上が期待された。しかし、現状ではCopilotはWindowsアプリの自動起動ができず、ユーザーに手順を案内するのみとなっている。

これはテクノロジー専門家 @TheBobPony 氏が指摘した問題でもある。例えば、Copilotに「メモ帳を開いて」と指示しても、自らアプリを開くことはなく、代わりに「手動で開く方法を案内する」にとどまる。AIアシスタントとしての基本機能ともいえる「アプリの起動」が未対応であることは、Copilotの実用性に疑問を投げかける要因となっている。

AIアシスタントが進化する中で、音声やテキスト指示でアプリを直接起動し、タスクを実行する機能は一般的になりつつある。MicrosoftがCopilotの開発を進める中で、この機能がいつ実装されるのか、ユーザーの期待が高まっている。

AI戦略の方向性とCopilotの課題 ユーザー体験の向上が不可欠

MicrosoftはAIの統合を積極的に進めており、Copilotもその戦略の一環としてWindowsに組み込まれた。しかし、AIを導入するだけでは十分ではなく、それがどれほど実用的であるかが問われる。特に、ユーザーが期待する機能が欠けている現状は、AI導入の意義を損なう要因となりうる。

2023年の発表時、MicrosoftはCopilotがWindows 11のダークテーマを自動で有効化する様子を示していた。このデモにより、ユーザーの間ではCopilotがシステム設定を直接変更したり、アプリを起動したりする能力を持つとの期待が生まれた。しかし、実際にはそのような操作は実装されておらず、ユーザーの手を借りなければならない状態が続いている。

また、MicrosoftはAI機能の強化を理由に Microsoft 365の価格を引き上げた が、その対価としての価値が十分に提供されているとは言いがたい。AIの導入が真に有益であるためには、ユーザーの作業をより直感的に支援する形で実装されるべきであり、Microsoftには今後の改善が求められる。

Copilotが真に役立つAIとなるために 必須となる機能とは

CopilotがWindowsに統合されたことで、AIアシスタントとしての進化が期待されたが、現状ではユーザー体験を大きく向上させる機能が不足している。特に、アプリの自動起動やシステム設定の変更など、基本的な操作ができない点は、AIアシスタントの実用性を大きく制限している。

音声アシスタントの分野では、すでにSiriやGoogle Assistantがアプリの起動や設定変更を行う機能を備えている。これらと比較すると、WindowsのCopilotが果たす役割は限定的であり、Windowsユーザーにとって欠かせないツールへと成長するには、さらなる機能追加が不可欠といえる。

また、Copilotの利便性を高めるためには、より多くのWindowsアプリとシームレスに連携し、ユーザーの作業負担を軽減する方向での開発が求められる。Microsoftが今後、Copilotをどのように進化させていくのか、その戦略が今後のWindows体験を大きく左右することになるだろう。

Source:Windows Report