インテルはMWC 2025において、新たな商用向けプロセッサ「Intel Core Ultraシリーズ2」を発表した。新シリーズは「Arrow Lake」ブランドのもと、200U、200H、200HX、200Sの4モデルを展開し、軽量ノートPCから高性能ワークステーションまで幅広い用途に対応する。

ベンチマークテストでは、Core Ultra 7 265Uが前世代比で最大1.30倍の性能向上を記録。265Hは4年前のCore i7-1185G7と比較し、Cinebenchで2.84倍、Geekbenchで2.42倍のスコアを示した。また、競合するSnapdragonやAMD製品を上回る結果も確認されている。

加えて、インテルは特定のOEM向けに「Assured Supply Chain」プログラムを発表し、政府機関や機密データを扱う企業向けに製造の透明性を確保。新プロセッサは2025年3月より出荷開始予定であり、次世代PC市場に大きな変革をもたらすと見られる。

Intel Core Ultraシリーズ2の詳細とパフォーマンス向上の背景

Intelが発表したCore Ultraシリーズ2は、「Arrow Lake」ブランドのもと、200U、200H、200HX、200Sの4つのモデルを展開し、それぞれが異なる市場セグメントに最適化されている。200Uは軽量ノートPC向け、200Hと200HXは高性能ノートPC向け、200Sはデスクトップおよびワークステーション向けに設計されており、企業の多様なニーズに応えるプロセッサ構成となっている。

ベンチマークテストでは、Intel Core Ultra 7 265Uが前世代の165Uと比較して、Procyon Video Editingにおいて最大1.30倍の性能向上を記録した。さらに、265HはCinebench 2024でCore i7-1185G7比2.84倍、Geekbench 6.3マルチコアテストでは2.42倍のスコアを達成し、旧世代からの飛躍的な性能向上を示している。

特筆すべきは、競合他社との比較においても優位性を発揮している点だ。Intel Core Ultra 265Hは、Snapdragon X Elite-X1E-80-100を上回り、さらにCinebench 2024のシングルコアテストではAMD Ryzen AI 7 PRO 360と比較して15%の性能向上を実現している。Intelの最新プロセッサがAIやマルチタスク処理においても優れたパフォーマンスを発揮することを証明している。

Intelの「Assured Supply Chain」プログラムがもたらす信頼性と透明性

Intelは今回の発表において、特定のOEM向けに「Assured Supply Chain(保証された供給網)」プログラムを導入すると発表した。この取り組みは、SoC(システム・オン・チップ)の製造プロセス全体をデジタル的に証明し、サプライチェーンの透明性を確保することを目的としている。

特に政府機関や機密データを扱う企業にとって、ハードウェアの信頼性を担保する仕組みとして重要な意味を持つ。このプログラムは、2025年後半に提供開始予定であり、Intelの商用向けプロセッサの競争力をさらに高めると見られる。

セキュリティとトレーサビリティの確保は、企業のデジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、今後ますます重要な要素となる。特に、グローバルな半導体市場ではサプライチェーンリスクが顕在化しており、供給の安定性を確保することが企業の競争力を左右する要因となりつつある。

Intelが「Assured Supply Chain」を導入する背景には、半導体業界における偽造品対策や信頼性向上のニーズがある。これにより、企業は安心してIntelのプロセッサを採用できるようになり、特に機密情報を扱う環境での導入が進むと考えられる。この動きは、企業向けPC市場においてIntelの競争力を強化する要素となるだろう。

PC市場の刷新に向けたIntelの戦略と今後の展望

Intel クライアント・コンピューティング・グループ副社長 兼 クライアントセグメント総責任者のDavid Feng氏は「2025年はPCリフレッシュにとって重要な年」と語り、Intel Core Ultra(シリーズ2)プロセッサが最も高度な商用システムを提供することを強調した。この発言は、PC市場の刷新に向けたIntelの積極的な戦略を示唆している。

特に、近年のPC市場では、AI対応のプロセッサの需要が高まっており、Intelの最新プロセッサはその流れを意識した設計となっている。高度なAI処理機能を搭載することで、企業向けアプリケーションのパフォーマンス向上を図り、生産性の最大化を狙う。

この点において、競合のAMDやQualcommとの差別化が求められるが、今回の発表を見る限り、Intelは堅実に市場のニーズに応えている。また、Intelが打ち出した「Assured Supply Chain」プログラムのような取り組みも、PC市場における同社の信頼性を高める要因となる。

特に、セキュリティが重視される企業環境においては、ハードウェアの信頼性が導入の決め手となるケースが多いため、Intelの戦略はそのニーズに沿ったものといえる。今後、企業のPC更新が本格化する中で、Intel Core Ultraシリーズ2が市場でどのように受け入れられるかが注目される。

Source:TechRadar