Corsairは、自社の完成品PCに搭載されたRTX 5000シリーズGPUにおいて、Nvidiaが認めたチップレベルの不具合が確認されたのは1台のみであったと公表した。この不具合はBlackwellアーキテクチャを採用した一部のグラフィックカードにおいて、3Dグラフィックスのレンダリングパイプライン数が不足するというものであり、ゲームのパフォーマンス低下を招く可能性が指摘されている。
Nvidiaはこの問題について、影響を受ける個体の割合が最大0.5%程度であると説明していたが、Corsairの事例はその推定値の妥当性を補強するものと受け止められる。Corsairは現在、全RTX 50シリーズGPUに対してROP数の検証を含む多段階テストを導入し、全数検査体制を整備済みである。また、今後販売されるすべてのグラフィックカードについてもメーカー仕様を満たすことを徹底確認する方針を示しており、不具合個体の市場流出防止に向けた体制強化が進められている。
Corsairが確認したRTX 5000シリーズGPUの不具合と具体的対応策

Corsairは、完成品PCに搭載されたNvidia RTX 5000シリーズGPUにおいて、Blackwell世代の一部製品に生じているチップレベルの不具合が1台のみで確認されたと公表した。この不具合は、3Dグラフィックスの描画を担うレンダリングパイプライン(ROP)が仕様より不足するというもので、特定タイトルにおいて描画負荷が高まる場面でパフォーマンスの低下を引き起こす可能性がある。
Nvidiaは、この問題がRTX 5090や5080に最大0.5%程度の発生率で存在すると見積もっていたが、Corsairの発表はその数値が極端に過大でも過小でもないことを示唆する材料となった。Corsairは影響を受けたユーザーに対して既に個別連絡を行い、代替品を提供する方針を明らかにしており、販売後のサポート体制強化も強調している。
現在、Corsairは完成品PCの製造過程で、すべてのRTX 50シリーズGPUに対するROP数検証を含む多段階チェック体制を構築済みである。これに加え、グラフィックカード全般に対するメーカー仕様との整合確認も必須工程に組み込み、品質保証体制の抜本的強化に乗り出している。
Nvidiaの品質管理体制への疑問とPCメーカーに求められる責任範囲
NvidiaのBlackwell世代GPUに起因するチップレベルの不具合は、極めて低い発生率にとどまるとされるものの、GPU自体が高額な最上位モデルであることを踏まえると、わずかな欠陥でも市場に与える影響は大きい。GPUメーカー自らが、レンダリングパイプライン不足という根本的な設計・製造上の瑕疵を見逃していた点は、品質管理体制の脆弱さを露呈する結果となっている。
本来、PCメーカーは完成品PCの設計や組み立て工程において、個別部品の機能検証を全面的に担う立場にはない。特にNvidiaのようなトップティアメーカーが提供するGPUに対しては、仕様を満たしていることを前提に調達するのが通常であり、ROP数の個体差まで全数確認する前提は存在しなかった。
しかし、今回の事案をきっかけに、PCメーカーが完成品PCとして市場に投入する前に、個別コンポーネントの詳細な機能検証を行う必要性が高まる可能性がある。特にCorsairのように自社ブランドを冠した完成品PCの場合、Nvidia製GPUの不具合であっても最終的な責任を負うのはPCメーカー自身であり、品質管理のあり方が問われる局面となる。
ユーザー自身によるBlackwell GPUの不具合検出手段と透明性確保への課題
Corsairは今回の事案に関連し、対象GPUを搭載するユーザーに対して、ROP数不足の有無を自己確認する具体的手順も案内している。具体的には、TechPowerUpが提供するGPU-Zを用いて、GPU情報タブに表示されるROP数を参照する方法が推奨されており、仕様より8基不足している場合は不具合対象である可能性が高いとされる。
加えて、CPU-Z Validatorの最新バージョンでも同様の検出機能が実装済みであり、システム診断時に不具合を検知した場合は警告を表示する仕組みが整備されている。これにより、PCメーカーやNvidiaが見逃した不具合を、ユーザー自身が早期に発見できる可能性が広がった形である。
一方で、こうした自己診断の必要性自体が、Nvidiaの事前検査や品質保証体制が十分でなかったことの裏返しでもある。グラフィックカードという高額かつ重要なコンポーネントにおいて、ユーザー側に不具合チェックを委ねる仕組みが前提となることは、本来あるべき透明性確保の姿からは大きく外れており、Nvidia自身の信頼回復に向けた取り組みが求められる状況にある。
Source:TechRadar