マイクロソフトが提供するオペレーティングシステム「Windows 11」は、2021年のリリース以来、無料アップグレードの施策を展開してきたが、普及の進行は極めて緩やかであった。特にゲーム市場においては、最新OSへの移行が進まず、2025年2月時点でSteam上のトップOSは再び「Windows 10」が奪還する形となった。

最新のSteamハードウェア調査によると、Windows 10 64ビット版のシェアは1カ月で10.47ポイント増加し、ユーザー全体の過半数を占めるまでに拡大。これに対し、Windows 11のシェアは44.10%にとどまり、世代交代は一層鈍化している。

背景には、中国を中心とした新興市場の存在が大きいとみられる。2024年初頭にはSteam上で簡体字中国語が最大シェアを記録し、その後も増加傾向が続く。加えて、Windows 11特有のシステム要件や、2024年に発生した「24H2アップデート」由来のトラブルが移行を阻んだ可能性もある。



Steamで再び主役に返り咲いたWindows 10 急増するシェアと中国市場の台頭

2025年2月に実施された最新のSteamハードウェア調査により、Windows 10がユーザーシェアの過半数を再び掌握した事実が明らかとなった。64ビット版Windows 10は、わずか1カ月で10.47ポイントもの急伸を記録し、世代交代が進むはずのタイミングで再浮上する異例の展開を迎えている。

背景には、2024年初頭から顕著な変化を見せているユーザー層の変化が大きく関係している。簡体字中国語ユーザーの急増により、2024年にはSteam上で中国語が最も利用される言語に躍り出た。そのシェアは35%に達し、現在では全ユーザーの半数にまで拡大している。

この変化は、低スペックPCや互換性を重視するユーザーが中心となる市場特性とも符合する。Windows 11が求めるTPM要件などのハードルや、動作トラブルを懸念する層にとって、安定性や対応範囲の広さを持つWindows 10は依然として魅力的な選択肢であり、特に新興市場ではこの傾向が強く表れている。

Windows 11普及を阻む複合的要因 トラブルとシステム要件が移行の壁に

Windows 11は、2021年の登場以来、無料アップグレードの施策を通じて既存ユーザーの移行を促してきたが、その普及は想定以上に鈍化している。特にゲーム市場においては、最新OSながら支持を得るまでに3年以上を要し、2025年2月時点でWindows 10にシェア首位を明け渡す事態となった。

この背景には、OS自体の性能や安定性に対する懸念が複合的に絡んでいる。特に2024年に提供された「24H2アップデート」では、互換性やパフォーマンスに関する問題が相次ぎ、ゲーマーを中心に旧OSへの回帰傾向が見られたことは無視できない。

加えて、リリース当初から指摘されてきたTPM(Trusted Platform Module)の必須要件は、普及ペースを大きく抑制した要因のひとつである。特に発売直後は要件を満たすシステムが限定的であり、2025年現在でも対象外のシステムは少なくない。システム要件とトラブル報告の多さが、結果的にWindows 11への移行を強く躊躇させる要素となっている。

迫るWindows 10サポート終了と今後の行方 利用継続に伴う新たな負担

2025年10月14日に予定されているWindows 10の公式サポート終了は、企業や個人ユーザーにとって重要な節目となる。サポート終了後も引き続きWindows 10を利用する場合、企業には1人あたり61ドル、一般ユーザーにも1人あたり30ドルの延長サポート費用が課されることが明らかにされている。

サポート終了を見据え、StatcounterによるとWindows 11のシェアは2025年に入り毎月2%程度の微増傾向にある。しかしこの増加率は決して高くなく、ユーザーの大半は移行を積極的に進めるというよりも、必要に迫られている状況に近い。

また、Windows 11への移行に対しては、元マイクロソフト開発者からも否定的な見解が示されており、システム要件やパフォーマンスに対する信頼性の低さが企業や個人の慎重な判断を招いているとも考えられる。サポート終了という期限は迫るが、移行を巡る混迷は今後も続く可能性がある。


Source:Club386