キャシー・ウッド率いるARKのETFが2025年3月5日、保有銘柄に対する大規模な売買を実施した。特に注目されたのは、Rocket Lab USA株の76,331株売却で、金額にして約144万ドルに達した。一定期間の保有を経ての動きであり、同社への見解修正や投資方針の変化を示唆する内容といえる。

一方で、防衛・商用ドローンを手掛けるAeroVironment株については10,048株、約142万ドル分を買い増しており、航空宇宙関連でも選別投資の姿勢が鮮明になった。また、GitLab株も前日に続き7,962株、約50万ドル分を追加取得し、DevOps分野への積極姿勢を継続した。

さらに製薬セクターでは、Recursion Pharmaceuticals株を54,523株、Tempus AI株を9,021株、Veracyte株を10,728株購入するなど、ARKGを通じたヘルスケア分野への資金シフトが続いている。対照的に、UiPath株は3つのETFを通じて20,992株、約24万ドルを売却しており、特定銘柄への慎重なスタンスも浮き彫りとなった。

ARKが示すセクター選別の最新動向 航空宇宙から製薬・DevOpsまで広がる投資先

ARK Investment Managementが2025年3月5日に行った一連の売買は、同社の投資戦略の転換点を映し出すものとなった。まず、Rocket Lab USA Inc（NASDAQ:RKLB）株の76,331株売却は、約144万ドル規模に及び、ARKQおよびARKXを通じた保有比率の縮小を明確に示している。この動きは、これまでの航空宇宙関連への積極投資から一部資金を回収し、次なる成長分野への資源配分を進める意図が含まれている可能性がある。

一方で、AeroVironment Inc（NASDAQ:AVAV）の10,048株、約142万ドルの買い増しは、防衛・商用ドローン市場への選別投資を象徴する。国家安全保障や次世代兵器分野に対する関心が高まる中、ドローン技術の競争力を重視する姿勢がうかがえる。また、GitLab Inc（NASDAQ:GTLB）の7,962株、約50万ドルの追加取得は、前日に続く連続取得であり、ソフトウェア開発の効率化やクラウド対応が加速するDevOps市場に対するARKの期待の高さを裏付けている。

さらに、Recursion Pharmaceuticals Inc（NASDAQ:RXRX）やTempus AI Inc（NYSE:TEM）、Veracyte Inc（NASDAQ:VCYT）といった製薬セクターへの資金投入も特筆に値する。AI技術を活用した創薬や個別化医療が進展する中、ARKGを通じたこれら銘柄への投資拡大は、ヘルスケア領域における先端技術企業の成長余地を評価している可能性がある。こうした取引全体からは、ARKが破壊的イノベーションを軸にしながら、特定企業への集中投資から、セクター横断的な成長分野への分散投資へと戦略を柔軟に調整している姿が読み取れる。

個別銘柄へのスタンス変化が示すARKの戦略再構築

ARKの一連の売買において特に注目すべきは、Rocket Lab USA Inc（NASDAQ:RKLB）とUiPath Inc（NYSE:PATH）の大幅売却である。前者はARKQおよびARKXを通じて76,331株、後者はARKK、ARKQ、ARKWを通じて20,992株が売却され、それぞれ約144万ドルと約24万ドルの資金回収につながった。これらの動きは、ARKが単純な利確や資金調達だけではなく、成長期待の見直しやリスク評価の再点検を進めている可能性を示唆している。

特に、Rocket Labの売却は、同社が手掛ける小型ロケット打ち上げ市場へのARKの期待感が変化した可能性を浮かび上がらせる。競争激化やコスト増、衛星市場の再編など、航空宇宙業界を取り巻く環境が短期的に不透明感を増していることも背景にあるかもしれない。一方、UiPathについては、RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）市場における成長ペース鈍化や競合企業の台頭、AI技術との統合戦略の模索など、個別要因を踏まえた見直しが進んでいる可能性がある。

一方で、AeroVironmentやGitLab、Recursion Pharmaceuticalsなどの買い増しに見られるように、ARKは単に特定銘柄のポジションを縮小するのではなく、成長ドライバーが明確な領域への資金シフトを加速している。特に、AIやデータ解析を活用した製薬企業や、防衛・商用技術の先端領域に位置する企業への選好姿勢は、ARKの破壊的イノベーションへの軸足を再確認させるものといえる。これらの動きは、ARKが短期的な市況変動に左右されず、中長期的なテーマ型投資の核を再構築している過程にあることを示している。

Source: Investing.com