Appleは新型iPad Air M3とiPad 11を発表したが、独自のC1モデムを搭載せず、引き続きQualcomm製モデムを採用した。C1モデムはAppleが開発した5G対応チップで、iPhone 16eに初搭載されたが、iPadには見送られた。

AppleはQualcommとの契約を2027年まで延長しており、当面は同社のモデムを利用し続ける可能性が高い。C1モデムは電力効率に優れるが、通信速度の優位性は限定的とされ、iPadにおけるモデムの選択が市場に与える影響は限定的と考えられる。

今後、Appleは次世代C2モデムの開発を進めており、iPhone 17 Airへの搭載が有力視される。Appleが完全な自社製モデムへ移行する時期とその戦略に注目が集まる。

AppleがiPad Air M3とiPad 11にC1モデムを搭載しなかった背景

Appleは自社開発のC1モデムをiPhone 16eに初めて搭載したが、新型iPad Air M3とiPad 11では採用を見送った。AppleはQualcommとの契約を2027年まで延長しており、5Gモデムの供給を依存している。契約期間内における自社製モデムの活用は戦略的に限定される可能性が高い。

C1モデムは、Qualcomm製モデムと比較して電力効率に優れるものの、通信速度に顕著な差はないとされる。ニューヨーク市内で実施されたiPhone 16eのC1モデムテストでは、Qualcomm製モデムを搭載したiPhone 16と比べて速度面で大きな違いは確認されなかった。一方で、C1モデムはミリ波通信に対応していないため、特定の地域では通信環境に影響を及ぼす可能性がある。

iPadにおいては、多くのユーザーがWi-Fiモデルを選択する傾向があり、セルラーモデルの販売比率はiPhoneほど高くない。そのため、Appleが現時点でiPadのセルラーモデルにC1モデムを導入する優先度は低かったと考えられる。Appleの自社モデム開発は継続して進められており、次世代モデルでの採用が期待される。

C1モデムの非搭載がiPadの市場競争力に与える影響

iPad Air M3とiPad 11がC1モデムを搭載しなかったことは、製品の市場競争力にどのような影響を与えるのか。結論から言えば、今回の決定がiPadの販売に大きな影響を及ぼすとは考えにくい。Appleのタブレット市場における強みは、ハードウェアの性能やエコシステム全体の優位性にあり、通信モデムの変更がユーザーの購買意欲に直結するとは限らない。

また、C1モデムは電力消費の削減に寄与するものの、iPadはiPhoneと比べてバッテリー容量が大きいため、そのメリットが際立つとは言い難い。Wi-Fiモデルの需要が高いことを考慮すると、C1モデム非搭載による機能的な制約は限定的である。

それでもAppleが長期的にQualcommからの脱却を目指していることは明白であり、iPadが今後のC1モデム、さらには次世代のC2モデムを採用するかどうかが注目される。iPhoneのみに自社製モデムを搭載する方針が継続する場合、Appleのモデム技術の進化とその戦略的意図がより明確になっていくだろう。

Appleのモデム開発戦略と今後の展望

AppleはC1モデムを発表し、Qualcomm製モデムからの脱却を目指す姿勢を示している。報道によれば、Appleは既に次世代のC2モデムの開発に取り組んでおり、著名アナリストのミンチー・クオは「iPhone 17 Air」がC2モデムを搭載する可能性があると指摘している。ただし、Appleが今後の製品においてどの程度自社製モデムを採用するかは依然不透明だ。

Appleが完全な自社製モデムに移行するには、技術面や製造コスト、供給体制の整備が必要となる。特に5G技術は特許の壁が厚く、Qualcommとの関係を完全に断つことは短期間では難しいと考えられる。そのため、C1モデムやC2モデムがApple製品の標準となるまでには、段階的な移行が行われる可能性が高い。

今回のiPadシリーズの発表ではC1モデムの採用が見送られたが、Appleがモデム技術の内製化を進める意図は変わらない。今後、C1モデムの改良版やC2モデムの導入がどのように展開されるのか、Appleの次なる動きが注目される。

Source:Tom’s Guide