バルセロナで開催されたMWC 2025で、Samsungの折りたたみスマートフォン「G-Fold」と「Z-Fold」の違いが注目を集めた。Samsung Display Corporationのブースでは、トライフォールド(3つ折り)デバイスの比較が行われ、次世代の折りたたみ技術が披露された。
G-Foldは内側に2回折りたたむ構造であり、ディスプレイの耐久性が向上する。一方、Z-Foldは外側に折りたたむことで、大型ディスプレイを維持するデザインとなっている。どちらの方式が主流となるかは今後の市場の反応次第だが、Samsungは折りたたみ技術の進化を牽引する立場にある。今後の展開が期待される。
Samsungが披露したG-FoldとZ-Fold それぞれの構造と特徴

Samsung Display Corporation(SDC)がMWC 2025で公開した「G-Fold」と「Z-Fold」は、いずれもトライフォールド(3つ折り)デバイスとして注目を集めた。G-Foldは内向きに2回折りたたむ「Flex G」構造を採用し、ディスプレイを内側に収納することで耐久性を向上させる設計となっている。
これに対し、Z-Foldは「Flex S」構造で、内側と外側に折れるZ型のメカニズムを採用。Huawei Mate XTなどと同様に、折りたたんだ際にも外側にディスプレイが露出する形状だ。この構造の違いがもたらす最大のポイントは、ディスプレイの保護性能にある。
G-Foldは折りたたんだ際にディスプレイが完全に内側に収納されるため、外部からの傷や衝撃に強い設計となる。一方、Z-Foldは折りたたんだ状態でもディスプレイが露出するため、視認性は高いものの耐久性に課題が残る。また、G-Foldは追加の外部ディスプレイを必要とする可能性があり、使用時の利便性にも影響を与えるだろう。
MWC 2025でのデモ展示は、これらのデザインの最終形ではなく、今後の製品開発の方向性を示すものにすぎない。しかし、Samsungが折りたたみスマートフォンの構造に関する技術を継続的に進化させていることは明白であり、次世代モデルの正式発表が待たれる。
G-FoldとZ-Foldの採用戦略と市場への影響
Samsungが開発するG-FoldとZ-Foldの2つのデザインは、それぞれ異なるユーザー層をターゲットとしている可能性が高い。G-Foldはディスプレイの耐久性を重視した設計であり、スマートフォンを長期間使用することを前提としたユーザーに適している。
一方、Z-Foldは展開時にシームレスな大画面を提供できるため、コンテンツ消費や生産性向上を求めるユーザーに向けたデバイスとなるだろう。市場においては、折りたたみスマートフォンの普及が進むにつれ、耐久性と利便性のバランスがより重要な要素となる。
G-Foldのような内向き折りたたみ方式は、従来の折りたたみスマートフォンの最大の課題であるディスプレイの損傷リスクを軽減するが、折りたたんだ状態での操作性が制限される可能性がある。一方、Z-Foldのような外向き折りたたみ方式は、画面の連続性を維持しながらも耐久性の低下というトレードオフが伴う。
Huaweiをはじめとする競合企業も、独自のトライフォールド技術を開発しており、Samsungの技術戦略が市場に与える影響は大きい。今後、Samsungがどのモデルを主力とするのか、またどのような改良が加えられるのかが、折りたたみスマートフォン市場の今後を左右する鍵となるだろう。
折りたたみスマートフォンの未来 技術進化とユーザーの選択肢
折りたたみスマートフォン市場は、現在も進化を続けており、SamsungのG-FoldとZ-Foldの登場はその次なるフェーズを示唆するものとなる。現状、折りたたみ式デバイスの普及には価格や耐久性、ユーザーの使い勝手など多くの課題が存在するが、技術の進歩によりこうした問題は徐々に解決されつつある。
G-Foldのように耐久性を重視したモデルが増えれば、折りたたみスマートフォンの寿命が延び、長期的なコストパフォーマンスの向上が期待できる。一方、Z-Foldのようなデザインは、従来のタブレットのような使用体験を提供することが可能であり、仕事やエンターテインメント用途での利便性を高めるだろう。
今後、メーカーは折りたたみ方式のメリット・デメリットを踏まえた上で、最適なバランスを探ることが求められる。SamsungがMWC 2025で披露したG-FoldとZ-Foldは、折りたたみスマートフォンの未来を方向付ける重要な要素となる。市場のニーズと技術の進化がどのように交差するのか、今後の動向が注目される。
Source:PhoneArena