AMDの新型グラフィックカードRadeon RX 9070およびRX 9070 XTは、メーカー希望小売価格(MSRP)での販売が初回出荷分に限られることが明らかになった。小売業者によれば、今後の流通分では価格の引き上げが避けられず、NvidiaのRTX 50シリーズと同様の供給問題に直面する可能性が高い。
市場ではすでにMSRPでの販売が困難となっており、初回分の在庫が尽きた後には大幅な価格上昇が予測される。背景には、メーカーが提供する割引が一時的なものであること、供給不足、さらには米国の中国製品に対する20%関税の可能性が挙げられる。
この状況により、AMDが一時的に築いた価格競争力は失われる見込みであり、最新GPUを求める消費者にとっては厳しい市場環境が続くことになる。
RX 9070シリーズのMSRP販売はなぜ短期間で終了するのか

AMDのRadeon RX 9070およびRX 9070 XTは、発売当初こそメーカー希望小売価格(MSRP)での販売が見られたが、小売業者によれば、この状況は長く続かないとされる。事実、現在のMSRP販売は、AMDが初回出荷分に対して特別な価格設定を行った結果にすぎず、追加出荷分では価格の上昇が避けられないとされている。
小売業者が警告する最大の要因は、メーカーが提供する割引の終了だ。AMDは初期の市場投入を促進するため、小売業者向けに一定の価格調整を行っていたが、これは限定的な施策である。そのため、追加の在庫が入荷する際には、この割引が適用されず、小売価格が引き上げられる可能性が高い。
また、メーカー側も部品調達コストの変動や、需給バランスを考慮して価格を調整するため、当初の価格が維持される保証はない。さらに、近年のグラフィックカード市場では、需要の急増と供給の不安定さが常に価格に影響を及ぼしている。
特に、競争相手であるNvidiaのRTX 50シリーズは、発売直後に在庫不足に陥り、プレミア価格が常態化した。AMDのRX 9070シリーズも同様の事態に直面する可能性があり、初回出荷分を逃した消費者は、今後より高い価格での購入を余儀なくされるかもしれない。
AMDのRX 9070はNvidiaの対抗馬となるか
RX 9070シリーズは、スペック面でNvidiaのRTX 5070シリーズと競争できる製品とされ、VRAMの搭載量では優位性を持つ。レビューによれば、性能面では同価格帯のNvidia製品に匹敵し、レイトレーシングや画像再構成技術の分野でも進化が見られる。ただし、AMDは依然としてNvidiaに比べ、これらの技術分野では遅れを取っており、完全な競争力を持つまでには課題が残る。
Nvidiaが持つ強みの一つは、DLSS(ディープラーニング・スーパーサンプリング)をはじめとするAIベースの画像処理技術である。これに対し、AMDはFSR(FidelityFX Super Resolution)を展開しているが、NvidiaのDLSSに比べると対応タイトル数や性能面での差が依然として存在する。
特に、ゲーム業界ではNvidiaの技術が標準化されつつあり、この点でAMDが挽回するのは容易ではない。一方で、価格面での優位性がAMDの強みであったが、今回のMSRP販売終了により、このメリットが失われる可能性がある。
消費者にとって、RTX 5070シリーズとの価格差が縮小すれば、Nvidia製品を選択する動機が強まる。AMDは市場シェアを拡大するために、今後どのような戦略を取るのかが注目される。
Source:TechSpot