RTX 50シリーズのノートPC向けGPUに関する新たな疑惑が浮上した。ドイツの報道によれば、一部メーカーがROP(レンダリング・アウトプット・ユニット)が欠落したGPUの不良バッチを特定するよう求められたという。しかし、Nvidiaはこの主張を強く否定し、「ノートPC向けGPUにはそのような問題は存在しない」と断言した。
問題の発端は、デスクトップ向けRTX 5090や5070 TiのROP欠落が明らかになったことにある。これを受けてノートPC向けにも同様の欠陥があるのではとの疑念が生じた。ただし、Nvidiaが不良バッチの特定を指示したという情報の真偽は不明であり、メーカー側の対応も詳細には明らかになっていない。
また、RTX 50シリーズの供給遅延も発生しており、ハイエンドモデルの発売は3月、ミドルレンジ・ローエンドモデルは4月以降へとずれ込む見込みだ。ROP欠落が事実であれば、性能低下を招く可能性があるが、Nvidiaの主張通り問題がなければ単なる噂にすぎない。しかし、依然として真相は不透明なままである。
Nvidiaが否定するROP欠落問題の背景

RTX 50シリーズのノートPC向けGPUに関して、ROP(レンダリング・アウトプット・ユニット)の欠落が指摘された。これはドイツのメディア「Heise Online」の報道によるもので、一部のノートPCメーカーが不良バッチの特定作業を行っているとの情報も伝えられた。
しかし、Nvidiaはこの報道に強く反論し、「ノートPC向けGPUにはそのような問題は存在しない」とThe Vergeに対して明確な姿勢を示している。事の発端は、デスクトップ向けRTX 5090やRTX 5070 Tiにおいて、仕様よりROPの数が少ない問題が確認されたことにある。
この問題が公になった後、RTX 5080にも類似の問題があるとの報告が続き、Nvidiaはこれらの事象を認めた。この流れの中で、ノートPC向けGPUにも同様の問題があるのではないかとの疑念が浮上した。現在のところ、Nvidiaがメーカーに不良バッチの特定を指示したとの情報の信憑性は明らかになっていない。
もし事実であれば、ROP欠落問題がノートPC向けGPUにも及んでいた可能性が示唆されるが、Nvidiaが完全に否定している以上、根拠のある証拠が求められる。デスクトップ向けとノートPC向けで同じ問題が発生していたのか、それとも別の問題だったのかは、今後の追加情報を待つ必要がある。
ROP欠落がGPU性能に与える影響
GPUの性能においてROPの役割は重要であり、不足すると描画処理の効率が低下する可能性がある。ROPは、レンダリングされたピクセルを最終的に出力する役割を担い、特に高解像度や高フレームレート環境では重要な要素となる。
過去の検証結果では、ROPが仕様より少ないRTX 5080とRTX 5090は、期待される性能と比較して最大11%の低下が確認された。この影響は、特に「TimeSpy」ベンチマークにおいて顕著であり、グラフィック性能を重視するユーザーにとって無視できない問題といえる。
ノートPC向けRTX 50シリーズにも同様のROP欠落問題がある場合、処理能力が落ち込み、特にゲーミング用途やクリエイター向け用途においてパフォーマンスの低下が懸念される。しかし、Nvidiaが問題の存在自体を否定している以上、事実関係が明らかにならなければ、ノートPC向けGPUの性能に影響があると断定するのは早計といえる。
ただし、仮にROP欠落が発生していた場合、購入者が意図せず性能の低いGPUを手にするリスクは否定できず、透明性の高い情報開示が求められる。
供給遅延と市場への影響
RTX 50シリーズの供給は遅れを見せており、ハイエンドモデルの発売は当初予定されていた1月から3月へ、ミドルレンジやローエンドモデルについても3月から4月へと後ろ倒しになった。これにより、PCメーカーやエンドユーザーの購入計画にも影響が出る可能性がある。
供給遅延の理由としては、サプライチェーンの混乱が指摘されている。特にノートPC向けGPUは、デスクトップ向けとは異なる製造プロセスを経るため、チップの供給問題や品質管理に起因する遅れが発生しやすい。加えて、ROP欠落疑惑が事実であった場合、不良バッチの選別作業が追加で行われた可能性もある。
市場においては、新GPUの遅れは競合メーカーにとって好機となる。特にAMDやIntelは、Nvidiaの供給問題を受けて自社製品のプロモーションを強化する可能性があり、ゲーミングノートPC市場におけるシェア争いが激化することも考えられる。供給が安定しない状況では、消費者が旧世代モデルを選択するケースも増えるため、RTX 50シリーズの普及速度にも影響が及ぶだろう。
Source:Tom’s Hardware