AMDは最新のGPUドライバー「Adrenalin 25.3.1」をリリースし、新たにRX 9070シリーズのサポートを開始した。本ドライバーでは、FSR 4の導入やAFMF 2.1の強化が施され、ゲーム体験の向上を図る。RX 9070 XTを含む新GPUに対応するとともに、AI強化機能や最新のフレーム生成技術を実装。

WSL環境でのROCmサポート拡充や、開発者向けツールの更新も実施され、クリエイターやゲーマー双方に恩恵をもたらす。一方で、Marvel’s Spider-Man 2のクラッシュ問題など、既知の不具合も報告されており、今後のアップデートでの修正が求められる。

AMDのAdrenalin 25.3.1がもたらす技術革新 FSR 4とAFMF 2.1の実力

AMDの最新GPUドライバー「Adrenalin 25.3.1」では、FidelityFX Super Resolution(FSR)4が導入された。FSR 4は、従来のFSR 3.1と比較して、画質の向上と応答性の改善が施され、30以上のタイトルで使用可能となる。特に、RX 9070シリーズに最適化されており、高解像度環境でも高いフレームレートを維持するための強力なアルゴリズムが搭載された。

さらに、AMD Fluid Motion Frames(AFMF)2.1もアップデートされ、フレーム補完技術が進化。ゴースト削減や時間的追跡の精度向上により、ゲームプレイ中の視覚的な違和感を最小限に抑える。これにより、RX 6000シリーズからRX 9070シリーズまでの幅広いGPUで、より滑らかな映像が提供される。

これらの新技術は、ハードウェアのスペック向上だけでなく、ソフトウェアによる最適化の重要性を示している。特に、AIを活用した画像処理やフレーム補完の進化は、今後のGPU開発において中心的なテーマとなる可能性が高い。

ゲーム体験の向上と開発者向け機能の拡充 AMDの狙いとは

Adrenalin 25.3.1では、ゲームプレイの品質向上を目的とした多くの機能強化が行われた。特に、Radeon Image Sharpening 2の導入により、ゲームや動画の視認性が向上し、より自然でクリアな映像が提供される。また、新たにサポートされたタイトル「FragPunk」や「Split Fiction」では、これらの技術が最大限活用されることが期待される。

一方で、開発者向けのアップデートも充実しており、RDNA 4 / RDNA 3.5向けのGPU ISA仕様の更新や、新たなVulkan拡張機能が追加された。これにより、開発者はAMDの最新技術を活かしたゲームやアプリケーションの最適化を進めやすくなる。さらに、ROCm(Radeon Open Compute)のWSL環境での対応拡大は、機械学習やAI分野での活用を後押しする。

AMDは、単なるGPUの性能向上にとどまらず、ゲーム開発やAI処理の分野にも注力する姿勢を強めている。これにより、同社はエンターテインメントだけでなく、クリエイティブ分野でも競争力を高める戦略を進めていると考えられる。

既知の問題と今後の課題 完璧なドライバーへの道のり

Adrenalin 25.3.1には多くの機能強化が施されたが、完全無欠とは言えない。特に、「Marvel’s Spider-Man 2」や「Ratchet & Clank: Rift Apart」において、Image Inspectorを有効にするとクラッシュが発生する問題が確認されている。また、「Microsoft Edge」でYouTubeを利用する際に、パフォーマンス低下が見られるケースも報告された。

さらに、RX 9070シリーズに関する問題として、ROP(ラスタライズ・オペレーション・パイプライン)数が正しく認識されないバグがある。これはGPUのレンダリング性能に影響を及ぼす可能性があるため、AMDが今後のアップデートで修正することが求められる。また、「Counter-Strike 2」ではMSAA x8を適用すると、ガンマ値が不自然になる現象が報告されている。

こうした課題は、新技術の導入に伴う避けられない部分ではあるが、AMDの迅速な対応が鍵となる。ドライバーの安定性向上は、ユーザーの信頼獲得に直結するため、今後のアップデートでどのように修正されるかが注目される。

Source:Wccftech