Appleが開発中とされる折りたたみ式iPhone「iPhone Flip」が、2026年末にも市場に投入される可能性が浮上した。これまで折りたたみスマートフォン市場はSamsung、Google、MotorolaなどのAndroid陣営が支配してきたが、Appleが本格参入すれば競争環境は大きく変化することが予想される。

現在、AppleはAI技術「Apple Intelligence」の開発を加速しつつ、水面下で折りたたみ式デバイスの研究を進めているとみられる。過去の特許取得やリーク情報から、ディスプレイの耐久性向上や折り目の問題を克服するための技術開発が進められていることがわかる。

一部報道によると、開発コード「V68」と呼ばれる端末は、縦折りのクラムシェル型になる可能性が高く、価格帯は約30万~38万円に設定される見通しだ。折りたたみスマホ市場が成熟する中で、Appleはどのような革新をもたらすのか、その動向が注目される。

Appleが折りたたみスマホ市場に参入する理由

折りたたみスマートフォン市場は、2019年にSamsungが「Galaxy Fold」を発表して以来、Google、Motorola、Oppo、Huaweiなどのメーカーが参入し、急速に成長してきた。一方、Appleはこれまでこの分野に対して慎重な姿勢を貫いてきたが、2026年末にも「iPhone Flip」として市場参入する可能性がある。

Appleが折りたたみスマホ市場に関心を持つ理由の一つは、ハードウェアの進化による技術的な成熟である。特に折りたたみディスプレイの耐久性向上や、折り目(クリース)の低減技術が進歩したことで、Appleが求める品質基準に近づいてきた。

また、競争が激化するスマートフォン市場で、製品の差別化がますます求められる中、折りたたみという新しい形態は次の成長戦略として適している。もう一つの要因として、Appleのエコシステムとの親和性が挙げられる。

折りたたみスマホは、iPadとiPhoneの中間的なデバイスとして、Appleのソフトウェア戦略と相性が良い。特に「Apple Intelligence」と呼ばれるAI機能の活用や、iOSとmacOSの連携が強化されれば、Apple独自の折りたたみスマホの強みが生まれる可能性がある。

「iPhone Flip」の特徴と技術的課題

Appleが開発中とされる「iPhone Flip」は、クラムシェル型(縦折り)とされており、開発コード「V68」として進められている。ディスプレイサイズは、内部に7.8インチの折りたたみディスプレイ、外部に5.5インチのサブディスプレイが搭載される可能性がある。価格は約2,000~2,500ドル(約30万~38万円)と予想され、折りたたみスマホ市場では高価格帯に分類される。

最大の技術的課題は、ディスプレイの折り目(クリース)を目立たなくすることと、耐久性の向上である。Appleは2024年7月に、耐衝撃性を向上させる特許を取得しており、落下時にわずかに折りたたまれることで衝撃を分散する設計が考えられている。こうした技術は、スマートフォンだけでなくiPadやMacBookにも応用可能とされている。

一方、Appleが折りたたみスマホの開発に慎重な理由として、長期的な耐久性やヒンジ部分の耐摩耗性が挙げられる。Samsungの「Galaxy Z Flip」やGoogleの「Pixel Fold」でも、ヒンジ部分の耐久性は重要な課題であり、Appleが市場投入を遅らせている一因となっている。

折りたたみiPhoneが市場に与える影響

「iPhone Flip」が登場すれば、折りたたみスマホ市場に大きな変化をもたらす可能性がある。現在の折りたたみスマホ市場は、Android勢が圧倒的なシェアを占めており、特にSamsungがリードしている。しかし、Appleが本格参入すれば、iPhoneユーザーの買い替え需要を刺激し、市場構造が変化する可能性がある。

特に、Appleは独自のソフトウェアとエコシステムを強みにしており、iOSとの親和性や、Mac、iPadとの連携が強化されることで、Android陣営との差別化を図ることができる。また、高価格帯のスマートフォン市場に強いAppleのブランド力が、折りたたみスマホの普及を加速させる要因となるかもしれない。

ただし、折りたたみスマホ市場はまだ成長途中であり、耐久性やコストの課題が完全に解決されたわけではない。Appleが2026年に「iPhone Flip」を投入することで、市場全体の技術革新が加速し、折りたたみスマホの新たなスタンダードが確立される可能性がある。

Source:CNET