データ分析企業パランティア(PLTR)の株価は3月に急落し、特に6日には11%近く下落した。しかし、ウィリアム・ブレアのアナリストが評価を「アンダーパフォーム」から「マーケットパフォーム」へと引き上げ、市場の注目を集めている。

第4四半期の決算は売上、利益ともに市場予想を上回り、米国商業部門の売上は前年同期比64%増加。政府契約の遅延リスクや高いバリュエーションが懸念されるものの、AI駆動のデータ分析需要の拡大が成長を後押しするとみられる。

市場では依然として慎重な見方が多いが、アナリスト評価は「ホールド」が主流。現在の株価水準から3%程度の上昇余地があると予測されており、今後の動向が注視される。


ウィリアム・ブレアの格上げと市場の反応

パランティア(PLTR)の株価は3月に大幅に下落し、特に6日には11%もの急落を記録した。この下落の背景には、DOGE関連の売りが影響し、株価が一時125ドルから84ドルまで33%下落したことがある。こうした状況の中、投資銀行ウィリアム・ブレアがパランティアの格付けを「アンダーパフォーム(市場平均以下)」から「マーケットパフォーム(市場平均並み)」へと引き上げ、市場の関心を集めた。

同アナリストによれば、パランティアの成長率は依然として高く、2025年の売上成長率は31%、営業利益率は45%と業界内でも高水準であると評価されている。また、過去2年間で売上は50%増加したが、従業員数の増加はわずか3%にとどまっており、効率的な成長戦略が際立っている。しかし、依然として高いバリュエーションや政府契約の遅延リスクが懸念材料とされる。

市場の反応としては、格上げが短期的な買い材料となる可能性があるものの、投資家の慎重姿勢は続いている。アナリスト評価の多くは「ホールド」に留まり、目標株価の平均は85.11ドルと、現在の水準から3%の上昇余地があると見込まれている。市場の動向を左右するのは、今後の業績進展と政府契約の推移であると考えられる。

2024年第4四半期の好決算と成長の持続性

パランティアの最新決算は市場予想を上回る好結果となった。2024年第4四半期の売上は前年同期比36%増の8億2,800万ドルを記録し、特に米国商業部門の売上が64%増の2億1,400万ドルに達した。政府関連売上も45%増の3億4,300万ドルと堅調な伸びを示した。さらに、純利益は75%増加し、1株当たり利益は0.14ドルと市場予想の0.11ドルを大きく上回った。これで6四半期連続で市場予想を上回る業績を達成しており、収益性の安定性が際立つ。

また、同社の商業部門では契約総額が前年比134%増の8億300万ドルに達し、顧客基盤は43%拡大した。100万ドル以上の契約は129件、1,000万ドル以上の契約は32件獲得しており、大型案件の増加が売上拡大を後押ししている。これにより、2025年の売上ガイダンスは37億4,100万~37億5,700万ドルとされ、市場予想の35億2,000万ドルを上回る見通しとなっている。

ただし、投資家の懸念材料として、同社のバリュエーションが依然として割高である点が指摘される。予想株価収益率(P/E)は288.7倍、株価売上高倍率(P/S)は73.8倍と、業界平均を大幅に上回っている。このため、成長性を評価する投資家にとっては魅力的である一方、バリュー投資の観点では慎重な判断が求められる局面といえる。

AI需要の高まりと政府契約の行方

パランティアの事業は政府機関向けのデータ分析ソフトウェアを主力としており、特に米国国防総省(DoD)をはじめとする各機関のITインフラ改革に深く関与している。同社の主要製品「Gotham」「Apollo」「Foundry」は、大規模なデータ統合・分析を可能にし、安全保障や商業分野における活用が進んでいる。

2025年に向けて、政府支出の増加が同社にとって追い風となる可能性がある。米国政府は省庁の業務効率化を進めており、特に国防分野では自動化技術の導入が強化される見通しだ。これにより、国境警備、ミサイル防衛、ドローン運用、サイバーセキュリティ、軍事訓練などの分野でパランティアの技術が求められる機会が増えると考えられる。

一方で、政府契約は政治的要因に左右されるため、契約遅延や予算削減といったリスクも無視できない。これに加え、商業部門における成長が堅調であることから、政府依存のリスクを軽減できるかが重要な焦点となる。AIとデータ分析の需要拡大が続く中、パランティアが持続的な成長を遂げるには、政府契約の獲得だけでなく、商業部門のさらなる強化が求められる。

Source:Barchart.com