ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2025年3月1日時点でコカ・コーラ株を290億ドル相当保有し、同社の4番目に大きな持ち株とされる。バフェットがこの銘柄を長期にわたり保持する理由の一つは、圧倒的なブランド力と市場での価格決定権だ。
コカ・コーラは世界200カ国以上に展開し、2024年第4四半期には売上高6%増、販売数量2%増という安定した成長を示した。さらに、同社は63年間連続で増配を続けており、バフェットのバークシャーは年間8億1,600万ドルの配当を受け取る。一方で、成長の鈍化や高いバリュエーションが指摘される点も見逃せない。
コカ・コーラは投資家に安定収益を提供するが、億万長者を目指すには適していないとの見方もある。S&P 500のリターンを上回る成長は期待しづらく、より高成長の銘柄を選ぶ戦略が求められるだろう。
バフェットが選ぶコカ・コーラの魅力 圧倒的ブランド力と安定収益

ウォーレン・バフェットがコカ・コーラ株を数十年にわたり保有し続ける最大の理由は、その圧倒的なブランド力と安定した収益性にある。同社は世界200カ国以上で展開し、長年にわたり確固たる市場基盤を築いてきた。消費者の嗜好が変化しても、同社のブランド価値は揺るがず、安定した売上を生み出し続けている。
2024年第4四半期の決算では、コカ・コーラの売上高が前年比6%増加し、販売数量も2%増加した。特に中国、ブラジル、米国市場での好調が成長を支えた。価格戦略の巧妙さも際立ち、インフレ環境下でも製品価格を9%引き上げることで利益を確保した。価格決定権を持つ企業は、コスト上昇時でも利益を維持しやすい点で、投資家にとって魅力的である。
バフェットは配当株を重視する投資家としても知られるが、コカ・コーラの連続増配はその期待に応えている。63年間の連続増配に加え、直近の年間配当は8億1,600万ドルに達し、バークシャー・ハサウェイに安定したキャッシュフローをもたらしている。市場変動に強く、長期投資に適した銘柄であることが、バフェットがコカ・コーラを手放さない大きな要因の一つだろう。
成長の鈍化と高いバリュエーション コカ・コーラ株の課題
コカ・コーラの最大の懸念点は、成長の鈍化にある。同社の2024年の売上高は471億ドルに達したが、これは2014年と比較してわずか2%の増加にとどまる。長期的に安定した収益を確保しているものの、新たな成長分野への積極的な展開が乏しい点は否めない。清涼飲料市場は成熟し、新興市場でも競争が激化しているため、今後の飛躍的な成長は見込みづらい。
さらに、コカ・コーラのバリュエーション(企業価値評価)はやや割高にある。現在の株価収益率(P/Eレシオ)は29.3倍で、過去5年間の平均より11%高い水準だ。また、S&P 500全体と比較しても割高であり、株価には一定のプレミアムがついている状態といえる。これにより、成長性を重視する投資家にとっては、魅力的なエントリーポイントとは言い難い。
同社の収益安定性は魅力的ではあるが、急成長する企業とは異なり、投資による大きなリターンを期待するのは難しい。特に、過去10年間の総リターンは126%と、S&P 500の成長率を下回っており、市場平均を上回るパフォーマンスを求める投資家には不向きかもしれない。このため、コカ・コーラは長期的な配当収入を重視する投資家には適しているが、高成長を狙う投資家にとっては慎重な判断が求められるだろう。
配当株としての安定性と長期投資の価値
コカ・コーラは急成長企業ではないが、安定した収益構造を持つ点で、長期的なポートフォリオに組み込む価値がある。特に、配当収入を重視する投資家にとって、同社の63年間にわたる連続増配と高い営業利益率は魅力的な要素となる。
バークシャー・ハサウェイは、コカ・コーラ株を4億株以上保有し、2025年3月1日時点の年間配当収入は8億1,600万ドルに達する。これは、バークシャーのキャッシュフローにとって安定した収入源であり、リスクの低い資産運用を可能にしている。また、インフレ環境下でも価格を引き上げる力を持つため、収益の安定性がより際立つ。
一方で、配当株としての魅力はあるものの、成長の鈍化を考慮すると、投資家によってはリスク分散の一環としての位置付けに留めるべきかもしれない。市場全体の成長に追随できない可能性があるため、コカ・コーラ単独での投資ではなく、他の成長株と組み合わせることで、ポートフォリオのバランスを取る戦略が求められる。
Source:The Motley Fool