Microsoftは3月7日、Windows 11 Insider Preview Build 27808をCanaryチャネル向けにリリースした。本ビルドではタスクマネージャーのCPU使用率計算方法が変更され、業界標準のメトリクスに統一。また、新たに「CPU Utility」列を追加し、従来の数値も参照可能とした。

さらに、「Roblox」などのゲーム起動時のグリーンスクリーン問題や、検索ウィンドウが空白になる不具合を修正。BitLocker関連のパフォーマンス向上やループ問題も解消された。一方、d3d9.dllのクラッシュなど未解決の不具合も確認されており、引き続き調査が進められている。

Microsoft Storeでは「Spotlight」セクションのデザインを刷新し、ダウンロードページの管理機能を強化。Canaryチャネルのビルドは開発の初期段階にあるため、不安定な要素も含まれる。試験的な機能が正式リリースされるかは今後の動向次第となる。

タスクマネージャーのCPU使用率計算が変更 統一メトリクスを採用

Windows 11 Insider Preview Build 27808では、タスクマネージャーのCPU使用率の計算方法が見直された。これまで異なるページで表示されていたCPU使用率の計算基準が統一され、業界標準のメトリクスに基づく新方式が導入された。「プロセス」「パフォーマンス」「ユーザー」の各ページで同一の数値が表示されるようになり、解析の精度が向上する。

従来の方式では「プロセス」ページと「パフォーマンス」ページで異なる算出方法が採用されており、システムリソースの監視に一貫性が欠けていた。今回の変更により、全てのページで統一的なCPU使用率が示されるため、ユーザーはより正確な負荷の分析が可能となる。

また、新たに「CPU Utility」というオプション列が追加され、従来の数値を参考にしたいユーザーにも配慮した設計となっている。この変更は、特に負荷の高いタスクを管理するユーザーにとって有益と考えられる。

システム監視ツールやパフォーマンス最適化に関わる専門家にとって、CPU使用率の一貫性は不可欠であり、今回のアップデートは業務の効率向上に寄与する可能性がある。ただし、新しい計算方法への移行に伴い、従来の数値との乖離が生じる可能性があり、一定の調整期間が必要となるかもしれない。

BitLockerの改善とセキュリティの安定化

今回のビルドでは、BitLockerのパフォーマンス改善と特定の不具合修正が行われた。起動時のBitLocker PIN入力画面や回復キー画面の読み込み速度が向上し、一部のユーザーで発生していたBitLockerのループ問題も解消された。また、「Get-BitLockerVolume」コマンド実行時のエラーも修正され、管理者の運用負担が軽減される見込みである。

BitLockerはWindows環境における重要なディスク暗号化機能であり、システム起動時の認証を強化する役割を果たす。今回の改善によって、BitLockerを利用したセキュリティ管理の安定性が向上し、企業や個人ユーザーにとって利便性が増すことになる。特に、暗号化されたディスクの運用時に発生するトラブルのリスクが低減することは、IT管理者にとって大きなメリットとなる。

一方で、セキュリティ機能の改善に伴い、Windows Insider Programに参加しているユーザーはテスト段階の変更に適応する必要がある。企業環境での本格導入には慎重な検証が求められ、新たなバージョンの安定性や互換性を確認しながら運用を進めることが重要である。

特に、BitLocker関連の変更はシステム全体のセキュリティポリシーにも影響を与えるため、適用時には十分な注意が必要となる。

Canaryチャネルの特性と試験的機能の展開

Windows 11 Insider Preview Build 27808はCanaryチャネル向けにリリースされた。Canaryチャネルは開発の初期段階の機能をいち早く試すための環境であり、他のチャネルよりも不安定な要素を含む。今回のビルドでは、ゲームのクラッシュ問題や検索機能のバグ修正が行われた一方、新たにd3d9.dllのクラッシュ問題など未解決の不具合も確認されている。

Canaryチャネルでは、正式リリース前の試験的な機能が含まれることが多く、ユーザーは変更点をいち早く体験できるメリットがある。しかし、機能の安定性が保証されているわけではなく、頻繁なバグの発生や、特定機能の予告なしの変更・削除が行われる可能性もある。

今回のビルドでも、Copilot+ PCでCanaryチャネルへ移行した際にWindows HelloのPINや生体認証が無効になる問題が報告されており、影響を受けるユーザーは設定の再構築が必要となる。このような特性を踏まえると、Canaryチャネルの利用は高度なテスト環境を必要とする開発者やエキスパート向けと考えられる。

一般ユーザーにとっては、DevチャネルやBetaチャネルの方が安定した体験を提供できる可能性が高い。Canaryチャネルで得られたフィードバックが今後の正式版にどのように反映されるかは、Microsoftの開発方針に委ねられているが、試験的機能の実装とフィードバックの蓄積が今後のWindows 11の進化に影響を与えることは間違いない。

Source:Windows Insider Blog