Appleは今年の春にMacBook AirやiPad Airなどを発表したばかりだが、年内にはさらなる新製品の登場が予想されている。その中でも特に注目されるのが、次世代の紛失防止タグ「AirTag 2」だ。著名リーカーKosutamiによると、AirTag 2は5月から6月に発表される可能性があり、Appleの開発者会議WWDC前後のタイミングとなる見込みだ。

また、BloombergのMark Gurmanも「今年の中頃」に登場すると予測している。AirTag 2には、通信範囲の拡大、改良されたワイヤレスチップ、プライバシー保護の強化という3つの重要なアップグレードが加わる見通しだ。特に新しい超広帯域(UWB)チップの採用により、現在の約3倍となる最大90メートルの通信範囲が実現する可能性がある。

さらに、ストーカー行為への対策も強化される見込みで、過去に指摘された悪用リスクに対処する施策が施されることが期待される。

AirTag 2の通信範囲は最大90メートルへ 新UWBチップがもたらす進化

次世代のAirTag 2では、超広帯域(UWB)チップの改良により、通信範囲が大幅に拡張されるとみられる。現在のAirTagは10〜30メートルの範囲で追跡可能とされているが、新モデルでは最大90メートルの通信が可能になる可能性が指摘されている。

Appleは既にiPhone 15 Proシリーズに新型UWBチップ「U2」を搭載しており、AirTag 2もこれに対応する形でアップグレードされると考えられる。通信範囲の拡大は、AirTagの利便性を飛躍的に向上させる。現行モデルでは、タグの位置特定は近距離での「正確な検索」機能に依存していたが、新型ではより遠くにあるアイテムの探索が可能になる。

特に、広範なエリアでの利用を想定するユーザーにとっては大きなメリットとなるだろう。一方で、通信範囲の拡大に伴い、Appleはバッテリー効率の最適化も求められる。現行のAirTagはCR2032ボタン電池を採用し、約1年間の駆動が可能だが、新しいUWBチップの導入による消費電力の増加がどのように管理されるかが注目される。

仮に新型AirTagの電池寿命が短縮される場合、充電式への移行や新たな省電力機能の搭載が期待される。

ストーカー行為への対策強化 悪用防止機能の進化

AirTagは便利な追跡デバイスである一方で、悪用のリスクが過去に何度も指摘されてきた。特に、ストーカー行為や無断追跡に使われた事例が報告されており、Appleはこれまでにも対策を講じてきた。例えば、iPhoneには見知らぬAirTagが近くにある場合に警告を発する機能が搭載されているが、それでも完全な防止には至っていない。

AirTag 2では、こうした悪用リスクへの対応がさらに強化されるとみられる。AppleはGoogleと協力し、Androidデバイスでも未知のAirTagの検出が容易になるシステムを開発している。この取り組みは2023年に発表されており、AirTag 2ではこの技術がより高度に統合される可能性がある。

また、スピーカーの無効化による隠蔽行為を防ぐため、AirTag 2では物理的にスピーカーを改良し、強制的に音を発する機能が追加されるかもしれない。このような対策は、ユーザーの安全性を高めるだけでなく、AirTag自体の社会的な信頼性を向上させる上でも重要な要素となる。

過去にAirTagの悪用が問題視されたことで、一部の消費者が利用を避ける傾向も見られた。Appleとしては、AirTag 2のセキュリティ強化を通じて、こうした不安を払拭し、製品の普及を促す狙いもあると考えられる。

AirTag 2の価格戦略 現行モデルからの変更はあるのか

AppleはAirTagを比較的手頃な価格で提供しており、現行モデルは1個29ドル(約4,000円)、4個セットで99ドル(約14,500円)という価格設定となっている。これに対し、次世代のAirTag 2では価格が据え置かれるのか、それとも新機能の追加に伴い値上げされるのかが注目されるポイントだ。

Appleの過去の製品戦略を見ると、機能向上があっても価格を大幅に変えないケースが多い。特に、AirTagのようなアクセサリーは広く普及させることが重要であり、価格を維持する可能性は十分にある。ただし、通信範囲の拡大やプライバシー保護の強化によるコスト増加が価格に反映される可能性も否定できない。

また、AirTag 2がどのような販売戦略をとるのかも注目される。例えば、単体販売だけでなく、iPhoneやMacとのバンドル販売が行われる可能性も考えられる。Appleはこれまでも、AirPodsやApple Watchの普及を促進するために一部のキャンペーンを実施しており、AirTag 2についても同様の戦略がとられるかもしれない。

Source:9to5Mac