Appleの最新プロセッサ「M3 Ultra」を搭載した新型Mac Studioが、Geekbenchのデータベースに登場した。M2 Ultraと比較し、CPU性能は最大30%向上し、シングルコアスコアは3,262点、マルチコアスコアは28,333点を記録。GPUの性能向上は控えめで、Metalスコアは約13%の向上にとどまる。

AMDのRyzen AI Max+ 395と比較すると、M3 UltraはCPU性能で最大33%優位に立つが、価格は高めに設定されており、コストパフォーマンスの面では慎重な検討が求められる。ストレージの拡張性が限られる点も、競争力に影響を与える可能性がある。

M3 Ultraの性能向上はどこまで進化したのか

AppleのM3 Ultraは、M2 Ultraと比較してCPU性能が大幅に向上している。Geekbench 6.4のデータによると、シングルコアスコアは3,262点で約20%の上昇、マルチコアスコアは28,333点で約30%の向上を示した。これは、CPUコア数の増加に加え、クロック速度の向上(4.05GHz vs 3.48GHz)やアーキテクチャの改良が要因と考えられる。

また、ユニファイドメモリは最大512GBに対応し、マルチタスクやデータ処理の効率がさらに向上している。一方、GPUの進化は比較的控えめであり、Metalのスコアは259,277点で13%の向上にとどまった。OpenCLスコアも147,719点で約9%の向上にとどまり、GPU性能の向上はCPUに比べると限定的といえる。

これは、M2 Ultraからの設計変更が主にCPUに重点を置いていたことを示唆している。M3 Ultraは、特にマルチスレッド処理を多用する用途では高いパフォーマンスを発揮する。しかし、GPU性能の向上幅が小さいことから、3DレンダリングやAIワークロードを重視するユーザーにとっては、競争力が限定的になる可能性がある。

こうした用途では、専用のGPUを搭載する他のハイエンドPCとの比較が求められるだろう。

M3 UltraとRyzen AI Max+ 395の競争力

M3 Ultraと競合するチップとして、AMDのRyzen AI Max+ 395が挙げられる。Geekbench 6.4のスコアでは、M3 Ultraがシングルコア性能で約9%、マルチコア性能で33%上回る結果となった。特にマルチコア性能の優位性は、Appleのユニファイドメモリと効率的なCPU設計によるものと考えられる。

一方、GPU性能では、M3 UltraはRyzen AI Max+ 395に対してOpenCLスコアで約63%上回る結果を示し、統合GPUにおいてはAppleの強みが発揮されている。しかし、価格面では両者の違いが顕著である。M3 Ultra搭載のMac Studioは最低価格で3,999ドルに設定されており、Ryzen AI Max+ 395搭載PC(Framework製)は1,999ドル程度で購入可能である。

さらに、Ryzen AI Max+ 395搭載モデルはNVMe SSDの拡張が可能であり、ストレージの増設やメモリ拡張の自由度が高い点も大きな違いとなる。Mac Studioの価格設定と拡張性の制約は、プロフェッショナル用途のユーザーにとって検討すべきポイントとなる。

AppleのエコシステムやMacOSの最適化されたワークフローに価値を見出すか、それともコストパフォーマンスと拡張性を重視するかが、選択の鍵となるだろう。

Mac Studioはプロユーザーにとって最適解なのか

M3 Ultra搭載のMac Studioは、CPU性能の大幅な向上により、動画編集やマルチスレッド処理を多用するクリエイターにとって魅力的な選択肢となる。しかし、GPU性能の向上が控えめであることから、3Dレンダリングや機械学習向けのワークロードでは、NVIDIAのRTXシリーズを搭載したWindowsマシンと競合する場面が増える可能性がある。

また、Appleの製品戦略として、ハードウェアの拡張性が制限されている点は重要だ。M3 Ultraモデルのストレージは購入時に決定しなければならず、後から増設することはできない。この点で、カスタマイズ性を求めるユーザーにとっては不利に働く。加えて、価格が高額に設定されていることも、特にフリーランスや個人事業者にとっては慎重な判断を求める要因となる。

AppleのMac Studioは、M3 Ultraの高性能とmacOSの安定性を武器に、多くのプロフェッショナルユーザーを引き付ける可能性が高い。ただし、価格と拡張性の制約を考慮すると、すべてのユーザーにとって最適解とは言い難い。

特に価格に敏感な層やカスタマイズを重視するユーザーにとっては、Ryzen AI Max+ 395搭載のPCや他のハイエンドWindowsマシンが、より実用的な選択肢となる可能性もある。

Source:NotebookCheck.net