Samsungの折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip」シリーズは、その独自のデザインと携帯性で注目を集めてきた。しかし、約1年半の使用を経て、バッテリー性能の大幅な低下が顕在化した。物理的な故障は発生していないものの、ソフトウェアの更新後に電池持ちが著しく悪化し、夜間の通知問題にも悩まされるようになった。
バッテリー容量は同世代の他機種と比べて少なく、経年劣化による影響も大きいと考えられる。さらに、外部スクリーンの利便性が制限されており、折りたたみ端末ならではのメリットを十分に享受できないという声も多い。こうした背景から、Galaxy S25などの従来型スマートフォンへの買い替えを検討するユーザーが増えている。
SamsungはZ Flipのポテンシャルを活かしきれていないとの指摘もあり、次世代モデルでは改善が求められる。折りたたみスマホの未来は、耐久性と実用性のバランスにかかっていると言えるだろう。
Galaxy Z Flipのバッテリー問題 長期使用で明らかになった限界

SamsungのGalaxy Z Flipは、折りたたみ式スマートフォンの革新として注目を集めた。しかし、約1年半の使用を経てバッテリー持ちが大幅に悪化し、ユーザーの不満が顕在化している。特に、2024年4月のOne UI 6.1アップデート以降、充電の減りが加速し、バッテリー診断ツールが「良好」と表示するにもかかわらず、実際の使用感との乖離が指摘されている。
Galaxy Z Flip 5は、2つのバッテリーを搭載しているものの、合計容量は13.92Whにとどまり、同世代のGalaxy S23(14.68Wh)と比較しても小さい。当初は一晩の充電で1日を持ちこたえることができたが、1年が経過すると省電力設定を施しても夕方まで持たない状況に陥った。
ポケモンGOのような負荷の大きいアプリを削除しても効果は薄く、ユーザーは頻繁な充電を余儀なくされている。CES2024の取材でラスベガスを訪れた筆者も、バッテリーの持ちが悪すぎて仕事にならず、予備のスマートフォンを手配する事態に至った。
Samsungは折りたたみ技術の進化を重ねているが、バッテリーの持続時間という基本的な課題に対して十分な改善が施されているとは言い難い。Z Flip 7では、より大容量のバッテリーとソフトウェアの最適化が求められるだろう。
外部スクリーンの利便性と実用性 期待を裏切る制約の数々
Galaxy Z Flipシリーズの特徴のひとつが、端末を折りたたんだ状態でも使用可能な外部スクリーンである。Z Flip 5ではこの画面サイズが拡大されたものの、依然としてフルサイズのスマートフォンのような自由な操作は難しく、ユーザーの期待を完全には満たしていない。
例えば、カバー画面ではアプリを開く際に制限があり、Samsungの「Good Lock」アプリを使わなければ、自由にアプリを追加することも難しい。加えて、カバー画面の操作性も課題である。スワイプ操作の仕様が直感的でなく、アプリを開こうとすると意図せずSamsung Payが起動することがある。
さらに、広告の表示を回避しながら特定のボタンを押す必要があるなど、日常的な操作のストレスが蓄積する要因となっている。一方で、セルフィー撮影に関しては、外部スクリーンを活用することでメインカメラを用いた高品質な自撮りが可能となる。
しかし、それ以外の用途では利便性が低く、Z Flipならではの強みを活かしきれていない印象が強い。Galaxy Z Flip 7では、外部スクリーンをより本格的なAndroid端末として機能させるか、少なくとも操作の直感性を向上させることが不可欠だろう。
Z FlipからS25へ移行するユーザーの増加 折りたたみスマホの未来は
Galaxy Z Flip 5の使用に限界を感じたユーザーは、Samsungのトレードインプログラムを活用し、従来型のGalaxy Sシリーズへ移行するケースが増えている。特に、Galaxy S25は市場で最もコンパクトなハイエンドAndroidスマートフォンのひとつであり、バッテリー持ちの良さが評価されている。
筆者もZ Flip 5からS25へ乗り換えたが、移行後の最大のメリットはバッテリー寿命の大幅な向上だった。Z Flip 5では午後5時頃には充電が必要だったが、S25では同じ時間帯でも80%以上のバッテリー残量を維持している。さらに、カバー画面の制約がなくなり、通常のスマートフォンとして直感的な操作が可能になったことで、ストレスが大きく軽減された。
折りたたみスマートフォンは今後も進化を遂げるだろうが、現時点ではバッテリーの持続時間とソフトウェアの最適化が大きな課題として残る。Samsungが今後のモデルでこれらの問題をどのように解決するかが、折りたたみスマートフォンの未来を左右する要素となるだろう。
Source:The Verge