アーク・インベストメント・マネジメントの創業者キャシー・ウッド氏は、2025年3月6日、ロブロックス(RBLX)の株式67,967株を約400万ドルで売却した。この決断は、同社の株価が過去1か月で14%下落し、市場全体の調整局面が続く中で行われた。

ロブロックスは2024年第4四半期に売上高9億8820万ドル、アクティブユーザー8,530万人を記録し、堅調な成長を示したが、2025年度の予約売上ガイダンスが市場の期待を下回ったことで、株価は急落した。特に、2月6日の決算発表後には14%の下落を経験し、投資家心理が悪化した。

ウッド氏は過去にも下落時に買い増しを行っており、今回の売却が同社の成長性を完全に否定するものではない。ただし、直近5営業日で10%下落するなど、市場の不安定さが続く中で、リスク管理を優先した形だ。今後の市場環境次第では、再びロブロックス株への投資を行う可能性も残されている。

キャシー・ウッドの売却判断 ロブロックスの業績と市場の反応

キャシー・ウッド氏が売却したロブロックス株67,967株は、約400万ドル相当であった。売却の背景には、2025年3月6日時点での市場の弱含みと、ロブロックスの業績に対する投資家の懸念があった。同社は2024年第4四半期に前年比32%増の9億8820万ドルの売上を記録し、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)も8,530万人と拡大した。しかし、2025年度の予約売上ガイダンスが52億〜53億ドルと発表されたことで、市場の期待を下回り、株価は2月6日の決算発表直後に14%下落した。

ロブロックスの決算自体は好調だったが、市場は慎重な姿勢を取った。フリーキャッシュフロー(FCF)が前年同期比54%増加するなど、財務面の健全性も示されたが、投資家の関心は成長鈍化の兆しや今後の収益見通しに向けられた。特に、ユーザー1人あたりの予約売上の減少や、第1四半期の売上予測が市場予想を下回ったことが、売り圧力を強めた要因となった。

ウッド氏は、市場の混乱時にはリスク回避のために保有株を一部売却し、成長が見込める分野に再投資する傾向がある。今回の売却もその戦略に基づくものとみられ、ロブロックスに対する評価を完全に改めたわけではない。長期的な視点では、同社の持つユーザーベースやメタバース市場の成長可能性を考慮し、再投資の機会をうかがう可能性もある。

ロブロックスの成長鈍化懸念 投資家が注視するポイント

ロブロックスは、デジタルエンターテインメント分野の成長企業として注目されてきたが、足元では成長鈍化が指摘されている。2024年第4四半期の業績は市場予想を上回ったものの、2025年度の予約売上ガイダンスが投資家の期待を下回り、市場に失望感が広がった。さらに、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)は増加しているものの、ユーザー1人あたりの収益貢献度が低下しつつある点も懸念材料となっている。

投資家が特に注視しているのは、ロブロックスのビジネスモデルが今後どのように成長を維持できるかという点である。現在の市場環境では、企業の成長スピードが鈍化すると、その影響を株価が即座に反映する傾向が強い。加えて、2025年の純損失見通しが10億3000万ドルと発表されたことも、投資家の不安を増幅させた。これらの要素が重なり、決算発表後の株価下落を招いたと考えられる。

ただし、ロブロックスは依然として強力なユーザーベースを持ち、成長余地が残されている。メタバース市場の発展や、新たな収益モデルの確立が進めば、再び市場の評価が高まる可能性もある。今後は、同社の収益構造の変化や新規事業の展開が、投資家の判断材料となるだろう。

キャシー・ウッドの売却は短期的判断か 今後の投資戦略

キャシー・ウッド氏は、成長株を積極的に売買する戦略を取ることで知られている。今回のロブロックス株売却は、過去1か月で14%の下落、直近5営業日だけでも10%下落するなど、市場全体の不安定さを考慮した決断とみられる。しかし、ウッド氏は短期的な市場の変動に合わせた売買を行うのではなく、長期的な視点での投資判断を下すことで知られており、今後の動向が注目される。

ウッド氏は2月6日と7日の決算発表後にはロブロックス株を買い増していた。このときの株価は65.10ドルまで下落しており、「下落時に有望な銘柄を買い増す」という彼女の投資哲学に基づいた行動だった。しかし、決算内容が市場の期待を満たさず、その後も株価が下落し続けたため、リスク管理の観点から売却に踏み切ったと考えられる。

今回の売却が、ロブロックスに対する評価を根本的に変えたものとは言い切れない。市場環境が安定し、同社の成長が再び加速する兆しが見えれば、ウッド氏が再投資する可能性は十分にある。ロブロックスの今後の成長戦略と、ARKのポートフォリオの変化がどのように連動するかが、次の注目点となるだろう。

Source: Wall Street Pit