2024年に大幅な株価上昇を遂げたNvidia(NVDA)とPalantir Technologies(PLTR)は、2025年に入り異なる展開を見せている。NvidiaはAI向けGPUの需要増を背景に売上成長を維持しているが、株価は年初から14%下落。AIソフトウェア分野で成長を続けるPalantirも、直近で大幅な下落を記録した。しかし、AI市場全体の成長性は依然として高く、両社の長期的な競争力には注目が集まる。

Nvidiaは最新のBlackwellプロセッサを投入し、AIチップ市場での圧倒的なシェアを維持する戦略を進めている。同社の2025年度第1四半期の売上予測は前年同期比65%増の430億ドルとされ、アナリストの期待も高い。一方、PalantirはAIソフトウェア市場の急拡大を捉え、売上成長率を2023年の17%から2024年は29%へ加速。未実現契約価値(RDV)も前年同期比40%増となり、新規契約の獲得が進んでいる。

投資判断としては、Nvidiaの成長性と割安なバリュエーションに対する評価が高まる一方、Palantirの株価は割高感が指摘されている。アナリスト予想ではNvidiaの株価は今後12カ月で51%上昇する可能性があり、現時点ではNvidiaの方が魅力的な投資先となるかもしれない。


Nvidiaの成長戦略 AI市場の覇権を握るBlackwellプロセッサ

Nvidiaは2025年に入り株価が約14%下落したが、AI向けGPUの需要は依然として堅調である。同社の2025年度第4四半期決算では、売上高が前年同期比78%増の393億ドルに達し、調整後EPSも71%増の0.89ドルを記録した。これにより、ウォール街の予想を上回る業績を示した。AI市場での競争が激化する中、Nvidiaは「Blackwell」プロセッサの供給を強化し、圧倒的なシェアを維持する方針を打ち出している。

Blackwellは従来のH100プロセッサと比較して、推論処理速度を25倍に向上させ、コストを20分の1に削減するとされている。この革新により、クラウド事業者やエンタープライズ市場において、AIの事前学習や推論プロセスの効率化が大幅に進む可能性がある。加えて、DeepSeekの「R1」などの低コスト推論モデルの登場により、データセンターのコンピューティング需要も拡大する見通しである。

一方で、Nvidiaにはリスクも存在する。特に、AI向けGPUの輸出規制や、企業がカスタムプロセッサを開発する動きが増加している点が課題となる。しかし、NvidiaはAI分野での技術革新を続けることで、競争優位性を維持しようとしている。2025年第1四半期の売上高予測は前年同期比65%増の430億ドルとされ、成長の勢いが続くかが注目される。

PalantirのAIソフトウェア戦略 急成長市場をどう攻略するか

AIソフトウェア市場の拡大を背景に、Palantir Technologiesの成長も加速している。同社の2024年の売上高成長率は29%となり、前年の17%を大きく上回った。この成長の原動力となったのは、AIを活用したデータ分析プラットフォームの需要増加である。特に、政府機関や大手企業が生成AIの活用を本格化させたことで、新規契約の獲得が加速している。

Palantirの未実現契約価値(RDV)は2024年第4四半期に54億ドルとなり、前年同期比40%増となった。この数字は、AIソフトウェアの導入が進む中、今後の売上成長につながる可能性が高いことを示している。また、同社の調整後営業利益率は前年同期比で11ポイント改善し、利益率の向上も見られる。2024年の調整後EPSは前年比64%増の0.41ドルに達し、収益性の面でも好調を維持している。

ただし、Palantirの株価は割高との見方もある。市場では、同社の成長スピードに対して株価が過剰に評価されているとの指摘があり、最近の下落の要因ともなっている。今後、AIソフトウェア市場の成長が持続するかどうかが、Palantirの評価に大きな影響を与えることになりそうだ。

AI投資の選択肢 NvidiaとPalantirのどちらに注目すべきか

AI市場の拡大を受け、NvidiaとPalantirはそれぞれ異なる分野で成長を遂げている。NvidiaはAIハードウェアのリーダーとして、新たなプロセッサの導入を進めながらシェアを維持している。一方、PalantirはAIソフトウェア市場の成長を捉え、政府や企業向けのデータ分析プラットフォームを強化している。

投資判断の観点から見ると、Nvidiaは割安なバリュエーションと高い利益成長率が評価されている。特に、最新プロセッサ「Blackwell」の投入により、今後の売上成長が加速する可能性が高い。アナリストの予想では、Nvidiaの株価は今後12カ月で51%の上昇が見込まれており、投資家にとって魅力的な選択肢となるかもしれない。

一方、PalantirはAIソフトウェア市場の成長を背景に好調な業績を維持しているが、株価の評価が高すぎるとの懸念もある。市場の期待を上回る成長が続くかが鍵となる。短期的な株価変動を考慮すれば、現時点ではNvidiaの方が安定した成長を見込める可能性があるが、長期的には両社の市場戦略がどのように展開するかが重要なポイントとなる。

Source: The Motley Fool