台湾のGetacは、最新の軍用グレード頑丈ノートパソコン「B360」および「B360 Pro」を発表した。両モデルはIntelの最新CPU「Core Ultra 200H」を搭載し、極端な温度や高地環境など過酷な状況下でも高い計算能力を発揮する。
B360は統合GPUを採用し、コンパクトながらも高いグラフィック性能を備える。一方、B360 ProはオプションでNVIDIA RTX A500 4GB GPUを搭載可能で、さらなる処理能力を求めるユーザーに対応する。
IP66の防塵・防水性能、MIL-STD-810H/461G準拠の耐衝撃・電磁波耐性を誇り、最大1.8mの落下にも耐えうる堅牢設計。加えて1400ニトの高輝度ディスプレイやホットスワップ対応バッテリーを備え、軍事・公共安全・産業向けの需要に応える仕様となっている。発売日および価格は未発表。
Getac B360シリーズの特徴と市場における位置付け

GetacのB360およびB360 Proは、軍事・公共安全・産業向けに設計された頑丈なノートパソコンである。Intelの最新プロセッサーであるCore Ultra 200Hを搭載し、耐久性と高性能を兼ね備えている点が大きな特徴だ。
このシリーズは、MIL-STD-810HおよびMIL-STD-461Gといった米軍規格に準拠しており、衝撃や振動、温度変化に強い。さらに、IP66の防塵・防水性能により、砂塵や水滴の侵入を防ぐため、極端な環境でも動作可能だ。また、最大1400ニトの高輝度ディスプレイを備え、直射日光下でも視認性を確保できる点も特筆すべきだ。
B360とB360 Proの主な違いはGPUの有無にある。B360は統合グラフィックスを採用し、消費電力を抑えつつ十分な描画性能を持つ。一方、B360 ProではNVIDIA RTX A500 4GB GPUの搭載が可能で、より高度なグラフィック処理が求められる業務にも対応する。ホットスワップ可能なバッテリーを搭載し、電源を入れたままバッテリー交換ができるため、長時間の現場作業にも適している。
GetacのB360シリーズは、これらの特徴を備えることで、従来の一般的なラップトップでは対応しきれなかった特殊な環境下でも安定した動作を保証する。そのため、軍事や警察、救急医療の分野においても高い需要が見込まれる。
頑丈ノートPC市場におけるGetacの戦略
Getacは、耐久性を重視したノートパソコン市場において独自のポジションを確立している。特に、Panasonicの「TOUGHBOOK」シリーズやDellの「Latitude Rugged」シリーズと並び、業界をリードする存在である。
今回発表されたB360シリーズは、最新のIntel Core Ultra 200Hを搭載することで処理能力を向上させると同時に、省電力性能にも配慮している。これは、近年の頑丈ノートパソコン市場におけるトレンドである「高性能と省エネの両立」に対応する動きといえる。また、GPUオプションを追加することで、グラフィック性能を求める専門業務にも対応可能な仕様となっている。
一方で、頑丈ノートパソコン市場は限られた需要の中で競争が激化している。特に、軍事・防衛・インフラ関連市場は規模が大きいものの、製品の信頼性が求められるため、新規参入が難しい。その中で、Getacは長年にわたる実績と堅牢性に関する高い技術力を背景に、市場での存在感を強めている。
また、B360シリーズは5Gモジュールに対応しており、リモート環境での通信を強化することが可能だ。これにより、遠隔地での業務や災害対策の現場などでも有効に活用されることが期待される。今後、5G対応の進展に伴い、こうした高耐久ノートパソコンの市場はさらに広がる可能性がある。
今後の展望と課題
GetacのB360シリーズは、高い耐久性と性能を両立させたモデルとして注目される。しかし、頑丈ノートPC市場における最大の課題は、価格と重量である。一般的なラップトップに比べて本体が厚く、重量があるため、携帯性の面ではやや劣る。また、高い耐久性を実現するための設計が価格に影響を与え、市場においてコストパフォーマンスの面での競争も求められる。
一方で、軍事やインフラ関連の市場では、単なるPCとしての性能だけでなく、長期的なサポートやメンテナンス体制が重要視される。Getacはこれまでも製品の長期サポートを提供しており、B360シリーズにおいてもその点は変わらないと考えられる。特に、ミッションクリティカルな環境での使用を想定する顧客にとって、こうしたサポート体制は重要な要素となる。
さらに、5G通信やエッジコンピューティングとの連携が今後の発展の鍵となる。遠隔操作やIoTの活用が進む中、こうした高耐久ノートパソコンがどのように活用されるかが、今後の市場成長のカギを握る。Getacの今後の戦略と製品展開が、業界全体にどのような影響を与えるかが注目される。
Source:Wccftech