Amazon.de を通じて購入された AMD Ryzen 7 9800X3D が、実際には2011年製の AMD FX 4100 であったことが判明した。報告者はハードウェアレビュアーである Hardware Busters の cmaris 氏で、彼は CPU を開封後、本物との違いに気付き調査を進めた。
CPU の外観には正規品と同じ「Ryzen 7 9800X3D」のマーキングが施されていたが、ラベルを剥がすと FX 4100 であることが露呈。封印された箱のまま Amazon から発送されていたが、返品された製品がすり替えられた可能性がある。偽装品の手口としては新たな形態であり、PCハードウェア詐欺の一例として注意が必要だ。
偽Ryzen 7 9800X3Dの詳細 Amazonが販売するも中身は古いFX 4100

Hardware Busters のレビュアーである cmaris 氏は、2024年2月25日に Amazon.de で Ryzen 7 9800X3D を注文し、3月4日に受け取った。外箱には異常は見られず、封印も施されたままだった。しかし、開封後に本物の 9800X3D とは形状が異なることに気付き、さらに調査を進めた。
プロセッサーの表面には「Ryzen 7 9800X3D」と公式のマーキングが施されていたが、ラベルを剥がすと、2011年に登場した AMD FX 4100 であることが判明した。FX 4100 は古いアーキテクチャの CPU であり、Ryzen シリーズとは技術的にも大きく異なる。
これまでに、CPU の IHS(Integrated Heat Spreader)を交換した詐欺事例は存在していたが、今回のように古い CPU に新たなラベルを貼り付ける手口は珍しい。さらに、サードパーティ販売業者ではなく Amazon から直接発送された点も特筆すべき点であり、返品プロセスのどこかで偽装が行われた可能性がある。
Amazonの返品システムの盲点 すり替え詐欺の可能性
Amazon で販売された製品でありながら偽物が混入した背景には、返品システムの運用に問題がある可能性が指摘される。封印された箱がそのまま販売されていたため、過去の購入者が返品時に CPU をすり替えた疑いが浮上する。
Amazon の返品ポリシーでは、開封済みの商品であっても返金されるケースが多く、一部の不正利用者が別の商品と入れ替え、正規品の価格で古い製品を売却する手口が存在すると考えられる。今回のケースでは、返品された CPU に新たなラベルを貼り、Amazon の倉庫で再出荷された可能性がある。
この手法は、これまで GPU などで発生していた詐欺の手口と類似しているが、CPU での発覚は珍しい。返品システムを悪用した詐欺が横行する中で、販売プラットフォーム側の品質管理や検品体制の強化が求められるだろう。
PCパーツ市場における詐欺の拡大 ユーザーの対策は
PC ハードウェア市場では、人気の高い最新モデルが標的となり、偽装品や詐欺の手口が進化している。特に高性能 CPU や GPU は需要が高く、偽装によって利益を得ようとする者が後を絶たない。
ユーザーが被害を防ぐためには、まず正規の販売店から購入することが重要となる。Amazon のような大手プラットフォームでも偽物が混入する可能性があるため、製品が届いた際には外観を慎重に確認し、可能であればシリアルナンバーを AMD の公式サイトで照合するなどの対策が有効だ。
また、ハードウェアの知識を持つこともリスク回避につながる。今回のケースでは、レビュアーが本物の 9800X3D を所有していたため違いに気付くことができたが、一般の購入者では発見が難しい可能性がある。技術的な知識とともに、開封時のチェックを徹底することが求められるだろう。
Source:NotebookCheck