Nvidiaの新型GPU「RTX 5060」「RTX 5060 Ti」「RTX 5050」の詳細な仕様がリークされた。今回のモデルではCUDAコアの増加やTDP(消費電力)の向上が見られるが、VRAM容量は据え置きとなり、一部ユーザーから不満の声が上がる可能性がある。
RTX 5060は前世代比でCUDAコアが約25%増加し、TDPも115Wから150Wに引き上げられた。RTX 5060 Tiも同様にコア数が増加し、TDPは180Wに達する。一方、RTX 5050はRTX 3050とほぼ同一スペックで、GDDR6メモリを継続採用するなど進化が限定的である。
Nvidiaはこれらのモデルを高リフレッシュレートの1080pゲーミング向けに位置付ける可能性があるが、同クラスの競合製品が12GBのVRAMを搭載していることを考慮すると、RTX 5060の8GB据え置きは物足りなさを感じさせる。発表は3月13日、発売は4月と予測されており、価格設定と実際のパフォーマンスが市場の評価を左右することになりそうだ。
RTX 5060・5060 Ti・5050の仕様と進化の限界

Nvidiaの新型GPUであるRTX 5060、5060 Ti、5050の詳細な仕様がリークされた。今回の世代ではCUDAコアの増加が見られ、RTX 5060は前世代の3072コアから3850コアへ、RTX 5060 Tiは4352コアから4608コアへと拡張されている。これに伴い、消費電力(TDP)もそれぞれ150W、180Wへと上昇した。一方で、RTX 5050はRTX 3050とほぼ同じスペックを維持し、CUDAコア数は2560のまま、TDPも130Wから変化していない。
VRAMについては、RTX 5060とRTX 5050が8GBのGDDR6を維持し、RTX 5060 Tiのみ16GBのオプションが提供される。GDDR7の採用が進む中、エントリーおよびミドルレンジモデルにおいて旧規格のVRAMを維持することは、メモリ帯域のボトルネックを引き起こす可能性がある。特にRTX 5050はRTX 3050からの実質的な変更がなく、2025年の市場において十分な性能を提供できるのか疑問視される。
また、RTX 5060と5060 TiはBlackwellアーキテクチャを採用しているものの、従来モデルからの進化は限定的である。例えば、RTX 5070がRTX 4070 Superとほぼ同等の性能であるように、RTX 5060もRTX 4060と大差ないパフォーマンスにとどまる可能性がある。こうした状況が続く場合、最新世代のモデルに対する魅力が薄れ、ユーザーの買い控えにつながる可能性もある。
VRAM容量の据え置きがもたらす市場への影響
RTX 5060およびRTX 5050が8GBのVRAMを維持するという点は、多くのユーザーにとって懸念材料となる。近年のゲームやクリエイティブ用途では、VRAM使用量が増加傾向にある。特に高解像度テクスチャやレイトレーシングの活用が進む中で、8GBではメモリ不足が発生しやすくなる。
対照的に、競合であるIntelのArc B580は12GBのVRAMを搭載しており、AMDも新たに登場するRadeon RX 9060や9050においてより大容量のVRAMを採用する可能性がある。この状況において、Nvidiaが3世代にわたって8GBのVRAMを維持する戦略を続けることは、ハードウェアの進化に対する市場の期待と乖離する恐れがある。
また、過去のSteamハードウェア調査ではRTX 3060が圧倒的な人気を誇っていたが、その主な要因の一つが12GBのVRAMを搭載していた点にある。対照的にRTX 4060は8GBの制限があり、RTX 3060ほどの成功を収められなかった。これらの事実を考慮すると、RTX 5060が同じ8GBの制限を受け続けることで、ユーザーが買い控えに走る可能性も十分に考えられる。
一方で、RTX 5060 Tiの16GBオプションは一定の需要を見込めるかもしれない。特にAI関連のタスクや高解像度映像編集など、VRAMの重要性が高い用途では、より大容量のモデルが選ばれやすい。ただし、このクラスの製品において価格が大幅に上昇する場合、上位モデルや競合製品へとユーザーが流れる可能性も否定できない。
RTX 5060シリーズはヒットするのか
RTX 5060および5060 Tiは、歴代の60番台シリーズと同様に主力製品となる可能性がある。実際、Nvidiaの「60」シリーズは、これまでの世代において最も人気のあるモデルとして市場に受け入れられてきた。しかし、今回のモデルは、過去の成功をそのまま再現できるのかは不透明である。
一つの要因として、RTX 4060の市場評価が芳しくなかった点が挙げられる。RTX 4060は前世代比で消費電力の低減やDLSS 3対応などの利点があったものの、VRAM容量の据え置きや性能向上の鈍化によって期待を裏切ったとする声も多かった。RTX 5060もこの傾向を引き継ぐ場合、同様の評価を受ける可能性がある。
また、競争環境も厳しさを増している。AMDのRadeon RX 9060や9050は、価格性能比を重視した製品戦略を取ると考えられるため、コストパフォーマンスの面でNvidiaに対抗してくるだろう。さらに、IntelがArcシリーズでエントリー市場を強化する動きを見せており、特にミドルレンジGPU市場はより競争が激化する可能性がある。
こうした状況の中で、RTX 5060シリーズがヒットするかどうかは、価格戦略に大きく依存する。仮に価格が抑えられ、前世代のRTX 4060やRTX 3060と同等もしくはそれ以下の価格帯に設定されれば、一定の需要を獲得できるだろう。しかし、性能向上の鈍化やVRAM不足に対する懸念が強まる場合、市場の反応は厳しくなるかもしれない。
Source:TechSpot