ゴールドマン・サックスは、世界のヘッジファンドの動向を分析し、2025年に急成長が期待される銘柄としてロビンフッド（HOOD）とクーパン（CPNG）を選定した。合計3.1兆ドルの資産を運用する695のヘッジファンドを調査し、ラッセル1000指数に含まれる銘柄の中から市場を大きく上回るリターンを示す企業を特定した結果である。

ロビンフッドは、手数料無料の株式取引プラットフォームを展開し、仮想通貨事業を拡大。直近の決算では売上高が前年比115%増、EPSは0.03ドルから1.01ドルへ急増し、アナリストの目標株価は最大105ドルと、現在から約194%の上昇余地があるとされる。

一方、韓国のeコマース大手クーパンは、ヘッジファンドの保有数が急増。2023年の株価は20%上昇し、EPSは市場予想を500%上回った。物流強化や国際展開により、2026年にはEPSが86.5%増加すると見込まれ、目標株価は最大35ドルで約59%の上昇余地がある。ウォール街は両銘柄に対し強気な姿勢を維持しており、2025年の市場を牽引する可能性が高い。

ヘッジファンドの資金流入が示すロビンフッドの成長性

ロビンフッド・マーケッツ（HOOD）は、手数料無料の株式取引サービスを提供するフィンテック企業である。近年、オプション取引や仮想通貨取引へと事業を拡大し、特に仮想通貨分野での収益増加が目立つ。2023年第4四半期から第1四半期にかけて、新たに23のヘッジファンドが同社株を取得し、総保有ファンド数は66に達した。この資金流入の増加は、機関投資家の間でロビンフッドの成長性が高く評価されていることを示している。

同社の2024年2月12日の決算発表では、売上高が前年比115%増の10.1億ドル、EPSは前年の0.03ドルから1.01ドルへと急増。特に仮想通貨取引の収益は前年比700%増と、事業拡大が業績に大きく寄与した。さらに、顧客の預かり資産も88%増の1,930億ドルに達し、プラットフォームの成長を裏付けている。

このような急成長の背景には、個人投資家の市場参加の拡大と、仮想通貨取引への関心の高まりがあると考えられる。ロビンフッドは、手数料無料の取引モデルを活用し、若年層を中心に急速にユーザーベースを拡大している。加えて、Bitstampの買収を通じて仮想通貨市場での競争力を強化し、次世代金融サービスのリーダーとしての地位を確立しつつある。今後の市場動向次第ではあるが、同社の成長ポテンシャルは依然として高いと言える。

韓国版アマゾン クーパンの競争力と市場拡大戦略

クーパン（CPNG）は、韓国を代表するeコマース企業であり、「韓国版アマゾン」として知られる。2023年第4四半期には、新たに19のヘッジファンドがCPNG株を取得し、保有ファンド数は64に増加。これに伴い、株価は過去52週間で20%の上昇を記録し、同業他社を上回る成長を遂げた。こうした動向から、ウォール街でも同社の成長性に注目が集まっている。

同社の2024年2月25日の決算では、EPSが市場予想を500%上回る0.04ドルを記録。売上高は前年比21%増の80億ドルに達し、アクティブ顧客数は前年比10%増の2,280万人に拡大した。物流ネットワークの強化や、配送スピードの向上が競争優位性を生み出し、顧客満足度の向上に寄与している。

クーパンは、国内市場でのシェア拡大だけでなく、国際展開を加速させている。特に東南アジア市場や高級ブランド分野への進出が進められ、今後の成長余地は大きいと見られる。アナリストの2025年EPS予測は0.37ドル（前年比+68.2%）、2026年には0.69ドル（+86.5%）とされ、収益拡大の可能性が示唆されている。物流、テクノロジー、戦略的買収を通じた事業展開により、クーパンの成長は今後も続くと考えられる。

ゴールドマン・サックスの分析が示す「急成長銘柄」の共通点

ゴールドマン・サックスが選定したロビンフッドとクーパンには、共通する成長要因が存在する。第一に、両社ともデジタル技術を活用したビジネスモデルを確立し、消費者の行動変化に適応している点が挙げられる。ロビンフッドは、手数料無料の取引サービスと仮想通貨事業を通じて若年層の投資家を取り込み、クーパンは迅速な配送と利便性の高いeコマースサービスで市場シェアを拡大している。

第二に、両社とも積極的な事業拡大とM&A戦略を展開し、競争優位性を確立している。ロビンフッドはBitstamp買収による仮想通貨事業の強化を進め、クーパンは物流インフラの拡充と新市場進出に注力。こうした戦略的施策が、機関投資家の関心を引き付けている。

第三に、ヘッジファンドの資金流入が示すように、機関投資家の信頼を獲得している点も重要だ。市場の不確実性が高まる中、投資家は成長性の高い企業への資本配分を強めている。ゴールドマン・サックスの分析は、こうしたトレンドを反映したものであり、ロビンフッドとクーパンが今後の市場を牽引する可能性を示唆している。

Source：Barchart.com