ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは、長年にわたり安定した配当を生み出す企業に投資を続けてきた。その中でも、特に注目されるのがコカ・コーラとクローガーである。

コカ・コーラは1987年以来、バフェットのポートフォリオの中核を担い続け、当初の13億ドルの投資は250億ドルに成長。さらに年間7億7600万ドルの配当収入をもたらし、63年連続で増配を続ける「配当王」の地位を確立している。世界の飲料市場の拡大により、今後も安定した成長が見込まれる。

一方、クローガーは2019年からバークシャーの投資先となり、2024年末には5000万株を保有。同社のデジタル売上は130億ドルに達し、総売上の9%を占めるまで成長した。過去10年間で配当額は3倍に増加し、現在の配当利回りは1.94%と堅調だ。株価も1年間で約20%上昇し、利益率の改善がさらなる成長を後押ししている。

バフェットの投資哲学は「長期的な視点」と「安定した収益」に重点を置く。コカ・コーラとクローガーは、その哲学を体現する銘柄として、今後も注目に値する。


バフェットが選んだコカ・コーラ 長期投資の象徴

ウォーレン・バフェットは1987年のブラックマンデー後にコカ・コーラの株を取得し、以降数十年にわたり保有を続けている。当初の13億ドルの投資は、2024年末時点で250億ドルへと膨らみ、加えて年間7億7600万ドルの配当収入をもたらしている。コカ・コーラは63年連続で増配を実施し、2024年には四半期配当を5%引き上げて0.51ドルとした。これにより、同社の予想配当利回りは2.88%となり、安定したインカムゲインを求める投資家にとって魅力的な水準を維持している。

コカ・コーラの成長を支えるのは、世界的なブランド力と圧倒的な市場規模である。同社の年間売上は470億ドルに達し、Statistaの推計によれば、世界の飲料市場全体の規模は2,760億ドルに及ぶ。新たなマーケティング戦略や新商品の投入、地理的拡大によって、さらなる成長の余地は大きい。また、大規模な流通網を活用したコスト削減とスケールメリットにより、利益率の向上も期待される。

バフェットがコカ・コーラを好んで投資し続ける理由は、短期的な市場変動に左右されない強固な事業基盤と、持続的なキャッシュフローの創出能力にある。同社が今後30年以上にわたり過去と同様のリターンを生むかは不確定だが、安定した配当成長を求める投資家にとって、依然として魅力的な銘柄であることに変わりはない。

クローガーの進化する成長戦略 配当とデジタル化の両立

クローガーは米国を代表するスーパーマーケットチェーンであり、2019年からバークシャー・ハサウェイの投資先となった。2024年末時点でバークシャーはクローガー株を5000万株保有し、同社の成長に対する期待を示している。クローガーは2006年以降、継続的に配当を支払っており、過去10年間で配当額は3倍に増加。現在の四半期配当は0.32ドルで、予想配当利回りは1.94%に達している。この配当成長率は、コカ・コーラの4倍のペースであり、今後も継続的な増配の可能性がある。

クローガーの成長を支えているのは、実店舗とデジタル販売の融合である。近年、オンライン食品販売の需要が拡大しており、クローガーはこれに対応する形でデジタル売上を急拡大。2024年度のデジタル売上は130億ドルに達し、総売上の9%を占めるまでに成長した。これは、従来のスーパーマーケット業態にとどまらず、EC市場でも競争力を発揮できることを示している。また、在庫管理の最適化やプライベートブランド商品の拡充を進めることで、利益率の向上を目指している。

クローガーの株価は2024年の1年間で約20%上昇しており、市場は同社の成長性を評価している。現在の株価は2025年の予想利益の14倍で取引されており、バリュエーション面でも割安感がある。安定した配当収入とデジタル化による成長の両方を重視する投資家にとって、クローガーは魅力的な選択肢の一つとなり得る。

バフェット流投資戦略に学ぶ 長期的視点の重要性

ウォーレン・バフェットの投資手法は、一貫して「長期保有」と「安定した収益」に重点を置いている。彼が選ぶ銘柄は、短期の株価変動に左右されず、長期的に収益を伸ばせるビジネスモデルを持つ企業が中心だ。コカ・コーラやクローガーは、いずれも強固なブランド力と持続的な収益を生み出す事業構造を持ち、配当成長を継続できる企業として選ばれた。

バフェットの投資哲学において重要なのは、単なる配当利回りの高さではなく、その企業が将来的にも安定して増配できるかどうかである。コカ・コーラは63年連続増配を達成し、クローガーは過去10年で配当を3倍に増やした。このような企業は、不況時でもキャッシュフローを維持できるため、長期的に安定したリターンをもたらす可能性が高い。

一方で、バフェットのポートフォリオに含まれているからといって、すべての投資家に適しているわけではない。投資判断には、個々のリスク許容度や運用目的を考慮する必要がある。例えば、成長株を求める投資家には、よりリスクを取ったハイテク銘柄の方が適しているかもしれない。バフェット流の投資を学びつつも、自身の投資方針に合った戦略を構築することが重要である。

Source:The Motley Fool