投資の神と称されるウォーレン・バフェットが、トランプ大統領の関税政策に対し異例の警告を発した。CBSの番組「Sunday Morning」のインタビューで、バフェットは関税を「戦争行為」と表現し、その負担が最終的に消費者にのしかかることを指摘した。

トランプ政権は最近、カナダとメキシコ、中国からの輸入品に対し高関税を課す決定を下したが、市場はその影響を適切に織り込めず、不確実性が増している。バフェットは、関税が経済全体のインフレを加速させ、長期的に消費者価格の上昇を招くと警鐘を鳴らした。

さらに、バークシャー・ハサウェイは2024年、投資活動を控え、過去に例を見ない現金保有を進めていた。市場の変動に対し慎重な姿勢を崩さないバフェットの動きは、今後の経済の先行きを占う上で重要なシグナルとなる可能性がある。


バフェットが指摘する関税の本質 消費者負担と市場への影響

ウォーレン・バフェットは、関税が単なる貿易政策ではなく、実質的に「戦争行為」であると指摘した。彼によれば、関税は国内企業や労働者を守るものではなく、最終的には消費者への増税と同義であり、その負担は避けられない。実際、米国政府がカナダ、メキシコ、中国からの輸入品に対し最大25%の追加関税を課したことで、貿易相手国の報復関税が相次ぎ、経済の不透明感が高まっている。

トランプ大統領は、関税を交渉の材料として利用することが多く、3月6日にはカナダとメキシコに対する関税を一時停止する判断を下した。このような不安定な政策運用が続くと、企業は生産や投資計画を立てにくくなり、市場の混乱が長期化する可能性がある。加えて、関税の影響が商品価格に転嫁されることで、消費者の購買力が低下し、経済全体に影響を及ぼすことは避けられない。

バフェットは、関税を「消費者に対する隠れた税」と表現し、その負担を幻想ではなく現実として認識するべきだと強調した。市場では、関税による価格上昇が経済成長を鈍化させるとの懸念が広がり、投資家の間でもリスク回避の動きが顕著になっている。

バークシャー・ハサウェイの投資抑制 バフェットが市場を警戒する理由

2024年、バークシャー・ハサウェイは例年に比べ、新規の株式購入を抑え、大規模な現金保有を進めていた。S&P 500がAIブームによって記録的な高値を更新する中でも、バフェットは買いよりも売りを優先する姿勢を貫いた。この異例の対応は、市場が過熱している可能性や、今後の経済状況に慎重な見方を持っていることを示唆するものと言える。

バフェットは過去にも、市場の高騰期に資産を温存し、暴落時に備える戦略を取ってきた。今回の投資抑制も、関税問題を含む経済の不確実性が高まる中で、慎重な判断をしていると考えられる。特に、関税の影響が企業収益に波及する可能性があるため、安易に市場に資金を投入することを避けているのかもしれない。

また、米大統領選の行方も、バフェットの投資判断に影響を与えているとみられる。トランプ政権の関税政策が続けば、企業の収益構造に変化が生じ、株価の大幅な変動が起こる可能性がある。こうした状況下で積極的な投資を控えるのは、バフェットのリスク管理の一環とも考えられる。

関税政策がもたらす長期的影響 インフレと経済成長のリスク

バフェットは、関税がインフレを引き起こし、結果的に消費者価格の上昇につながると警告した。彼は「10年後、30年後には価格は今よりも高くなっているだろう」と述べ、長期的な視点での物価上昇を示唆した。これは、関税が一時的な景気刺激策ではなく、持続的な価格上昇を招く可能性があることを示している。

トランプ大統領は、選挙戦の中で「消費者価格を引き下げる」と公約していたが、関税政策が実施されれば、むしろ価格上昇を招くことは避けられない。米国財務長官のスコット・ベッセントも「安価な商品へのアクセスはアメリカン・ドリームの本質ではない」と発言し、政府がインフレリスクを軽視している可能性がある。

関税が企業の生産コストを押し上げることで、最終的に消費者の負担が増加し、経済成長が鈍化する恐れもある。バフェットの指摘するように、関税の負担は幻想ではなく現実であり、政策の方向性次第では、今後の経済に大きな影響を与えることになるだろう。

Source:The Motley Fool