Nvidiaの株価は年初来で約20%下落している。中国AIスタートアップの台頭や関税措置の影響が要因とされるが、シティのアナリストはこれを買いの好機と見ている。目標株価を163ドルに設定し、リスク・リワードの観点から魅力的と評価した。
同社の2025年第4四半期決算は市場予想を超え、売上高は前年比78%増の393億ドルを記録。データセンター部門の急成長も続いており、AI関連企業の投資拡大が追い風となる見込みだ。
アナリストの評価は依然として強気であり、Nvidiaの支配的地位は今後も揺るがないと見られる。AI市場の成長が続く中で、同社は今後も重要な役割を果たし続けるだろう。
Nvidia株価下落の背景と市場の反応

Nvidiaの株価は、年初来で約20%下落している。その要因として、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」の台頭が挙げられる。AI市場の競争が激化する中、DeepSeekは独自の技術を武器に市場シェアを拡大しつつある。NvidiaはこれまでAI向け半導体分野で圧倒的なシェアを誇っていたが、新興企業の成長が同社の独占状態に影響を与えつつある。
また、ドナルド・トランプ前大統領の関税措置もNvidiaに影響を及ぼしている。特に、米中間の貿易摩擦が半導体産業に与える影響は大きく、中国市場への輸出制限が今後の成長にリスクをもたらしている。Nvidiaはこれまで、中国市場において強いプレゼンスを持っていたが、規制強化により売上減少の可能性も指摘されている。
しかしながら、最新の2025年度第4四半期決算では、売上高が393億ドルと前年比78%増を記録。データセンター部門の売上は356億ドルに達し、前年比93%の成長を見せた。この業績にもかかわらず株価が下落しているのは、市場の期待がそれを上回っていたことを示唆している。投資家は長期的な成長の確信を持ちつつも、短期的なリスク要因を注視していると考えられる。
AI市場の成長とNvidiaの優位性
NvidiaはAI向け半導体市場において、依然として圧倒的な支配力を維持している。同社のH100 GPUやBlackwellプラットフォームは、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタといった大手テクノロジー企業からの需要が高く、特にデータセンター向けの売上は急成長を遂げている。2025年のAI関連投資は3,350億ドルに達すると見込まれており、この資金の大部分がNvidiaの技術を採用する企業に流れると予測される。
加えて、NvidiaはAIの新たな応用分野でも先行している。自動運転車やロボティクス、金融、ヘルスケア分野において、同社のAI技術は不可欠な要素となりつつある。特にAIエージェントの開発が進んでおり、データの動的生成と機械学習の進化を加速させる役割を担うと見られている。こうした技術の進展は、今後の市場成長を支える要因となるだろう。
一方で、競争環境の変化も見逃せない。AMDやインテルもAI向け半導体市場に参入し、特にクラウド企業やスタートアップとの提携を強化している。これにより、Nvidiaの市場シェアがどの程度維持されるかは不透明な部分もある。しかし、Nvidiaの研究開発力と長年にわたるAI市場での実績は、同社の競争優位を今後も支える要素となるはずだ。
アナリスト評価と今後の株価見通し
シティのアナリスト、アティフ・マリク氏は、Nvidiaの株価下落を「買いの好機」と評価している。同氏は目標株価を163ドルとし、現在の水準から51%の上昇余地があると分析した。市場ではAI規制や関税措置が短期的な圧力となっているものの、Nvidiaの基本的な成長力は揺るがないとする見方が強い。
現在、アナリスト44人のうち38人がNvidia株を「強い買い」と評価し、平均目標株価は177.59ドルと、現在の株価から約65%の上昇が期待されている。これは、同社の財務基盤の強さと市場の成長性を反映した評価といえる。特に、Nvidiaは432億ドルの現金を保有し、短期負債ゼロという健全な財務体制を維持している点が、投資家の信頼を支えている。
一方で、株価の回復には慎重な見方もある。市場はAI投資の拡大を好感しているものの、政策リスクや競争環境の変化が株価の推移に影響を与える可能性がある。Nvidiaが今後も技術革新を続け、市場の成長を牽引できるかが、株価上昇の鍵を握ることになるだろう。
Source:Barchart.com