AMDの最新フラッグシップCPU「Ryzen 9 9950X3D」が、PassMarkベンチマークでRyzen 9 7950X3Dと比較して14%のシングルスレッド性能向上を記録した。マルチスレッドでも11.5%の向上を示し、Zen 5アーキテクチャの実力が明らかとなった。

9950X3Dは16コア32スレッド、最大ブーストクロック5.7GHzを誇り、170W TDPの高性能モデルとして位置づけられる。PassMarkでのシングルスレッドスコアは4,739、マルチスレッドは69,702ポイントに達し、競合のIntel Core Ultra 9 285Kに対してもマルチスレッド性能で優位に立つ結果となった。

AMDは3月12日にRyzen 9 9900X3Dおよび9950X3Dを発売予定。オーバークロック対応や改良された熱設計にも注目が集まる。今後の実機レビューで、ゲームや高負荷アプリケーションにおける実際の性能が明らかになる見通しだ。


AMD Ryzen 9 9950X3DのPassMarkベンチマーク結果が示す性能向上の詳細

AMDの最新プロセッサ「Ryzen 9 9950X3D」がPassMarkベンチマークで記録したスコアは、前世代のRyzen 9 7950X3Dと比較してシングルスレッド性能が14.1%向上し、マルチスレッド性能でも約11.5%の向上を示した。シングルスレッドスコアは4,739ポイント、マルチスレッドスコアは69,702ポイントを記録し、特に単一コアの処理能力が大幅に向上していることが明らかとなった。

この数値は、同じZen 5アーキテクチャを採用したRyzen 9 9950X(通常版)のマルチスレッドスコア66,363ポイントを約5%上回る。さらに、競合であるIntel Core Ultra 9 285Kと比較すると、マルチスレッド性能では約3%優位に立ち、シングルスレッド性能ではIntel側が約7%上回る形となっている。つまり、AMDはマルチスレッド性能での優位性を維持しながら、シングルスレッド処理においても競争力を高めていることがわかる。

ただし、この結果はPassMarkのベンチマークテストに基づくものであり、実際のアプリケーションやゲームでのパフォーマンスがこの比率で向上するとは限らない。特に、AMDの3D V-Cache技術がゲーム用途での効果を発揮するかどうかは、今後の実機テストを待つ必要がある。

9950X3Dのアーキテクチャと消費電力のバランス

Ryzen 9 9950X3Dは、AMDの最新Zen 5アーキテクチャを採用し、16コア32スレッドという構成を持つ。基本クロックは4.3GHz、最大ブーストクロックは5.7GHzと高水準で、ゲームやクリエイティブ用途において高い処理能力を提供する。一方で、TDP(熱設計電力)は170Wと高めに設定されており、従来のX3Dモデルと比較しても消費電力が増加している点が特徴的である。

これは、従来のRyzen 9 7950X3Dが120W TDPであったのに対し、大幅な増加となる。一般的にTDPが上昇すれば発熱量も増え、冷却ソリューションの強化が求められる。AMDは9950X3Dのオーバークロック対応や熱管理機能の向上を図っているものの、従来のX3Dシリーズのような省電力性と高効率を期待するユーザーにとっては、やや方向性が異なるモデルとなる可能性がある。

その一方で、AMDはX3Dシリーズにおいて高性能なL3キャッシュ(3D V-Cache)を活用し、ゲームや特定のワークロードにおいて優れた性能を発揮する設計を取ってきた。9950X3Dのキャッシュ構成については詳細が明かされていないが、従来モデルと同様にキャッシュサイズを拡張し、ゲーム性能を大幅に向上させることが期待される。ただし、高いTDPがどの程度発熱や電力効率に影響を及ぼすかは、実機検証を待つ必要がある。

競合製品との比較と市場における位置付け

Ryzen 9 9950X3Dは699ドルでの発売が予定されており、同時に登場するRyzen 9 9900X3D(599ドル)とともに、AMDのハイエンド市場を牽引するモデルとなる。この価格帯では、IntelのCore Ultra 9 285Kが主要な競合製品となるが、シングルスレッド性能ではIntelが優勢であるのに対し、マルチスレッド性能ではAMDがやや上回る傾向にある。

特に、AMDのX3Dシリーズは従来からゲーム用途に強みを持つことで知られており、今回の9950X3Dも同様の路線を継承すると考えられる。PassMarkのスコアだけで見ると、通常版のRyzen 9 9950Xと大差ないように見えるが、3D V-Cacheの恩恵によって特定のゲームタイトルやアプリケーションでの性能差がより顕著になる可能性がある。

一方、TDP170Wという仕様は、従来のX3Dモデルと比べると異例の高消費電力であり、発熱と冷却ソリューションが鍵を握ると考えられる。競合のIntel Core Ultra 9 285KはTDP125Wであり、電力効率という観点ではIntelに分があるといえる。したがって、Ryzen 9 9950X3Dが市場でどのように評価されるかは、実際のゲームやワークロードでの実用性能に大きく依存することになりそうだ。

今回のリーク情報を踏まえると、Ryzen 9 9950X3Dはシングルスレッドおよびマルチスレッド性能の両面で前世代よりも進化していることがわかる。しかし、その真価は実際のアプリケーションやゲームでどれだけの性能を発揮するかにかかっており、発売後の詳細な検証が待たれる。

Source:Wccftech