Oracle(NYSE: ORCL)の株価が3月11日に3%以上下落し、143.21ドルで取引された。2025会計年度第3四半期の決算が市場予想を下回ったことに加え、次四半期のガイダンスも期待に届かなかったことが影響した。

クラウド部門は前年比12%増の110億ドル、IaaS部門は51%増の27億ドルと成長を見せたが、売上高は141.3億ドルと市場予想を下回った。さらに、設備投資の大幅増加による利益率の圧迫が懸念材料となっている。

決算を受け、複数のアナリストが株価目標を引き下げた。特にBank of Americaは195ドルから175ドルに、BMO Capitalは205ドルから175ドルに修正。短期的には株価の不安定な動きが続く可能性がある。

Oracleのクラウド成長は続くも、利益未達で投資家の評価にズレ

Oracleの第3四半期決算は、売上高が前年同期比8%増の141.3億ドルと堅調な成長を見せた。しかし、市場予想の143.9億ドルには届かず、クラウド事業の急成長が続く中でも、投資家の期待に応えられなかった。クラウドサービスおよびライセンスサポートの売上は12%増の110億ドルとなり、IaaS部門に至っては51%増の27億ドルと大幅な伸びを記録した。

特にAI関連サービスの成長が目覚ましく、クラウド・データベースの売上が前年同期比28%増、GPU関連の売上は3倍以上に拡大した。AI向けのクラウド基盤が求められる中、Oracleのデータセンター戦略が奏功していることは明らかだ。しかし、利益率への影響や設備投資の増加が投資家の懸念材料となり、株価下落の要因となった。

クラウド市場の成長を追い風にOracleの事業は拡大しているが、投資家が重視するのは収益の安定性だ。成長に伴う設備投資の負担がどのように利益に影響を与えるか、今後の決算でも注目されるだろう。

設備投資の急増と利益率の圧迫 長期戦略の成否は未知数

Oracleは、データセンターの拡充とAI市場への対応を目的に、2025年度の設備投資(CapEx)を160億ドルと見積もっている。これは前年の2倍以上の規模であり、急激な成長を支えるための重要な投資であると同時に、利益率の低下を招く要因にもなり得る。Safra Catz CEOは「契約の伸びに見合った投資」と説明したが、市場は短期的な利益への影響を懸念している。

アナリストの予測では、Oracleの2026年度の営業利益成長率は8%、2027年度は13%とされており、急増する設備投資を正当化するには十分とは言えない。設備投資の回収が遅れれば、利益圧迫が長期化し、株価の回復が難しくなる可能性がある。

一方で、OracleはAmazonやGoogle、Microsoftとのマルチクラウド事業を推進し、成長の余地を広げている。AI需要の増加が続く限り、この設備投資が将来的な収益基盤となる可能性もある。市場がOracleの戦略をどう評価するか、今後の実績が試金石となるだろう。

アナリストの株価目標引き下げ Oracleの評価は分かれる

決算発表後、Oracleに対するアナリストの評価は厳しくなり、複数の金融機関が株価目標を引き下げた。Bank of Americaは195ドルから175ドルに、BMO Capitalは205ドルから175ドルにそれぞれ修正し、特に利益率の圧迫と設備投資の負担がリスク要因とされた。

一方で、Piper Sandlerは株価目標を210ドルから190ドルに下げながらも、OracleのAI需要の強さを評価し、「売上成長と自社株買いの組み合わせで2桁EPS成長が続く可能性がある」との見方を示した。特に過去最高の契約額を記録したことから、長期的には成長余地があるとする意見も根強い。

市場の評価が分かれる中、Oracleが設備投資をどのように収益に結びつけるかが重要になる。次回の決算では、投資戦略の成果が数字として表れるかが問われ、株価の動きにも影響を与えるだろう。

Source:Finbold