2024年に高額な配当を提供し注目を集めたNvidia関連ETF「YieldMax NVDY」が、2025年に入り大幅な下落を記録した。昨年、このETFはカバードコール戦略を活用し、配当総額は1株あたり$18.51にも達したが、市場の急変により価格が暴落。Nvidia株自体も年初来で18.48%の下落を経験しているが、NVDYはさらに深刻で、表面的な損失率は30.71%に達している。

ただし、NVDYは高額な配当を定期的に支払っており、2025年の年初以降も既に$3.34の配当を実施。これを考慮すると実際の下落率は16.40%程度に抑えられる。だが、依然として高いボラティリティを伴うため、長期投資家にとっては慎重な判断が求められる。Nvidia株の成長性と比較し、安定した収益を得る手段としてNVDYを選ぶべきか、投資家の間で議論が続いている。

Nvidia ETFの急落、その背景とは

Nvidia関連ETF「YieldMax NVDY」は、2024年に驚異的な配当利回りを実現したことで大きな注目を集めた。しかし、2025年3月に入り、市場の変動によって急落。年初の価格$23.35に対し、現在の価格は$16.18となり、表面的な下落率は30.71%に達している。一方、Nvidia株(NASDAQ: NVDA)も同時期に18.48%の下落を記録しており、テクノロジー関連銘柄全体に逆風が吹いている状況だ。

この急落の背景には、中国のAIモデル「DeepSeek」の成長がある。NvidiaはAI関連のハードウェア市場で圧倒的なシェアを誇るが、中国市場における競争が激化し、投資家の間で将来的な成長への懸念が高まっている。加えて、米中の貿易摩擦が続き、リスク資産としてのテクノロジー株が売られやすい環境にあることも影響している。こうした複数の要因が重なり、Nvidia株だけでなく、関連ETFであるNVDYにも大きな下落圧力がかかっている。

高配当のNVDYは今後も魅力的か

NVDYは2024年を通じて1株あたり$18.51という驚異的な配当を提供した。この仕組みの背景には、カバードコール戦略を活用し、短期国債投資と組み合わせることで安定したインカムを生み出す手法がある。2025年も年初から3回の配当を実施し、合計で約$3.34の支払いが行われている。このため、単純な価格の下落率だけを見るのではなく、配当を含めた実質的な損益を計算することが重要となる。

しかし、高配当の魅力にはリスクも伴う。NVDYの運用戦略上、株価の上昇局面ではキャピタルゲイン(値上がり益)を十分に得られず、下落時には株価の下支えがないため影響を直接受けやすい。つまり、短期的な利回りを狙う投資家には適しているものの、Nvidiaの成長そのものに賭ける投資家にとっては、従来のNVDA株のほうがメリットが大きい場合もある。特に市場のボラティリティが高まる局面では、単なる配当狙いの投資は慎重に判断する必要がある。

Nvidia株とNVDY、どちらを選ぶべきか

Nvidia株とNVDYは、どちらもNvidiaのパフォーマンスに依存するが、その性質は大きく異なる。Nvidia株は長期的な成長が見込まれる銘柄であり、半導体市場のリーダーとしての地位は揺るがない。一方、NVDYは高配当を生み出す仕組みを持つが、株価の上昇時にはリターンが抑えられるという特性を持つ。

現在の市場環境では、Nvidia株の価格変動が激しく、短期的な不確実性が高まっている。もし今後、NvidiaがAI市場での支配力を維持し、半導体需要の増加が続くなら、長期保有に適した銘柄となるだろう。一方で、高配当を維持しながら短期でのリターンを求めるならNVDYが選択肢となる。ただし、NVDYのリターンを計算する際には、税金や経費率といった要素も考慮する必要がある。

市場全体の不安定な状況を考慮すると、どちらの選択肢も一長一短がある。安定した収益を求めるならNVDY、成長性を重視するならNvidia株という構図は変わらないが、市場環境次第でその優位性は変動する。投資家にとって、リスク許容度と目的に応じた選択が求められる局面だ。

Source:Finbold