Amazon(NASDAQ: AMZN)の株価が直近1か月で16%下落した。2024年第4四半期の決算は市場予想を上回ったものの、2025年第1四半期の売上予測が市場コンセンサスを下回り、成長鈍化の懸念が高まったためだ。

それでも、Amazonは依然としてeコマース、クラウド、デジタル広告を中心に成長を続けており、市場シェアの拡大が期待される。特にAWSは19%の成長を記録し、クラウド市場の競争激化の中でも優位性を維持している。

また、テクニカル分析では、過去の株価推移と類似したパターンが観測され、2025年末までに300ドル到達の可能性が指摘されている。短期的な不安はあるものの、長期的な視点では買いの好機となるかもしれない。

Amazon株の急落とその背景 何が投資家を失望させたのか

Amazonの株価は、2024年第4四半期の決算発表後に急落した。1株当たり利益(EPS)と売上高の両方で市場予想を上回ったにもかかわらず、株価が下落した背景には2025年第1四半期のガイダンスがある。Amazonは売上予測を1,510億ドル~1,555億ドルと発表したが、この範囲の上限ですら市場コンセンサスの1,585億ドルを下回った。

特に問題視されたのは、予測の下限が1,510億ドルである点だ。これはAmazonが1997年に株式市場へ上場して以来、四半期成長率として最も低い可能性があり、市場の成長鈍化への懸念を引き起こした。この売上予測の低迷は、マクロ経済環境の不確実性や消費者支出の減少による影響と考えられている。

その結果、投資家のセンチメントは悪化し、株価は記事執筆時点で194ドルまで下落。過去1か月で16%の下落率となった。最新の取引セッションでも0.52%の下落が確認されており、Amazon株の短期的な見通しは不透明なままだ。

Amazonの成長エンジン AWSとデジタル広告が牽引

短期的な株価の変動とは裏腹に、Amazonの長期成長を支える基盤は依然として強固である。その中心となるのがクラウド事業のAmazon Web Services(AWS)と、急成長を続けるデジタル広告事業だ。

AWSは2024年第4四半期に前年比19%の成長を記録した。これは前年同期の13%成長を上回るもので、依然としてAmazonの収益源の柱となっている。しかし、クラウド市場ではMicrosoftのAzureが31%成長、Google Cloudが30%成長と、競争が激化している。AWSがシェアを維持し続けるためには、さらなる技術革新や価格競争が求められる。

一方、Amazonのデジタル広告事業も注目に値する。2024年第4四半期のオンライン広告セグメントの売上は172.9億ドルとなり、前年比18%増加した。AmazonはGoogle、Metaに次ぐ世界第3位のデジタル広告プラットフォームとなっており、今後も市場シェア拡大の可能性を秘めている。これらの成長分野が、短期的な株価の変動を乗り越えて、Amazonの長期的な収益拡大を支える鍵となるだろう。

テクニカル分析が示唆するAmazon株の今後

Amazon株の下落は、テクニカル分析の観点からは過去のパターンと類似している。有名な市場アナリストTradingShotは、Amazonの株価が50週間移動平均線(1W MA50)を下回ったことに注目している。この水準を下回るのは2024年8月以来のことであり、過去のデータではこの動きの後に反発が見られた。

特に「最大の苦痛(Max Pain)」と呼ばれるパターンが観測されており、過去2年間の各週の底値で繰り返されてきた。これによると、Amazon株は現在の水準から平均65.24%上昇してきた実績がある。このトレンドが継続すれば、2025年末までに300ドルに達する可能性があるという予測もある。

短期的には株価の不安定な動きが続く可能性はあるものの、テクニカル指標は長期的な上昇を示唆している。特に過去のパターンを考慮すると、現在の調整局面は投資家にとって魅力的なエントリーポイントとなる可能性がある。今後、株価が反発するかどうかは、Amazonの成長分野の動向や市場全体のセンチメント次第となるだろう。

Source:Finbold