ドナルド・トランプ前大統領が新品のテスラを購入すると発言し、TSLA株が下落から一部回復した。この発言は、テスラ創業者のイーロン・マスクを支持する意思の表れとされ、株価動向に影響を与えている。
一方で、マスク氏が政府の支出削減に関与していることを受け、「テスラ・テイクダウン」と呼ばれる抗議活動が広がり、TSLA株への圧力が続く状況だ。しかし、モルガン・スタンレーのアナリストは株の押し目買いを推奨し、年内の回復を予測。テスラのロボタクシーやAI技術の発表が、今後の株価を押し上げる可能性が指摘されている。
トランプのテスラ購入発言が市場に与えた影響

ドナルド・トランプ前大統領が新品のテスラ車を購入すると発言したことで、TSLA株が下落から一部回復した。トランプ氏はイーロン・マスクを支持する姿勢を示しており、これが投資家心理に影響を与えたと考えられる。実際に、発言後の市場ではテスラ株が反発し、一定の買いが入ったことが確認されている。
この発言は、マスク氏が政府効率化局を率いていることに反発する「テスラ・テイクダウン」抗議活動が広がる中で行われた。抗議活動はアメリカからカナダ、ヨーロッパへと拡大し、テスラのブランドイメージに悪影響を与えている。一方で、モルガン・スタンレーのアナリストであるアダム・ジョナス氏は、テスラ株を押し目買いの好機と捉えており、今後の回復を予測している。
トランプ氏の発言による短期的な株価回復は、長期的な成長シナリオとは別の視点で捉える必要がある。市場は政治的な要因に影響を受けやすく、一時的な高騰が持続的な上昇につながるとは限らない。テスラの成長はEV市場の動向や新技術の進展に依存しており、トランプ氏の支持が長期的な企業価値を押し上げる要因になるかどうかは慎重に判断する必要がある。
テスラのロボタクシー計画とAI技術が株価回復のカギ
テスラは、今後数カ月以内にロボタクシーの発表を予定しているとされており、これはTSLA株の回復要因の一つと考えられている。自動運転技術はテスラが長年にわたり注力してきた分野であり、実用化が進めば同社の事業モデルが大きく変わる可能性がある。AIを活用した車両管理や効率的な運行システムの開発が進めば、テスラの強みがさらに際立つだろう。
さらに、テスラはヒューマノイドロボットの開発にも取り組んでおり、2025年末には新たな情報を公開すると予測されている。AIを活用したロボット技術は、テスラを単なるEVメーカーではなく、AI企業としての評価へと導く可能性を秘めている。この分野での進展があれば、テスラの成長ストーリーはさらに強固なものとなるだろう。
アナリストの見解によれば、AI技術がテスラの今後の成長を支える要素となることは間違いない。ただし、ロボタクシーの実用化には法規制や安全性の課題が残っており、市場に与える影響が即座に株価へと反映されるかどうかは慎重に見極める必要がある。投資家は新技術の発表だけでなく、実際の市場導入や規制の進展を注視することが重要となる。
TSLA株の現状と今後の投資判断
テスラの株価は2025年初頭から約50%下落しており、一部の投資家にとっては魅力的な押し目買いの機会となっている。モルガン・スタンレーのアダム・ジョナス氏は、TSLAの目標株価を430ドルに設定し、現在の水準から約93%の上昇余地があると指摘している。この見解が市場に影響を与え、短期的な買い戻しが進む可能性がある。
一方で、現在の市場環境は不透明であり、テスラの業績低迷やEV市場の競争激化がリスク要因として挙げられる。テスラは納車台数の伸び悩みや価格競争の激化に直面しており、これらの課題を克服しなければ株価の持続的な回復は難しいだろう。
アナリストのコンセンサス評価では、TSLA株は「ホールド」とされており、強気と弱気の意見が分かれている。短期的な株価の動きに一喜一憂するのではなく、テスラの技術革新や市場動向を長期的な視点で見極めることが重要となる。
Source:Barchart.com